表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

47/201

47.先手

 ハクに礼を言って、絵里は魔法陣の中……エナ、ネヒィアがいるであろう場所に入った。


 その瞬間、白い光が絵里を包み込み、一瞬だけ目を瞑る。そして……目を開けると……


「エナ!ネヒィア!」


 何もない白い空間の中で、エナ、ネヒィアが手を繋いで横たわっていた。


 どちらとも酷く体が薄く、呼吸が速い。絵里の声にすら反応せずに、目を閉じたまま。


 絵里はエナ、ネヒィアに近寄ると、体に触れる。いつもなら、温かく弾力があるお腹なのに……冷たく沈んでいく。あるようでないような、そんな感触。


「エナ!ネヒィア!目を開けて……ねぇ!」


 背中に冷たい汗が流れ、心の中が悲鳴をあげて痛み出す。ドキッなんて生温いものでは無い。


 ギュキュと締め付けられて、はち切れそうになり、吐き気が襲ってくる。


 今までで1番嫌な感覚。絵里はエナとネヒィアに共鳴するかのように呼吸が早くなり、顔は青くなる。


 理性が言う。何とかしないと。


 でも、本能が言う……


「もう、手遅れニャー」


 唐突に響いたマーラの声。それに絵里はドキッとして目を見開く。だが、すぐにどす黒い声で


「なんで、いるの?」


「ニャー。そんな怒らなくても……」


「消えて」


「え、絵里ちゃんはたまに怖いニャー。けど、簡単な話ニャー。私も魔法陣から入ってきた。それだけニャー」


 絵里の声に少し怯えながらも、マーラは余裕ありげに笑みを浮かべて答える。


 そうして、舌なめずりをして


「絵里ちゃん。もう、お終いニャー。私と一緒に暮らそうニャー」


 絵里に手を伸ばし、手招きをする。


 その仕草に絵里は……


「遅いニャー。さっきはわざと当たってあげたけど、もう茶番は終わりニャー」


 怒り任せにマーラに拳を突き刺し……防がれた。絵里の拳を握ったマーラの手はビクともせず……


「どっか行って!邪魔!いちいち、いちいちなんなの?」


「私は絵里ちゃんの、愛人ニャー」


「違う!消えて、どうして……」


 絵里が泣きながら、マーラに言葉を零すと……


「それは、ハンカチ、ニャー?」


 ネヒィアにあげた、絵里のハンカチがそっと涙を拭いて……


 ――絵里ちゃん、ありがと。けど、もう……――


 ――長くはないわ。ありがとう、絵里ちゃん――


 破れたハンカチ。エナとネヒィアが取り合って、ネヒィアが取った……


「ハン……カチ」


「……?そのハンカチ、なにか変な感じがするニャー……絵里ちゃん?」


 温かいそのハンカチは、絵里の涙をそっと拭いて……


「絵里ちゃん!そのハンカチはマーラが……」


「もう、手遅れニャー」


 ハクの声とマーラの声が重なり、絵里はスっと体から力が抜けていく。


 段々と地面が近づいてくる絵里の耳に、ハクの焦った声が届く。


「マーラは最初から――――」

面白い、続きが読みたい、そう思った方ぜひ、ブックマークそれと、

☆☆☆☆☆

↓↓↓

★★★★★

広告下の星をポチッと押してポイントを。それと、いいね!と思った方いいね!ボタンをポチッと。

よろしくおねがいします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ