37.決闘
「な、なぜ、そんな事を、そもそも我は……」
「我は?」
耳元で囁かれる絵里の言葉に、体を一瞬震わせて動揺するハク。繋がれた手には少し力が籠り、手汗が滲む。
そんなハクの反応を確認して絵里は、笑みを浮かべるとゆっくりとした、追い詰めるような声色で、
「我は、絵里ちゃんにバレるような事はしてないはず?とか?それとも、私はネヒィアの声で、口調で、ネヒィアになりきってたはず、かな?」
「そ、そんな……ち、違う。我は今、初めてお主を知った。初対面で……面識はないはずじゃ」
「ふーん。初めて、ね。それはハクって名前として、じゃない?本当は……」
「主様」
絵里が、ハクの耳に触れるギリギリの所まで唇を持っていき、最後の一言を言おうとして時、ネヒィアがそれを遮るように、絵里を呼んだ。
その呼び声に絵里は、ネヒィアへと視線を向ける。そして、
「何?」
一言そう返事をする。その返事にネヒィアは、少し視線を逸らして
「ハクの事……私とハクが主様を見てた事は……後でまた話すから……今は……」
「後回しにして欲しい……絵里ちゃん。それじゃダメかしら?私からもお願いするわ」
「……分かった」
ネヒィアの言葉に、付け足すように発せられたエナの言葉。それに絵里は短く返すと、ハクから離れてエナに向き直る。
エナはどうやらネヒィアの味方らしい。
まあ、ネヒィアもハクも悪くないし、問題もない。けれど、ちょっとだけ妬いちゃうよね。だから、
「ちゃんと後で……ならさー、エナ。エナも話してよ?今日の事、1から10まで」
「えっ、どうして絵里ちゃん?」
「だって、エナからもお願いするんでしょ?なら、ネヒィアとハクだけ話して終わりって言うのはエナ1人得するよね?何もしないのは、ずるくない?」
「うゔ……確かにそうだけど……」
「決まりだね、エナ」
絵里は、わざとらしく楽しそうに言うと、微笑みをエナに向ける。エナは結構嫌そうな、どうしようか迷ったような顔をしていたが……
それを忘れるように、話題を変えた。
「ところで、マーラはいつ来るのかしら?」
「もうそろそろ、だと思う。後、もう少しでたぶん来る」
「どうして分かるの?ネヒィア」
エナに返したネヒィアに、絵里は首を傾げながら問う。マーラが決闘すると言った時、確かいつやるかは、今日としか決めてなかったはずで……
そういえばどこでやるかも言われてない。あれ?ここでいいの?逃げれるくない?王国の外だよね、そういえば……
「私から逃げてもいいニャー。けど、弱った神獣2匹風情にそれは無理ニャー」
絵里の頭の中を読んだような、言葉に肩を震わせ絵里は振り返る。
そこに居たのはエプロンを着たマーラであり……
「決闘を始めるニャー」
そのマーラの一言と、エナとネヒィアが魔法を放ったのはほぼ同時で……瞬間、辺りが黒く染まり絵里は唐突に意識がカクっと落ちた。
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