44.仲直り
「流石にこれは、やり過ぎじゃ。跡形もなくなったではないか」
ハクが絵里を使って放った魔法は、一瞬で元王国ナタラを飲み込み、衝撃波は王国リーヤまで余裕で届いていた。
だが……
「そんな、やり過ぎも何もないでしょ?王女はどうやら、間に合ったみたいだから」
王国リーヤの外壁前。そこを堺に、地面は抉れておらず……なんなら煙すらたっていない。
どうやらマーラが魔法か何かで守ったらしい。
絵里はそれを少し眺めて、ふと静かになったハクを見る。話題がない時は、ほぼ何も喋らないハク。けれど、話題があれば喧嘩をしだすハク。
そんなハクは絵里は見続けて……バレた。絵里の視線に反応しハクは、コテっと可愛く首を傾げる。
ネヒィアとはまた違う、幼さ……無邪気さを感じて、絵里はポツリと言葉を零した。ずっと気になっていた……
「ねぇ、それでハクは結局どっちが本当のハクなの?」
ハクは2人で1人なのか、それとも、1人1人別でどちらかが、ハクではないのか?
そんな絵里の言葉に、ハクは反応して……
「ん?そんなの決まっておる。我じゃ」
「ふっ、私ですよ?絵里ちゃん」
「お、お主今、鼻で笑ったな?我じゃ!我が本当じゃ!」
「えっとハク?だから……」
また、喧嘩が始まった。絵里はそんなハクに少しうんざりするが……喧嘩を始めたハクは、絵里なんか気にもせず
「そんな馬鹿みたいに騒ぐ馬鹿は、偽物です。私みたいに静かでないと、ね?」
「こ、この、うるさい、黙るんじゃ!馬鹿じゃと?面倒事は全て我に押し付けて、何もしない、何も出来ない無能が何を言っておる?」
「あ?さっきから何調子に乗って、ふざけた事ばっかり言ってるんですか?私がいないと、ずっと一人ぼっちだったくせに」
「あ、あの、そのハク……」
絵里が見かねて2度目ハクの名を呼ぶが……
「なっ、なっ、わ、我だって友達の1人や2人、余裕で作れる。お主がおらずとも、全然大丈夫じゃ」
「へー、自分の身の程を知ったらどうですか?馬鹿は自覚してないから性質が悪いんです」
「お、お主、絶対に許さぬ。我を……」
「ハク!」
絵里はいよいよ怒り、ハクの名を大声で呼ぶ。瞬間、ハクは静かになり絵里に視線を向ける。
それを見て絵里は、
「ハク。仲良くして。分かった?」
「す、すまぬ。ネヒィアからも言われておった事なのに……」
「ごめんなさい、絵里ちゃん」
絵里の真剣な言葉に、ハクは少し下を向き謝る。
ハクの喧嘩を見ていると、少し夫婦喧嘩みたいで嫌では無いのだが……やっぱり、喧嘩はやめて欲しい。何か胸の奥がもやもやするから……
だから、絵里はハクの頭に手を置いて、話題を変える。
「ハク。これからどうするの?下にいるビースト達は、余裕で勝てそうだけど?」
ハクの頭を撫でながら、煙が晴れ地面が見えるようになってきた下を見て、絵里は言う。
ビースト達は所々が煤で黒くなり、ふらついている者がほとんど。これなら、倒すのは簡単。だから、ハクの目を見てもう一度、
「どうする、ハク?」
絵里は問う。それにハクは、
「私は……絵里ちゃんと一緒に、ささっと倒したい……」
「……我も同じ、じゃ」
「おー、そう来なくっちゃね」
意見が初めて一致したハクに、絵里は楽しそうに、嬉しそうにそう言って、微笑みながら手を差し出す。そう、ハクが先程してくれたように……
「一緒に行こ、ハク。私は仲のいいハクの方が、たぶん好き、ね?」
3月が終わる。嫌だよー。そんなにこんなで、4月も頑張ります。では、金曜日に……ずっと春休みだったらいいのになぁ……。
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