175.禁忌というか禁断
どうして、人間が星を支配しているのか。どうして、魔法を使う事が出来なくなったのか。世界に正解はないけれど、真実ならある。
最初その星は何でもできる、全知全能の神が支配していた。その神は新たな神を作り、沢山の神で溢れかえった。
それから月日は流れ、そんな沢山の神に戦いを挑むものが出てきた。けれど、戦いに挑んだものは次々に敗れ死んでいく。
やがて神たちは天界という自分たちの楽園を創り、神だけの世界で暮す。
神がいなくなった世界に残ったものは、神に戦いを挑んで屍になった、神になることの出来なかった者達。
その者達が死んでもなお、出す魔力はやがてその星に溜まり、いつしか魔力を扱う生き物、魔力から生まれる生き物に向いていない程濃くなってしまった。
それはある種、その星の運命かもしれない。
そうして今、その星で一番知能が高く進化した人間が、支配者となったのだ。
◆
頭の中の記憶をみていたら、いつの間にか眠っていたらしい私は、夜空がこちらを見下してくる中起き上がる。
軽く目を擦って、お姉ちゃんの手を解くと立ち上がり、お風呂があるはずの場所に向かう。
「……ハクだ」
「な、な、なんじゃ!なぜ足音もなく歩く!」
「だって、お姉ちゃんを起こしたら悪いでしょ?……綺麗な体。舐めさせてよ」
「嫌じゃ!我はもう出る」
「待って、ハクに頼みたいことがあるから」
お風呂の中で立ち上がったハクに、私がそう言うとハクは認識阻害魔法をかけてから、
「なんじゃ?」
私の方を向いてくれる。そんなハクに私は、
「新しい術式を覚えたから、それが何なのか当てて欲しい。ダメ?」
「何でそんな事を急に……我はやらんっ♡やめろ!」
「やってくれないと、離さないよ」
後ろから裸でハクに抱きついて、首筋を舐める。そんな私にハクは体を振って引き離そうとしながら、
「分かった!じゃから、離れんっ♡かあっ♡」
「つまんないの」
私は暴れるハクを離して、お風呂に浸かる。ハクが温かくしたのか、丁度いい温度で少し息を深く吸う。
そして、
「ハク、準備はいい?」
「はぁ……良いぞ」
ハクが私の方を向いてくれ、そう言ったので、私は昨日頭の中に流れ込んで来た、術式を展開する。
「これは……」
私の後ろと前に現れた魔法陣の色は銀色で、大きさもそれぞれ。そんな複雑な術式にハクは、一旦驚きながらも、
「なんの術式じゃ?知らんぞ」
嘘偽りなく、きっぱりとそう言った。
私も自分で展開した術式を見てみる。見たことのない術式で……でも、何故か分かる。
どういう仕組みかとか、一個一個の魔法陣の役割は分からないけど、この術式は……
「生き物を物に変える術式だよ」
「……それは一体どこで?この術式の中の魔法陣、ほとんどが禁忌である、裏返しで展開してますよ」
私の言葉にいきなりカイメイが反応したので、少し驚く。それに足音と気配がなく、急に現れたらからちょっと怖かった。
まあ、私も同じ事ハクにやっちゃたけど……それよりも、
「裏返しは、禁忌なの?」
初めて聞いたカイメイの言葉を聞き返す。
「はい。悪魔の中では、の話ですけどね。裏返しは、魔法陣の役割をマイナスにしますから」
「そうなんだ……」
「それと、理由はもう一つありまして、神も裏返しの魔法陣を使うとされているので、禁忌と言われています」
初めて聞いた悪魔の禁忌に、そうなんだ、という目でハクを見てみると、ハクはなんのこっちゃ?と首を傾げていた。
「ハク、知らなかったんだ」
「べ、別に知っておったぞ?」
「そう、本当に悪魔?」
「わ、我はちゃんと悪魔じゃ!」
「それで、この術式はどこで?」
私がハクを馬鹿にしていると、カイメイが真面目な顔でそう言ってくる。
それに私はなんて返そうか迷ってから、
「今日ここに来た、ノテーファに教えてもらった」
嘘をつかずに、正直にそう言った。
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