186.本物の姉妹
「だ、大好きにって……どうするんですか?」
お姉ちゃんの言葉を聞いたカイメイが、首を傾げながら疑問のこもった声で聞いてくる。
それに、
「一緒にいれば良いのよ。昨日、あっちの世界に行って、そして今、カイメイが言ったノテーファのして欲しい事を聞いて、大体分かったわ。あのノテーファって人が何を考えて、私達にどうして知識と術式をあげたのか。ねぇ、スマホって知ってるかしら?―――――」
お姉ちゃんはあっちの世界の色々な知識と、そしてある一人の少女について語った。
それから数分、じっくりと話を聞いたカイメイは、
「確かにそれなら、なんとかなりそうですね」
納得したように言葉を零し、ハクも、
「悪くはないが……」
悲しそうな顔で、肯定はしてくれた。私もお姉ちゃんの話には賛成なので、お姉ちゃんが話した、
私がお姉ちゃんを魔法でスマホに変えて、その上でハクの術式を応用して、スマホに変わったお姉ちゃんが喋れるようにすれば、お姉ちゃんスマホの完成。
それをさっき言った少女のスマホと入れ替えれば、ずっとお姉ちゃんは少女と喋れ、ずっとあっちの世界にいる事ができ、好きにさせられる。という作戦で決まり。
それじゃあとは、
「いつやる、お姉ちゃん?」
作戦を実行する日を決めるだけ。
「んー、そうね。明日からでいいんじゃないかしら?ハクとカイメイはどうかしら?」
「私は問題ありません」
お姉ちゃんがまずカイメイに視線を向けて、それからハクに。でもハクは、下を向きながら、
「もっと、違う作戦はだめなのか?お主らがそんなに頑張らんでも……」
か弱い言葉で言ってくる。それに、
「やる事もなく、だらだら死ぬよりかはマシだと思わないかしら?それに、カイメイ。さっき言ったわよね。仕事みたいな物って。それって、あなたとハクだけに頼んだ仕事なの?」
お姉ちゃんは平然とした顔で言葉を返して、カイメイに聞くと、
「いえ、エナさんとネヒィアさんも入っていますよ」
しっかりとそう答えたので、
「良いじゃない、ハク。皆でやりましょうよ。ね?」
お姉ちゃんはハクにそう優しく語りかける。
それにハクは拳を握って、
「分かったぞ……」
小さく頷いてくれた。
◆
作戦をある程度纏め終わると、今日はもう自由なので、私とお姉ちゃんはのんびりと洞窟の前で過ごすことに。
「お姉ちゃん、ずるい」
「仕方ないでしょう?ネヒィアがスマホになれば、元に戻れないじゃない」
「そうだけど……」
「ネヒィア、今日はずっと一緒よ」
お姉ちゃんは優しく耳元で囁き、抱きついてくる。明日から、どれぐらいかは分からないけど、長い間会えなくなる。
もちろん、そんな事は初めてなので私は結構困っている。それが顔に出ていたのか、お姉ちゃんは、
「帰ってきたら、これでもかってぐらいにイチャイチャしましょう?」
ハグしたまま、そう言ってくれる。だから私は、
「絶対、帰ってきてね」
少し声を震わせて、言葉を返す。
あと少しで死ぬというのに、会えない時間があるなんて、普通に考えておかしい。ハクが違う作戦を、と言ったときに、私も違う作戦を考えようと言えば良かったと、今になって思う。
でも……仕方ない。誰かが行かなきゃ行けないし、誰かがやらないといけない。それに、必ず私はお姉ちゃんが帰ってきて、イチャイチャ出来ると信じているから、だから……
「帰ってきたら、温泉に入って、お姉ちゃんの料理を沢山食べて……それから……」
「ええ、したい事を沢山しましょう」
「約束……エナ……」
私は久しぶりにお姉ちゃんの名前を口にした。
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