48.偏愛
あれ?体が動かない……なんか頭がボーッとして、くらくらする。急に熱が出たみたいで……
「絵理ちゃん!絵理ちゃん!」
ハクが私を呼んでいる。けど、視界がくるくる回りだして、ハクの声もだんだんと聞こえなくなる。
なんで急に、こんな事になったかなんて分からない。さっきまでなんともなかったのに。
「やっとかニャー。本当、焦らすのが上手いニャー、絵里ちゃんは」
「な、何をしたの?絵理ちゃんに……絵理ちゃんに!」
「私の温泉に絵理ちゃんが入ったニャー。だから、酔ったニャー」
「温泉?そんなの……」
「まあ、静かにするニャー」
マーラはハクの周りに魔法陣を展開して、閉じ込めると同時に、
「少し、眠るニャー」
一つだけ色の違う魔法陣が、光を放ちハクはスっと眠りについた。
けれど、その事絵里は分かるはずもなく……マーラに髪を持たれて、無理やり目と目が合う。
掴まれている、という感覚すら絵里にはなくただ、ボーッと霞む視界の中で、誰か分からない声を聞く。
「大好きニャー。ずっと見てたニャー。私しか入らない、入れない温泉に、入ってくるなんてすごいニャー。けど、絵理ちゃんは弱いニャー」
少し長い誰かの言葉が、絵里には子守唄のように聞こえて、うとうとしだす。
眠い。とても……瞼が勝手に落ちてきては、視界が暗くなる。それでも、頑張って瞼を上げてみるけど……また落ちる。
「おやすみニャー。寝て起きたら私の恋人ニャー」
絵里のうっとりとした瞳に、マーラの嬉々とした瞳がぶつかる。
マーラは笑みを浮かべて、ぐっと顔を絵里に近づけると、
「誓いのキスニャー」
そう言って、マーラの唇が絵里の唇を食べようとしたその瞬間、黄色い絵里のハンカチが間にスっと入った。
それにマーラは舌打ちをしながら
「鬱陶しいニャー。絵里ちゃんとのキスを邪魔するものは、こうニャー」
黄色いハンカチを鷲掴みにして破ろうとする。だが、
「あの神獣……調子に乗ってるニャー。変な感じの正体は、これニャー」
マーラは急に立ち上がると、ネヒィア、エナが横たわっている所に行き、2人を蹴り飛ばした。
なんの抵抗もせず、転がる2人。繋いでいた手が離れて、体がどんどん透けていく。
そんな姿に満足したのか、マーラは笑いながら
「やっと死ぬニャー。これで神獣は残り7体。いや、6体ニャー。……あと、6体殺せば、絵里ちゃんはずっとこの世界に居続けられる、楽しみニャー。ニャははは」
そんな事を呟いて絵里を掴み、持ち上げると、ギュと抱きしめ、絵里の胸に顔を埋めた。
面白い、続きが読みたい、そう思った方ぜひブックマークそれと、
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