26/3.白
ネヒィアの言葉は、ハクの心に大ダメージを与えた。会心の一撃だ!
「わ、悪かった。まさか、お主とは思わなかったのじゃ。許してくれ。そ、それに、謝るでない。な?な?」
オロオロあわあわ焦りに焦り、先程の声の迫力はどこへやら。
まるでハクは、幼い姉が優しく妹をあやすかの様に言葉を発して、ネヒィアに近づく。そして、恐る恐ると言った感じで頭を撫でて、
「ネ、ネヒィア、悪かった。すまぬ。我は、ネヒィアの事をそんな風に思っておらぬからな?だから、安心してくれ」
少し頬を染めて素直に謝った。だが、それにネヒィアは
「本当?なら……なんて、思ってるの?」
可愛く首をコテっと傾げて、ハクの目を覗き込みながら問う。
その顔は少し笑みが浮かんでおり、ニヤニヤと面白そうだ。
だが、ふっとその笑みが崩れたかと思うと、今度は悲しそうな、泣きそうな顔になって
「私の事……好き?」
弱々しい声で、心配そうにそんな言葉を口にした。
それに息を詰まらせ、魅入るハク。そして、何とか口から出た回答が……
「べ、別に我は……す、好きとか……そう言うのは……」
ごにょごにょと、口の中だけで呟く小言。
そんな小言に、もちろんネヒィアは満足なんてせず……
「私の事……嫌い……」
下を向き、すごく落ち込んでる風な演技をかます。これにいよいよハクが
「ああー、もう。ずるいぞお主。……我は好きだ。お主が好きだ。これで満足か?全く……可愛すぎじゃ」
ハクは少し頭を搔くと、何がが吹っ切れたように、顔を赤く染めながらも、ネヒィアに向け口早に捲し立てて言った。
そんな可愛い反応をネヒィアは、満足しながらニヤニヤと楽しそうな笑みを浮かべて見ていると、ハクはそっぽを向いて話題を変えにかかる。
「お、お主とおったら……頭がおかしくなりそうじゃ。早く要件を言え」
「……要件?会いに来ただけだよ?大好きなハクに」
ハクが口早に、腕を組んでそっぽを向いたままそんな事を言うが、ネヒィアは平然と首を傾げて真顔で答えた。それに
「なっ……そそ、そうか」
ハクは嬉しそうな顔でニヤニヤしては、笑顔を引っ込める。それをしばし見た後ネヒィアは真剣な口調で、一気に要件を捲し立て頭を下げた。
「なんで隠蔽術式が百二十二個もかかっているの?それと、助けて。お姉ちゃんと主様を……だから、だから、力を貸して、下さい」
それにハクは驚き目を見開くが……
「あ、頭を上げろ。そんな事しなくても力は貸す。というか、何があったのじゃ?」
「それは……――――」
ハクの優しい言葉にネヒィアは、手短に分かりやすく今までの事を語った。
◆◇◆◇
「ふーん、そうか。そうか。マーラはその主様とやらが殺せるだろうし……お主の姉様は死なぬぞ?深く考えるでない。それと、我は今捕まっておるのじゃ。神獣にな。だから、見つけられなかったのじゃろう?まあ、見つかったが……」
これまでの事を話し終えると、ハクは少し間を置き、それから先程のまとめを口にした。
それにネヒィアは一つだけ引っかかった事を口にする。
「どうしてお姉ちゃんは、死なないって分かるの?」
そんなネヒィアの言葉に、ハクは掌を上にやり
「それは、ほらこれじゃ」
そう言って現れたのは……外の景色を映す魔法で出来た板。そこには……
「……主様とお姉ちゃん……けど、なんで夜?」
「?ん?お主、気づいておらなかったのか?この空間は時間の流れが早いのじゃぞ?」
「……えっ?」
えーと、いつもなら同じ時間の流れのはずなのに……どうして?ていうか外どうなってるの?主様が持ってるの何?お姉ちゃんが……犯されてる?やばくない?
「ほらな。お主の姉様は力を貰っておらぬ。……まあ、何をやってるかは知らないが……ってどこに行くのじゃ?」
「外にちょっとだけ。また帰ってくるから」
「そ、そうかってちょ、無理矢理は……」
ネヒィアは無理やりこの牢獄に穴を開け爆発と共に外へと出て……すぐに帰って来た。そして
「ねぇ、私とずっと一緒にいない?ハク」
「いや……我は色々と仕事が……それに迷惑を……」
「大丈夫だよ?まあ、考えててよ、ね?明日の朝、また来るから」
「そ、そうか。でどこに?行くのじゃ?」
「主様に犯されに外に行ってくる。それと……マーラをぶっ殺しに、じゃ」
「えっ?待ってくれちょ、唐突すぎるじゃろ?って……お主、お主ー」
そう言い残しネヒィアは笑みを浮かべながら、外に出て……水着姿のエナと、テンション高めな絵里を思いっきり抱きしめた。
次から本編。
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