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197.氷と翼と影

 

「見つかっちゃったみたい」


 ジザンサスにネヒィアさん達の場所が見つかり、空間の歪みの場所が特定されてしまった。


 そんなことをハクさんから言われたのは、ほんの数分前。ここまで隠し通せていたのに、ここに来てバレてしまった。


 その理由は単純で……


「ジザンサスは、元第一(ちゅう)【虎】を司る神獣モネクさんをおそらくだけど、完全に吸収して魔力、魔法の痕跡が見えるようになったんだと思う」


 ジザンサスは神獣を吸収して強くなり、悪魔という存在から、別の何かへと進化を始めたから。


 ◆


 物凄い速さで森の奥へと消えて行った、ジザンサスとハク。でも、今の私の体では到底助ける事が出来ないので、カイメイ二人ともう一方のじゃの方のハクに視線を移す。


 カイメイは二人で確実に、第一()ノーロイドを攻め続け、第三()ティアを相手にしているハクもなんとか優勢で、勝機は全然ある。


 そして、第二()ファクトを相手にしている水色の人は、


「『冷華(グラキエス)』」


 圧倒的優勢であり、ファクトを氷の鎖で縛って、氷の檻に閉じ込めると、ティアを相手にしているハクへと加勢し、氷と白い光と影が、夜を司る神獣三体を追い詰めていく。


 でも……森の奥からいきなり白い光と、蒼い光がぶつかったかと思うと白い光は負けて、木々を切り裂く轟音と共にハクがここまで吹き飛び、先に回り込んだジザンサスに上に蹴られると、思いっ切り地面へと叩きつけられた。


「弱いね。僕と君じゃ、格が違うんだよ」


「その言葉、そっくりそのままお返します。『白霜の翼(アーラ・アルバス)』」


 土煙を払ってハクが魔法を唱えると、真っ白で絹のような長いスカートのドレスを纏い、


「『解放(バースト)』」


 今度は空中で白い美しい悪魔と、蒼い腹立つ虎が戦い始めた。


 それから数分。夜を司る神獣達は、水色の人の魔法に捕まり、残るはジザンサスだけに。


 けれど、じゃの方のハクは痛手を負い、カイメイ二人、水色の人は優しい方のハクに加勢して、


「よく頑張ったね」


「ふん……我はやはり戦いに向いておらんな」


 私の隣に痛手を負った方のハクが座り、傷が痛いからか不機嫌な声で私を見ずに言葉を返してくる。


 そんなハクに私は笑ってしゃがみ、


「治してあげる」


「やめろ。お主はもう、頑張らんでよいのじゃから」


「嫌。大事な友達のためなら、最後まで頑張るよ。だから、ほら……『銀白癒(ポース)』」


 お腹の傷の近くまで手を伸ばし、治してあげる。ハクは相変わらず嫌な顔をしていたけど、


「ありがと……じゃ」


 お礼だけはきちんと言ってくれて、


「いいよ、気にしないで。友達だもん」


 言葉を返して立ち上がりハクから視線を外すと、


「友達、のう……」


 珍しくハクが何か独り言を呟き、それからはお互い無言でジザンサスと戦う悪魔達と水色の人を見続ける。


 ジザンサスが強く速い魔法を打つ度に、水色の人が慣れているように魔法で防ぎ、カイメイ二人とハクが攻撃魔法を叩き込む。


 けど、ジザンサスも負けておらず纏っている蒼い雷で、防ぎ、避け、反撃をする。だが結局、双方これといって良い攻撃は入らない。


 こんな戦いが何十分も続き、少し疲れの表情が見えたり、決着がつかない事にイライラする表情を浮かべたりと、戦いを早く終わらせたい感じが見て取れる。


 だがジザンサスだけは違って、まるで何かを待っているように歪んだ笑みを浮かべて、時々私とハクの更に奥をまるで、何があるかを分かっているように見てくる。


 でもよくよく考えれば、ジザンサスがここに攻めてきた目的があるはずで……お姉ちゃんが連れてきた少女を吸収しようとしている、そんな可能性だってないわけではない。

面白い、続きが読みたい、そう思った方はぜひブックマーク!それと、

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