25/2.友達
自分で自分の魂に干渉する事は、神獣ともなれば造作もない。
ネヒィアは自分の魂を砕き、魂を一時的に別の物に変化させた。それは……
主に悪魔が宿している、魂とは対になる魄という物。
この魄は、魂とは全くと言ってもいい程に創りが違う。
なので、いつも魂の位置で私の居場所を把握してくれていたお姉ちゃんは、おそらく今、私を見失った。
主様は、私が魔法で本当に眠らしたから、夜まで起きない。それはお姉ちゃんもちゃんと分かってる。だから、私を探す為に一旦主様から離れる。そうすれば……
「夜までは何とか、時間稼ぎが出来る」
ネヒィアは手の甲で目を擦り涙を拭うと、駆け出した。
魔法で自分の姿を消して、地面にヒビが入る1歩手前まで力を込めて、地面を蹴る。そして……
「……見えた」
王国リーヤを守る壁。それを飛び越え、王国を出る。
そこからは一気に速度をあげて、元王国ナタラへとネヒィアは向かう。
元王国ナタラ。魔王を王として作られた王国。その王国は儚くも『七次元の悪魔』によって消された。
そう、『七次元の悪魔』である。
数分とかからず到着した、だだっ広い芝生しかない場所。
そんな場所でネヒィアは辺りを見渡し……深呼吸を1つ。そうして手を合わせ、目を閉じて……
「空間侵食・構築」
そう魔法を唱えた瞬間、ネヒィアの頭にこの空間の記憶が入ってくる。王国が破壊された時の空間の記憶が……
「……お姉ちゃんの言ってた通り、蒼と白。それ以外は……いない。それで……白は………………いた」
ネヒィアは目を開き、空中に手を伸ばす。そして、付箋を取るように、下から上へと動かした。
その瞬間、辺りが一瞬で白い光に包まれて……ネヒィアはスっとその場所から消える。それと同時に目には白い光が、耳には……
【誰じゃ。我の眠りを遮らんとする、愚者は?】
そんな迫力のある、幼い声が入って来た。
そこは、白い世界。辺り一面が真っ白で……壁も、天井も、床もない空間とは呼べない場所。そして、久しぶりに来た思い出の場所。
そんな場所でまた、どこからかやけに響く声が、聞こえてくる……
【邪魔な害虫め。殺してくれる。我は今……】
鬱陶しそうな幼い声。加えて眠そうで面倒くさそうな声はだが、ピタッと止まる。
その理由なんてまあ、分かりきっている。2度目だし。
それに私は、この声の主を知っていて、友達だから……
だから一応紹介、するね?名前はハク。私の友達で、大好きな悪友。
『七次元の悪魔』第六色【白】を司る悪魔。ハク。
そんなハクが今、目の前にいて……焦ってオロオロしている。そんな可愛い姿にネヒィアは、
「ごめん……なさい。愚者で、邪魔で、害虫で……」
泣きそうな演技をしながら上目遣いで、ハクの瞳を覗き込み、儚く言葉を零すと、頭をこてっと下げて、ハクに詫びた。
次に続く……次で終わるからネ?
面白い、ネヒィア可愛い、続きが気になるそう思った方ぜひ、ブックマークそれと
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