49.助けて
「……ゃん……えり……絵理ちゃん!」
ハッとエナの声が聞こえて、絵里は起き上がる。何も無い白い場所。そこにエナが1人立っていて……
「魔法よ、魔法を使うの」
大きな声で必死に叫んでいる。だから……
「エナ!元気なの?」
絵里はニッコリと笑って、目に涙を浮かべながら走り出した。
「エナ!エナ!ネヒィアは?ネヒィアも……待って、ねぇ!逃げないでよ!」
エナに走って近づく絵里だが、一向に距離が縮まらない。ずっと同じ場所にいて……前に進んでいるのかも怪しい。
そんな絵里に
「魔法は創造だって言ったでしょ?創るのよ、魂を。創って、私とネヒィアを助けて……」
エナが涙を零しながら、弱い声で言った。
そんなエナを見て、唐突に絵里の心の中の糸が切れた。だから、走るのをやめて
「魂なんて、分からないよ。ねぇ、本当は……全部嘘なんでしょ?私、私を1人になんかしないよね?」
絵里も泣きながら、エナに言う。楽しかった。だから、もっとずっと傍にいて欲しい。私を、こんな私を1人になんかしない、可愛い姉妹の姉に
「私、なんの為に頑張ってるの?ねぇ、私はなんの為に生きてるの?もう、分からない。助けてよ、なんで?死ぬなら、私を……殺してよ……」
本音を呟いた。エナとネヒィアが死んだら……私は……
「絵里ちゃん、大好きよ。ネヒィアと同じぐらいね。ハクがマーラを何とかするわ、だから絵里ちゃんは……」
「何とかって、エナは?ネヒィアは?どうするの?死ぬの?」
もう、やけくそで……絵里だって分かっている。けど……なんかもう、いいやって、もうどうしようも……
「死ぬわ、このままだと。だけど……絵里ちゃんが私とネヒィアの魂を創ってくれたら……」
「ねぇ……もうどうでもよくない?」
自分でも驚く程に、温度のない声が口から飛び出た。
「えっ?いま……なんて言ったの?」
それにエナが困惑の表情を浮かべるが……
「ねぇ、どうして私はさ、エナとネヒィアの為に頑張らないといけないの?もう、疲れた。お終いでいいじゃん。私も死ぬから、仲良く死のうよ?」
絵里の言葉が止まらない。私の嫌な部分が、考えが、なりふり構わず口から出てくる。こんな事思ってなんかいなかったのに
「どうでもよくない?エナもネヒィアも私も」
「え……絵里ちゃん……嘘よね、どうでも……よくなんか、ない……よね?」
絵里の冷たい突き放すような言葉に、エナが大泣きしながら、途切れ途切れに言葉を涙と一緒に零す。
けれど……
「はぁー」
この先を言ってはまずいと、絵里は分かっている。けど……
「何回も言わないと分からない馬鹿なの?エナもネヒィアももうどうでもいい。死ぬんでしょ?姉妹揃って仲良く、ならよくない?それで、ほらバイバイ」
「ひ……酷いよ……え、絵里ちゃんの馬鹿!わ、私は……」
「何、調子に乗ってるの?エナ。最後ぐらい、ネヒィアに構ったら?もしかして、エナもどうでもいいの?ネヒィアなんか、死のうが生きようが興味無いの?」
「え……絵里……ちゃ……ん」
エナが目を見開いて……それから声を殺して泣きながら、蹲った。
エナを泣かせた……やめて、もう言わないで、謝らないと、エナに謝らないと……静かにしてよ、もう今はこんな私じゃないから……だから……
昔の絵里そっくりな口調と喧嘩の売り方。それから泣かせ方。
本当はエナもネヒィアも大好きで、助けたい。けど……口を開くと……嫌なことばっかり喋って……また、嫌われる。いじめられる。怖い、怖い、怖い。
相手を傷付けて、それで勝った気になってる。嫌な私。も、もう……ダメこれ以上は……
絵里は必死に心の中でそう願う。けれど、口は止まってくれず……
「ネヒィアの事なんて、何一つ興味ないんでしょ?それとも嫌いなのかな?はは、まあ、当たり前か。あんな子、好きになる所何一つないもんね。可哀想に、そんな妹捨てちゃえば?」
絵里が笑い声をあげて、お腹を抱える。人を煽る嘘の笑い声だ。中学の時やっていた、吐きそうになるぐらい気持ち悪い、笑い声。
ごめん、ごめんと絵里は謝り続けるが、届くはずもなく、絵里はエナに笑いながら、最後の一言を言った。
「お前の妹は、いるだけ無価値の出来損ない。お前みたいだな。エナ」
お知らせ!
月曜日は投稿せずに、水、木、金で3日連続投稿します。月曜日は物語を整理するので投稿しません。どうぞご了承ください。
学校ではボッチの作者。なんで友達いないのかな?はぁー。
まあ、それよりもですね、一応言っておくと、百合の新作も、書きたい思ってはいるんですよ。けど、書き出すと時間が……とか、ね?
色々ありまして、それで、思ったんですけど、夏休みである8月ぐらいに百合の新作出すので、まだまだ先ですが出たら読んでね?
面白い、続きが気になる、そう思った方ぜひブックマークそれと、
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よろしくお願いします。