24/1.お姉ちゃん
お姉ちゃんと、久しぶりに喧嘩をした。昔はよくしてたけど……最近は全くしていなかった喧嘩の内容は、
王国リーヤの女王だと言うマーラについて、どうするのかで揉めて……私が宿を出てしまった……
「お姉ちゃんの……バカ」
お姉ちゃんはバカだ。次はない。犯されていた主様を助けた時でさえ、軽く限界を迎えていたのに……
もし、もし次に、私の魂の力をお姉ちゃんの魂へと分けたら……魂と体が崩壊して死んでしまう。
少し前までは、そんな事にならなかった。ちゃんと力を制御出来た。
けどそれが出来なくなったのは、主様をこの世界に召喚した時の傷が深く根を張っているからで……あの時お姉ちゃんは私を庇って、魂が破れかけた。それが今も響いている……
それをお姉ちゃんは分かっているはずなのに……
「どうして?……お姉ちゃんばっかり苦しむの?……どうして私を……手放すの?」
宿を出てしまったが行くあても特にはないので、何となくで歩きながら下を向き、震える小声で涙を堪えて言葉を零す。
いつもそうだ。お姉ちゃんばっかり苦しんで、痛がって、ボロボロになって……それでも私の前ではそれを隠して、ふとした瞬間とても可愛く笑ってる。
「嫌だよ……やめてよ……」
そんな笑顔浮かべないで……私が悪いのに、お姉ちゃんのせいじゃないのに……
ねぇ、全部私が悪いんだよ?なのにどうして……そんな笑顔を向けてくれるの?
私は……そんな笑顔を見る度に、罪悪感で胸が締め付けられる。息が詰まる。呼吸の仕方を一瞬忘れて、怖くなる。
お姉ちゃん。死なないで、苦しまないで、痛みを堪えないで……何処にも、行かないで……
けれど、このままだと何処かに行ってしまう。もう二度と会えなくなる。
だから……だから……
「どうすれば……いいの、かな?」
私がいなくなれば、おそらく次は……主様を頼って力を分けてもらうはず。
だから主様には、保険をかけておいた。約束を主様に聞かせたておいた……
不完全だけど、ギリギリ聞かせられた。それに、他に大事な事も色々……だけど
「分からない、よね……もしかしたら……」
お姉ちゃんが本気で頼んでしまったら……願ってしまったら………主様は優しいから……
「分ける……かも」
そう言葉を零し、人通りが少ない道の角を曲がった。その瞬間、
――ネヒィア、ごめんなさい。仲直りをしましょう?――
頭の中にお姉ちゃんの声が響いた。
喧嘩をすれば、いつもこうしてお姉ちゃんから謝って来る。いつも……いつも些細な事……で?
そこでふと思ってしまった。いつも考えないようにしていた事。考え出したらキリが無いことを……
「仲直りって……何?私は……お姉ちゃんと……どんな、仲?それに……」
私から謝った事って……あった?
ネヒィアは立ち止まり、宿の方向に涙が溜まった瞳を向ける。
私は……お姉ちゃんの妹で……たったそれだけで……他には?
友達でも、親友でも、恋人でも、愛人でも、婚約者でも……ない。ただの姉妹。ただの家族。それは私だけが持ってる……仲。
それは知っている。分かっている。けど、
「それ以下でも、それ以上でもない。ずっとその仲が変わらない」
私はずっと守られ続けて……迷惑しかかけてない。
私は……いない方が……
そんな事が頭をよぎる。いなくなればもう、迷惑なんてかけない。仲が悪くなったりしない。でも、
「それが1番迷惑……だよね」
約束は破れない。けど、もうこれ以上は……なら
――お姉ちゃん。時間をちょうだい。仲直りはその後……大好きだよ、お姉ちゃん――
――ネ、ネヒィア?ちょっとま――
プツンとエナの声が途切れ聞こえなくなる。その原因は簡単。
ネヒィアの魂にヒビが入って、パキッと砕けてしまったから……
次に続く……書いていたら面白くなってきて長くなってしまいました。そしてこれは金曜日分。なので日曜日分を夜の10時ぐらい投稿します。来週からはきちんと投稿するから許してネ!
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