53.成功と失敗
「……なん……で?」
「なんで?はは、確かになんでなんだろうな?」
絵里の目の前に現れたのは、黒いモヤみたいな、煙みたいな……そんなもの。
それが、昔の……少し声が変わる前の絵里の声で言う。
「気付いたらさ、ここにいたんだよ?不思議だろ?」
「……はぁー、なんか反応しろよ。面白くないだろ?」
1人だけで喋る黒い煙。くるくると渦を巻きながら、さらに絵里に話しかける。
「それで結局、何をするんだよ?エナとネヒィアを助けるのか?」
そんな黒い煙の……昔の絵里の言葉に、絵里は目を見開いて……それからスっと意識が遠のき始める。
集中力が弾けて……全身の痛みがボーッとしだす。
けれど、昔の絵里はとても悲しそうな……泣きそうな声で言葉を続ける。
「もうそろそろ時間か。せっかく喋れると思ったのに……向いてないな、はは」
乾いた笑い声が少しだけ聞こえて……細くて白い、綺麗な手が絵里の腕を掴む。
その手はとても冷たくて……震えていた。でも……絵里も絵里で限界なので、そんな事覚えていない。
ただ、最後の一言だけはボーッとする頭を少しだけ覚まし……覚えている。
「次はちゃんと、大事な人を守れよ……無理しすぎずにさ、絵里」
その声と同時に絵里は腕を引っ張られる。そして光が差している場所へと、投げられた……
「や……て……絵……ゃん…………起き……て!」
深い場所から意識が浮上して……パッと目を開く。
その瞬間、白い光が……次いで
「絵里ちゃん、やめるニャ!」
マーラの声が耳に入って来た。ぼやけていた視界が定まり、形を捉える。
マーラが声をあげていて……ハクはこっちを驚愕の眼差しで見ている。
エナとネヒィアは透け透けで、絵里は……全身が痛みを思い出して、激痛が走る。
それに絵里は声になっていない、声を出し魂の色が変わり始める。
白がどんどん淀んでいく。灰色に変わって……黒に変わって……また、白に戻った……
痛みが少しだけ和らいで……絵里は笑う。
私、何考えてんだろ?バカでしょ……魂創れないや
ずっと思わないようにしてた事……けれど、事実だから……。何故か魂だけは創れる気がまるでしない。
だから……少しだけ考えられるようになった頭で、絵里は自分の魂を見る。
そして……ギュッと魂を握り潰す。そうして……ちぎれた自分の魂をエナ、ネヒィアの上へと持っていく。
だいたいで3等分。そんな雑さに自分でも、頭が悪いなと思いつつでも……それでも……
絵里はこれでいいや、と思って……笑いながら魂をエナとネヒィアに染み込ませる。
その途端、エナとネヒィアは元の体に戻り……穏やかな呼吸をしだす。
それを見て絵里は泣きながら……自分の魂を自分へと戻す。
魂がじゎーと馴染んで、痛みが引いていく。
エナ、ネヒィアを助けた安堵と、痛みが無くなった心地良さに、絵里はカクッと意識が落ちる。
暗闇の中で話をしていたあの子。あの子は……きっと私を守ってる子。
確証なんてないけれど、思うのだ。
多分私ではない……私に似た子。ずっと私だと思っていたけど……私ではない。
絵里は地面に落ちていく中で、いっそ笑みを深く浮かべて……
―――私……頑張れた……助けられたよ。ありがと、ね―――
これは日曜日分。月曜日分は火曜日に。
だから、月、火、水で投稿します。3日連続投稿キツい……けど、慣れた。毎日投稿ってやばくない?
そんなことを思っている今日この頃。もう少しでテストなので少し投稿が減るかも……それだけは知っていて下さい。では!
面白い、続きが読みたい、そう思った方ぜひブックマークそれと、
☆☆☆☆☆
↓↓↓
★★★★★
広告下の星をポチッと押してポイントを!ついでにいいね!と思ったらいいね!ボタンをポチッと!
よろしくお願いします。




