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24/201

24/1.お姉ちゃん

 お姉ちゃんと、久しぶりに喧嘩をした。昔はよくしてたけど……最近は全くしていなかった喧嘩の内容は、


 王国リーヤの女王だと言うマーラについて、どうするのかで揉めて……私が宿を出てしまった……


「お姉ちゃんの……バカ」


 お姉ちゃんはバカだ。次はない。犯されていた主様を助けた時でさえ、()()()()を迎えていたのに……


 もし、もし次に、私の魂の力をお姉ちゃんの魂へと分けたら……魂と体が崩壊して死んでしまう。


 少し前までは、そんな事にならなかった。ちゃんと力を制御出来た。


 けどそれが出来なくなったのは、主様をこの世界に召喚した時の傷が深く根を張っているからで……あの時お姉ちゃんは私を庇って、魂が()れかけた。それが今も()()()()()……


 それをお姉ちゃんは分かっているはずなのに……


「どうして?……お姉ちゃんばっかり苦しむの?……どうして私を……手放すの?」


 宿を出てしまったが行くあても特にはないので、何となくで歩きながら下を向き、震える小声で涙を堪えて言葉を零す。


 いつもそうだ。お姉ちゃんばっかり苦しんで、痛がって、ボロボロになって……それでも私の前ではそれを隠して、ふとした瞬間とても可愛く笑ってる。


「嫌だよ……やめてよ……」


 そんな笑顔浮かべないで……私が悪いのに、お姉ちゃんのせいじゃないのに……


 ねぇ、全部私が悪いんだよ?なのにどうして……そんな笑顔を向けてくれるの?


 私は……そんな笑顔を見る度に、罪悪感で胸が締め付けられる。息が詰まる。呼吸の仕方を一瞬忘れて、怖くなる。


 お姉ちゃん。死なないで、苦しまないで、痛みを堪えないで……何処にも、行かないで……


 けれど、このままだと何処かに行ってしまう。もう二度と会えなくなる。


 だから……だから……


「どうすれば……いいの、かな?」


 私がいなくなれば、おそらく次は……主様を頼って力を分けてもらうはず。


 だから主様には、保険をかけておいた。約束を主様に聞かせたておいた……


 不完全だけど、ギリギリ聞かせられた。それに、他に大事な事も色々……だけど


「分からない、よね……もしかしたら……」


 お姉ちゃんが本気で頼んでしまったら……願ってしまったら………主様は優しいから……


「分ける……かも」


 そう言葉を零し、人通りが少ない道の角を曲がった。その瞬間、


 ――ネヒィア、ごめんなさい。仲直りをしましょう?――


 頭の中にお姉ちゃんの声が響いた。


 喧嘩をすれば、いつもこうしてお姉ちゃんから謝って来る。いつも……いつも些細な事……で?


 そこでふと思ってしまった。いつも考えないようにしていた事。考え出したらキリが無いことを……


「仲直りって……何?私は……お姉ちゃんと……どんな、仲?それに……」


 私から謝った事って……あった?


 ネヒィアは立ち止まり、宿の方向に涙が溜まった瞳を向ける。


 私は……お姉ちゃんの妹で……たったそれだけで……他には?


 友達でも、親友でも、恋人でも、愛人でも、婚約者でも……ない。ただの姉妹。ただの家族。それは私だけが持ってる……仲。


 それは知っている。分かっている。けど、


「それ以下でも、それ以上でもない。ずっとその仲が変わらない」


 私はずっと守られ続けて……迷惑しかかけてない。


 私は……いない方が……


 そんな事が頭をよぎる。いなくなればもう、迷惑なんてかけない。仲が悪くなったりしない。でも、


「それが1番迷惑……だよね」


 約束は破れない。けど、もうこれ以上は……なら


 ――お姉ちゃん。時間をちょうだい。仲直りはその後……大好きだよ、お姉ちゃん――


 ――ネ、ネヒィア?ちょっとま――


 プツンとエナの声が途切れ聞こえなくなる。その原因は簡単。


 ネヒィアの魂にヒビが入って、パキッと砕けてしまったから……

次に続く……書いていたら面白くなってきて長くなってしまいました。そしてこれは金曜日分。なので日曜日分を夜の10時ぐらい投稿します。来週からはきちんと投稿するから許してネ!


面白い、楽しい、続きが気になると思った方ぜひブックマークそれと

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