42.2人?
顔をあげた絵里に、こちらを見て微笑んでいたハクが、手を差し伸べ口を開く。
「絵里ちゃん、泣かないで。もう大丈夫だから……1人になんか、しないから」
ゆっくりとした優しい言葉。そんな言葉に絵里は涙を拭って、ハクの手を握り立ち上がる。
少しフラっとしながらも、なんとか立ち上がった絵里は、ハクの顔を見る。
さっき顔を合わせた時よりも幻想的で……この世界に来る前に夢で見た時と同じ顔のハク。
そんなハクは、白く溶けてしまそうな手を絵里から離して……今度はネヒィアの頭に触れる。そうしてハクは、頭を撫でながら
「ネヒィアは何とかなる……いや、何とかする。だから絵里ちゃん、少しの間預けさせてもらっても、いいかな?」
絵里の瞳を覗き込み、真剣にハクは問う。それに絵里はなんの迷うもなく、
「いいよ。大事にしてね……」
絵里の返事を聞いて、ハクはネヒィアに両手で触れる。すると、ネヒィアは白い光に包まれて姿がスっと消える。
絵里は安心して少し力が抜けてまた、フラっとした。けれど、ハクにお礼を言おうと口を開きかけたその時、
「ニャー。悪魔と絵里ちゃん。2人だけで勝てるかニャー?」
これまで静かだったマーラが、唐突に口を開き笑い混じりにそんな事を言う。
さっきからずっとこちらを見ていたが、何もしてこなかったマーラ。まるで何かを待っていたようで……
「絵里ちゃん。こっちを向いて」
マーラに視線を向けていた絵里の耳に、ハクの声が響く。
絵里はそれに反応して、ハクの方を向くと……ハクがいきなり抱きついて来た。
「ハ、ハク?急にどうしたの?」
「あー、絵里ちゃんはとてもいい匂いがするね。もっと、ずっとこうして……」
「んんっ♡や、やめて。ハク離れ……」
ハクが絵里の首筋を舐め、体を押し当ててくる。そしてそのままハクは絵里の胸に顔を埋めようとして……
「や、やめろお主。さっきあったばっかりの、ネヒィアの主に手を出すな。か、勘違いされるじゃろ?」
絵里の胸の前で、ハクの顔はピタッと止まり、急にハクは喋りだす。
絵里は驚き、目を見開くが……
「邪魔ニャー」
「おっと」
急にマーラが襲いかかって来たかと思うと、周りにいたビースト達も一斉に絵里とハクを襲う。
絵里はハクに抱かれ、マーラ達から距離を取るが……目で追えないほど速く、ハクは立ち止まることなく地を駆け逃げ回る。
だが、その最中……
「私は絵里ちゃんが好きなの。前に会ったこともあし。邪魔しないで」
「なっ、また我の知らぬところでこそこそと。勘違いされるから、何かしたら報告しろと言ったじゃろ?」
「はぁ。そんな事、聞いてません。嘘はやめてください」
「お、お主許さぬぞ?毎度毎度苦労させおって、こっちの身にもなってくれ!」
「短気は損気ですよー」
「ぐぬぬ」
ハクは一人二役、ころころと表情変え加えて、口調、声のトーンなんかも変えて喋り続ける。
絵里はそんなハクに若干引きながらも、とりあえずで
「ハ、ハク?誰と喋っているの?」
少しだけ怯えながら、絵里は小声でハクの顔を見ながら言うと、ハクは
「え、絵里と言ったの。そんなに怖がるな。我は我の中にもう1人いる、頭のおかしな奴と喋っておるだけじゃ」
「はぁー?何言ってるの?馬鹿なの?頭がおかしいのはそっちでしょ?絵里ちゃんに変なこと吹き込まないでくれる?」
お互いに怒りだし、絵里を抱き締めている腕に力が入る。
と、そんな時。今まで喧嘩をしながらもビーストを綺麗に避けていたハクが……
「なっ」
驚きの声をあげて、思いっ切り何かを避けた。それに絵里は、体がちぎれそうな感覚を味わいながらも、同時に恐怖を感じる。だって……
「私の絵里ちゃんに、ちょっかいを出して……いい気になってんじゃないニャー。悪魔ごときひき肉にしてやるニャー」
絵里の瞳に一瞬だけ映ったマーラは、着ていたエプロンを脱いで、邪魔だったのか、ビーストを1、2人殴り飛ばし……絵里の顔のすぐ横をマーラの手が掠めたから……
えー、まずごめんなさい。日曜日の投稿をサボり、今日の投稿は時間を守っていない。もう、やばいネ!ということで、明日明後日も投稿します。
時間も守る……はず。いいや、絶対に。なので許して……ごめん!
面白い、続きが読みたい、そう思った方、ぜひブックマークそれと、
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