177.追い付けますように
私とお姉ちゃんはお風呂に浸かり、カイメイは足湯を、ハクはもうお風呂に入ったので地面に座り、皆が落ち着いた所で、
「ネヒィア、さっきの術式以外に何か頭に入ってきた事はないかしら?」
お姉ちゃんがそう聞いてくる。だから私は正直に、
「どうしてあっちの世界は人間に支配されているか、って記憶が入ってきたよ」
それを聞いて、お姉ちゃんは少し笑うと、
「私は、あっちの世界にあるものが大体分かるようになったわ」
そんな事を言ってきて私は少し驚く。でもふと、ノテーファは皆に知恵を授けると言っていたことを思い出して、
「もしかして、ハクとカイメイも何かある?」
二人を順番に見てそう言うと、
「我はあっちの世界とこっちの世界を繋げて話せる術式じゃ」
「私は……」
ハクはしれっと便利な術式を言い、カイメイは何故か言葉を詰まらせる。
「どうしたの?」
私はそれを見て優しく言葉をかけると、カイメイは少し間をおいてから私達の方を向いて、
「私は、魂と魄についての知識です」
しっかりと言ってきた。でも、どうしてそんな知識を?と思っていると、
「明日、皆でまた行かないかしら?」
お姉ちゃんがそう言って来たので、
「行こう」
私が嬉々として言葉を返すと、カイメイも頷き、ハクは渋々頷いた。
「明日、ノテーファに貰った知恵が本当かどうか、確かめてみましょう」
◆
朝、目を覚ますと皆はどうやら起きていて、朝ごはんを食べていた。
「おはよう、ネヒィア」
「……おはよ、お姉ちゃん」
今日の朝ごはんはどうやら、パンに焼いた卵を乗っけただけの軽い物で、一分も経たずに食べ終わると、
「ネヒィア、魂を魄に変えましょう」
お姉ちゃんがそう言ってきたので、カイメイに教えてもらった術式を使って魂から魄へと変える。
「これで、大体準備は整ったかしら?」
なんの問題もなく魄に変わったお姉ちゃんは、皆に向けて口を開いた。
それに皆頷くと、
「それぞれ自由に動いて構わないけれど、あっちの世界に入った瞬間から、五十分が経ったら、元の世界に戻ってくる。それでいいかしら?」
お姉ちゃんの言葉に皆はしっかりと頷いて、洞窟の中へと入り、お姉ちゃん、私、ハク、カイメイの順番で空間の歪みへと飛び込んだ。
◆
目を開けると山桜は少し散って、地面に沢山の花びらが落ちている。
「また来たわね」
隣にはどこか楽しそうなお姉ちゃんがいて、手を繋ぐと、ハクとカイメイを探そうと辺りを見てみる。
けれどいなくって……
「もう先に行ったんじゃないかしら?」
お姉ちゃんの言葉に、そうみたいとだけ返して、私とお姉ちゃんは歩き始める。
「この世界はやっぱり人間が多くて不思議」
「そうね。それに、沢山物も溢れかえっていて、少し覚えるのが大変だわ」
お姉ちゃんの言葉に、私は邪魔しないよう静かにしながら、物はお姉ちゃんに任せて私は人間を観察してみる。
皆色々な服を着ていて、色々な髪型で、大人ほどどこか疲れた表情をして、急いでいる。
それに前来た時も気になったけど、この世界の人間は不思議な板を吸い込まれるように触っていて、その時はなんだか少し感情が冷たいなと思う。
人間同士で話している人は、明るくて感情が温かいのに。
それからしばらく色々な人間を観察し、この世界に来て十分が経とうとした時、前も来た大きな四角い物が立つ、人間が多い場所に来た。
と、またいい匂いがして、
「高校生活……上手くいくかな?」
どこか悲しそうに一人、言葉を零す少女を見つけて、私はお姉ちゃんに声をかける。
「私、あの女の子を追いかけたい」
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