200.覚醒
「絵里ちゃん、大丈夫かしら?」
ノテーファの声が聞こえて、眠りから覚めたように体が覚醒する。
でも時間はたったの数秒しか経ってなくて、私はきっと一瞬でネヒィアの長い長い記憶を見ていたのだろう。
「……モネク、お願い」
「絵里ちゃん?」
私は先程見た記憶から、今日はどうしてかやけに頭が冴えているので色々と理解し、私はあっちの世界とノテーファ達の世界を再び繋げる。
「ノテーファ。手伝って欲しい事があるんだけど、いいかな?」
「ええ、もちろんいいわ。けど……」
私の言葉にノテーファは頷きながらも、やっている事が分からず少し疑問の表情を浮かべる。
そんな顔に私は優しく笑って、
「ノテーファ。エナとネヒィアの魂、創れるかも」
そう言うとノテーファは目を見開いた後、
「絵里ちゃんなら、きっと創れるわ。私は、何をすればいいの?」
疑問も迷いもなくなり、神様らしい顔をして私に言ってきた。
「手、繋いでよ」
言葉を待つノテーファに、手を差し出してそう言うと、ノテーファは優しく私の手を握ってくれる。それから私はノテーファの隣にくっ付いて、
「会うのは二回目だね、カイメイ」
空間の歪みが戻った事で、空間の狭間にいる私の場所を捉えてやって来たカイメイに話しかけると、
「お、お久し、ぶりです」
少しそわそわしながら頭を下げてきた。そんな可愛いカイメイに私はお願いをする。
「エナとネヒィアの記憶を、貰ってもいい?」
その願いに一瞬驚いた顔をした後、全てを理解したように、カイメイは金色の本と銀色の本とを魔法で取り出し、私にくれた。
「ありがとう」
受け取ってお礼を言うと、構いませんと言うようにカイメイは首を横に振って、
「お願い、します」
深々と頭を下げてきたので、私はその頭を撫でてあげ、
「任せて」
一言返すと、頬を染めながらカイメイは空間の狭間から出て行った。
それを見送って私は山桜の枝を一本折って仕舞い、ついでにあっちの世界から魔力を吸い、モネクにもう一度お礼を言おうとした時、
【あの娘達をお願いね】
どこからか声が聞こえて、私はしっかりと頷き、嘘偽りなく答える。
「死んでも守るよ」
すると、モネクは笑って言ってくる。
【ふふ、私と同じね】
そんな言葉に、
「そう、だね……モネク。ありがとう。そして、お疲れ様」
私は精一杯の笑顔を浮かべて言うと、
【本当、楽しかったわ。ずっと、仲良く、ね……】
眠りに落ちる様に最後の言葉を残して、モネクの声は聞こえなくなる。それと同時、空間の歪みが少しずつ閉じていき、
「ノテーファ」
「ええ」
ギリギリで私達はエナとネヒィアがいる世界に戻り、モネクの願いが叶って魔法が消えた。
私は少し寂しい気持ちになりながらも、目の前にエナとネヒィアがいなかったので探すと、気配は洞窟の外にあって誰かが運んだらしい。
なので私は山桜の枝を取り出して、地面に埋めてから、
「行こう。皆が待ってる」
「エナとネヒィアは皆に愛されてるのね」
私は嬉しそうで悲しそうな、そんなノテーファの手を引いて、洞窟の外へと出た。
200話ですね。よく書いたなって思います。
ここまで、皆さんが読んでくれるなんて思ってもみなくって、本当に嬉しいです。
では!
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