43.反転
「もう、終わりニャー」
ハクに抱かれて、あっちへこっちへ。ビースト達からなんとか逃げ、距離を取って来たが……それが、マーラによって崩される。
マーラは、ハクに凄い勢いで迫るとイライラとした声色を響かせながら、ハクから絵里を奪い取ろうと何度も手を伸ばす。
だが、その手をハクは何とか躱して絵里、ハクの体を掠めるのみのギリギリの攻防が続く。
だが、そんなギリギリの攻防を繰り返していくうちに、だんだんと追い込まれていくのも事実で……
「ど、どうするのじゃ?これでは、捕まるのも時間の問題じゃぞ?」
「どうするって、それなら魔法で逃げればいいでしょ?」
「そ、それは……今、ネヒィアの姉様とネヒィアの魂に干渉しておる故に、無理じゃ……」
「なら、どうするの?早く何とかしないと、絵里ちゃんが危ない。それぐらいは、分かってるでしょ?」
「も、もちろんじゃ!と、と言うかなんでいつも我ばかりに押し付けるのじゃ?いつもいつも……我は、お主の奴隷ではないぞ?お主も何とかしてくれ!」
話が変な方向にずれてハクは怒り、結局何をするか決まらない。そんな間にも、マーラは確実にハクの動きを捉え、いよいよ捕まりそうになる。
絵里は時々、急に進む方向が変わり凄い力がかかる事に耐えながら、静かにしていたが……流石にこればかりは結構まずい。
エナとネヒィアはいなくって……マーラとその仲間のビースト達に囲まれている。
頼みの綱のハクは、口を開けば喧嘩をしていて……全く持ってマーラに勝てる気がしない。と言うか、ビースト達にも勝てる気がしない。
ハクを何とか……いや、私が何かをすれば……
絵里は、ギャーギャー口論しているハクに向けて
「ねぇ、私に出来る事ってないの?」
「お、お主は……」
「なら、絵里ちゃん。少し体を使ってもいい?」
「なっ、ネヒィアの主にそんな事まずいじゃろ?」
「大丈夫。腕だけだから。だから、いい?」
「う、うん。けど、使うって……」
ハクの言葉に頷きながらも、首を傾げる絵里。そんな絵里にハクは……
「んっ」
キスをした。それに絵里は少しびっくりするが……まあ、二の腕なので暴れたりはしない。
絵里はハクの唇の感触を数秒感じて……それから腕の感覚が若干鈍くなる。そして、
「ニャ?」
マーラから伸びた手を勝手に絵里は弾いた。それも凄い勢いで……
「凄い、凄い。絵里ちゃんの体、無限に力が溢れ出てて、なんでも出来そう。やっぱり絵里ちゃんだね」
ハクはテンション高めにそんな事を言って、今度は魔法陣を辺りに展開しだす。
それも10や20ではなく……
「なっ、お主、こんな数の魔法を放ってどうするつもりじゃ!こんなもの放ったら、地平線まで吹き飛ぶぞ?」
天と地に無茶苦茶な数展開された魔法陣。それにハクは焦りの声をあげるが……それと同時にキレた声色で、
「底辺悪魔が調子に乗るなよ?ぶっ殺して八つ裂きにして殺るニャー」
マーラ言葉が飛んで来る。だが、ハクは笑いながら
「王国が、無くなっちゃうよー?王女様♡」
「覚えてろよ?雑魚悪魔」
ハクの言葉にマーラは吐き捨てるように言葉を返し、王国リーヤの方向に駆けていく。
それをハクは見ながら……ハクは絵里と一緒に地面に倒れ込み……絵里の腕を使って思いっ切り空へと舞うそして……
「反転術・珀式『無色』」
魔法を唱えた瞬間、爆発と衝撃波によって絵里とハクはさらに空へと吹き飛び……地面は一瞬で見えなくなった。
水曜日は時間を守ります。
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