33.言い合い
ネヒィアの言葉を聞いて、固まってしまう絵里。慰めるのが今日でお終いって、それってつまり……
ネヒィアの言葉を理解して、背中に冷たいものを感じながらも絵里は、口を開こうと……冗談だと確認しようとしたその時、
「主様。お姉ちゃんの料理、美味し?」
さっきの言葉が、まるでなかったかのようにネヒィアは、全く持って違う事を聞いてきた。相変わらず微笑んだままで、明るく絵里に向けたその言葉。
それを言い終わると同時、視線を逸らしてエナの方へと向ける。それに絵里はつられてしまい……ネヒィアと2人してエナを見る。
するとエナは、少し目を開いて
「ほ、本当、絵里ちゃん?美味しくない訳じゃ……ないの?」
不安そうな声色で問うてきた。もう、ネヒィアの話題ではなくなり触れる事が出来ない、そんな状況に持っていかされて……絵里は少し上擦った声で
「う、うん。ごめんね、勘違いさせちゃって。エナの料理はずっごく美味しいから大丈夫。安心して」
「良かったね、お姉ちゃん」
「そ、そう。なら良かったわ。ごめんなさい、少し慌てて」
話せば話す程に、ネヒィアの話題からは遠ざかり離れていく。
絵里はネヒィアに聞こうするが……その事をネヒィアは分かっているのだろう。
エナの安心した様な声色に、
「主様は、お姉ちゃんが作ったこの料理の中で、何が1番好き?」
まだ、あまり手を付けていない絵里の手元の料理を見ながら、ネヒィアは首を傾げそんな質問をする。
「主様は、お肉好きそう。私の少し、分けてあげようか?」
「え、えーと……なら、ちょっとだけ」
「どうぞ、主様」
ネヒィアがそう言って、お肉を分けてくれる。流石にこんなにして貰って、手を付けないというのはエナにも悪い気がして……絵里はお肉を食べ出す。
それと同時にネヒィアも料理に手を付けると、絵里よりも断然早く食べ進め、牛肉の味がするお肉を半分ぐらい食べたところで、
「ごちそうさま。じゃ私、少しだけ体洗うから待っててね」
そう言い残して、少し離れた所に言ってしまう。いよいよもって、諦めるしかなくなるが……絵里はふと
「ねぇ、エナ。エナはネヒィアの事を好き?」
絵里のなんでもないように発した言葉に、エナは少しむせる。それから少し間を置いて、落ち着いたエナは
「絵里ちゃん、急にどうしたの?で、えーとネヒィア事は好きよ。ずっと一緒にいるもの」
「そう……なら、マーラに勝てると思う?」
「ええ、もちろんよ。勝てるわ、絶対」
絵里の言葉に、自信ありげに返事をするエナ。そんなエナを見て絵里は、
「エナ……また私と、特訓してね」
少しだけ安心して言う。ネヒィアにはエナがいるから……そこまで心配しなくてもいいかもしれない、と。
なんやかんやあっても、絶対何とかなる気がするから……だから絵里は微笑んで
「エナって意外と、料理の味付け大雑把だよね。それと……」
「え、絵里ちゃん?」
急に明るく楽しそうになった絵里に、戸惑いの声をあげるエナだが……絵里はそんな事気にせずに、少し小悪魔めいた笑みを浮かべて、
「ねぇ、エナはネヒィアと子供、作らないの?というかさ、エナって積極的じゃないよね。もっと頑張ったら?モテないよ?」
「な、何があったの?と、というか、ちゃんとやる時はやるわよ?私だってモテるんだからね?」
少し頬を赤らめた絵里。そんな絵里と、料理を食べ終わったエナが珍しく言い合いを始める。
もう、ネヒィアの事なんて気にもせず、エナはこうだからモテないとか、こうすればモテるとか、あんまり意味の無い言い合いは、少し悪化していって……
結局、悪口大会の1歩手前までいってしまい、ネヒィアがジト目で絵里とエナを止めたのが、言い合いが始まってから、5分後ぐらい。
止めたネヒィアは、珍しくバカにしたように、エナに向けて、
「お姉ちゃんってさ、性欲もう枯れちゃってるよね?だから、主様を襲わないんでしょ?もう、歳?」
そう言ってエナは崩れ、言い合いは終わり、絵里も少し酔いから覚め静かになった。
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