180.一つがいい
足がまだガクガクと震える中、それでも体をきれいにする魔法を使って体を綺麗にして、深呼吸を一回した後軽く落ち着きを取り戻し、お姉ちゃんの所へと戻る。
でも正直、まだ結構お腹の下が疼いてて、
「もう一回ここで……いや、だめ」
なんとか後にしようと抑えて、お姉ちゃんがいるはずの洞窟の前へと着いた。
「あら、おかえり」
「ただいま」
洞窟の前には私以外の全員が揃っていて、お姉ちゃんが一番に私に言葉をかけてくれる。
そして私の返事を聞いて、
「どこに行っておったんじゃ?」
ハクが不思議そうに聞いてきたので、しれっと嘘をつく。
「翼の確認。カイメイが治してくれたおかげで本気で翼を広げた時、ほんのちょっとだけ大きくなってた。ありがとう、カイメイ」
「それは良かったです」
私の嘘のお礼に、カイメイは微笑みを浮かべて言葉を返す。それが少し申し訳なくって、
「今度はハクの胸にもやってあげてね」
カイメイからハクに話を飛ばし、馬鹿にしてみると、
「なっ、お主は何を言っておるんじゃ?大きさで言ったら、カイメイが一番小さいぞ?」
いつものようにちょっと怒って言い返してくる。それに笑っていると、カイメイがハクを睨んで、
「心はハクが一番小さいですよね?」
そんな皮肉を言う。それにハクが、
「そ、そんな怒らんでくれ」
ちょっと怖がって大人しくなった所で、
「皆、お疲れ様。楽しかったかしら?特にハクとカイメイ」
お姉ちゃんが口を開き、ハクとカイメイを見た。その視線にハクは頷き、カイメイは楽しそうに頷く。
「良かったわ。それじゃ、今日はもうゆっくり休みましょう」
それを確認して、いつもなら話を続けるはずのお姉ちゃんが今日は特にそれ以上の事は何も聞かず、どこか楽しそうにそれだけ言うと、
「ネヒィア、久しぶりに少し遠くに行ってみない?」
いきなり私に視線を向けてそう言ってきた。私はそれにびっくりしながらも、でもすぐに、
「うん。行きたい!」
迷う事なく頷いた。
◇
魄を魂に戻した後、私達は手を繋いで久しぶりに空を駆ける。
「どこに行くの、お姉ちゃん?」
「決めてないわ」
「えっ?それってどういう……」
私が首を傾げて言うと、
「カイメイとハクを二人にしてあげたかったのよ。何か色々と隠し事があるみたいだから」
お姉ちゃんはどこか遠くを見て、一瞬寂しそうな瞳を浮かべながら口を開いた。
けど、パッと表情が変わっていつも通りの笑顔を浮かべると、
「ネヒィア。今日は、久しぶりに違う所で野宿しましょ!」
手を更にぎゅっと握ってくれ、いつもの優しい声色に戻って、私はそれに安心する。
「うん!」
最近お姉ちゃんはどこか雰囲気が変わった、なんて思ってたけど、どうやらカイメイとハクを気にかけての事らしい。お姉ちゃんはちょっとお人好しだから。
それから少し経って、ほんの少しだけ森の中で開けている場所を見つけて降りる。
「中々にいい場所ね。軽く整えるだけで良さそう」
お姉ちゃんは辺りを軽く見渡してそう言うと、転がっている石や木の枝なんかを風で吹き飛ばし、落ち葉を軽く敷くと、一応魔物が来ないように、
「『遮断結界』『阻害結界』」
音を遮断する結界と外からは姿形が見えなくなる認識阻害の結界を張り、お姉ちゃんは私の方へと来る。すると、
「ネヒィア、だめ?」
いきなりお姉ちゃんが私の頬を両手で挟みながら、おでこをくっ付けて、どこか苦しそうに言ってきたので、
「……んっ♡」
私は顔をぐいっと動かして、お姉ちゃんとキスをし、お姉ちゃんの口の中に、これでもかと舌を押し込んだ。
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