36.仲直り
「わ、我は知らぬぞ?」
ハクが焦りながら首を振ってエナに言う。絵里はそれを黙って聞いたがエナは、
「そう」
たった一言言って……腕を上へとあげた。その瞬間、地面が割れて炎が飛び出す。だが……それは誰にも当たることはなく、消える。
ネヒィアが魔法を使ったのだ。けれど、エナはネヒィアに一瞬で肉薄して……ネヒィアは
「ハク」
ハクを連れて地面を蹴った。
それからしばし、ネヒィアとエナの攻防が続く。それを絵里は見ながらふと、ネヒィアは何がしたくてこんな事をしているのか、とそう思い考えてみたのだが……
今回ばかりはやはり分からない。いつもなら何となく分かるのに……エナと喧嘩して何かあるのだろうか?というか、なぜハクという子を連れてきたのか?
んー、なんで?エナは慰めるのが大変だから、こんな事しないで欲しい。本当に……本当に……あれ?なんで、ネヒィアはエナの指輪を持ってたんだろう?
あれ、エナのなんでしょ?んー、なんか思い出さないといけないような……あの指輪、どっかで……
と、そんな時
「まだ、続けるの?変な事しないでって、言ったのに」
「その指輪、返してくれたらいいわよ?そしたら、私消えるわ」
ネヒィアとエナのそんな会話が聞こえた。
よく見るとハクと人形?を抱いたネヒィアが、エナから少し距離を取って焦ったように息を切らしながら、視線をぶつけていた。
何が起きたのかは分からないが……何かもう呆れた、飽きた雰囲気が流れており、双方疲れているようだった。
絵里から少し離れた距離で、向かい合う2人を見て……絵里は何となく全てが繋がった気がした。
そうだ、あの指輪、私が買ったやつだ。安売りされてたやつ。急に消えて探しても見つからなかったやつ。けど、そんな指輪だけど
まあ、あんな使われ方したら怒るよね。全財産はたいて買ったし、遊び半分でエナのだよって言ったし。だから……だから……
「エナ。もう終わり。今からマーラを何とかするんだから」
「けど、あの指輪は絵里ちゃんの……」
「大丈夫。返してくれるよ。ネヒィアなんだから。だから、私の婚約指輪ぐらいでそんな怒らないで。それにネヒィアは――――――分かった?」
そうだよ。あの指輪は私がふざけて買った婚約指輪なんだ。まあ、それは置いといて……絵里はエナを抱くと
「ネヒィアを助けないとね。エナ」
「……そうね……」
ネヒィアって意外と姉の事になると単純になる。仲が悪くなったまま別れるのは意外と寂しいよ?ほんとに。まあ、そんな事に絶対ならないけど。
「ネヒィア。仲直りしないの?」
絵里の一言にネヒィアが目を見開いて、それから……
「お姉ちゃん。ごめんね。少し、いじめすぎたかな?」
「ええ、いじめすぎよ。けど、元気出たわ」
「そう」
エナとネヒィアの会話を聞いて、絵里はエナから離れハクに向き直ると
「こんにちわ。私は白雪絵里と言います。ハクさん?ちゃん?よろしくね」
そう言って手を差し出す。ハクは少し戸惑いながらもその手を取って、
「ハクでいいぞ?よろしくの、絵里」
手短に挨拶をした。それを聞き終えて絵里は、ハクの手を引くと一言だけ手短に返す。
「ねぇ、私のパンツの色を連呼して、いつもと一緒だね、なんて言ったのはハクだよね?」
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