169.カイメイという名の悪魔
意識が暗闇から抜け出して、目が覚める。調子が良くなった体を起こして立ち上がり、辺りを見渡すと、ハクとお姉ちゃんが、焚き火を囲って朝ごはんを食べていた。
「おはよう、ネヒィア。朝ご飯は食べれそう?」
「うん!」
お姉ちゃんの隣りに座ってご飯をもらい、一緒に食べる。やっぱり、お姉ちゃんの創るご飯は世界で一番美味しい。
「お姉ちゃん、すごく美味しいよ」
「それは良かったわ」
お姉ちゃんを見ながらご飯の感想を言うと、嬉しそうに笑って、私の頭を撫でてくれる。私はそれが気持ちよくって、目を瞑っていると、
「お二人共、お元気そうですね」
カイメイの声が後ろから聞こえてきた。
「ご飯、食べるかしら?」
お姉ちゃんが後ろを向いてそう聞くと、カイメイは嬉しそうに頷く。
「はい。エナさんのご飯は美味しいですから」
お皿を受け取ったカイメイはハクの隣に座って、なんてことない雑談をしながら、四人で仲良く食べる。
一番最後、ハクがご飯を食べ終わったタイミングで、カイメイは立ち上がると、
「エナさん、ネヒィアさん。ほぼ、マナが体に馴染んだようなので最後に、どうでしょう、私と戦いませんか?」
どこか子供じみた笑顔で聞いてくる。そんなカイメイを初めて見たので、少し驚きながらも、私とお姉ちゃんは目を合わせから向き直り、
「いいよ。やろう」
「カイメイとなんて、初めてね」
私もお姉ちゃんも、カイメイに笑って言葉を返し、受けて立つ。
「では、少し移動しましょう」
カイメイの言葉に従って付いていき、洞窟からそこそこ離れた場所へ。
けれどそこは、洞窟の前と特に変わらない森の中。
「本当にここで良いの?」
一対二でここは少しカイメイが不利な気がする。でも、カイメイは平然と構えて、
「構いません。それでは、早速始めましょう」
戦う気満々のよう。それを見て、私とお姉ちゃんも構えを取る。そうして遅れてやって来たハクの合図で、
「初めじゃ!」
私とお姉ちゃんはカイメイの懐に一気に飛び込む。
けれど、拳はカイメイに当たることなく空を切って、いつの間にか姿を消したカイメイを見失ってしまう。
「ネヒィア、後ろ!」
お姉ちゃんの声に後ろを向くと、私の影からカイメイが姿を表して、ギリギリで蹴りを避ける。
「ネヒィア、魔法使えるかしら?」
「弱い魔法なら」
カイメイを初手で襲った時も、蹴りを避けた時も魔法を使おうとはしたけど、上手く使えなかった。
魔力と微妙に違うマナで魔法を使うには、まだ少し時間がかかりそうで……
「ネヒィア、魔法だけに集中しなさい」
お姉ちゃんはそう言って、また私の影から出てきたカイメイに一撃蹴りを入れる。防がれはしたけれど、二、三歩よろけて影から出たので、私は素早くカイメイから離れ、魔法を使おうと集中する。
でも、頭の中で術式を組み立てて、使おうとするけれど、途中で術式が壊れてしまう。
感覚的にはマナを操るのが下手なせいで、途中の術式が組み立てられない、そんな感じ。
だったら……
「『解放』」
魔法を得意とする神獣だけあって、魔力がマナに変わったとて、簡単な魔法なら集中すれば使える。
私の体の中だけを流れていたマナが、外へと膨れ上がり私を纏う。
「『重力湾曲』」
お姉ちゃんとカイメイが一進一退の攻防を繰り返している中、膨れ上がったマナで無理矢理補った魔法をカイメイ向けて撃つ。
その瞬間、
「『重力加速』」
カイメイは私の魔法に即座に反応して、こちらをギロリと睨むと、私の魔法とカイメイの魔法がぶつかって、空間が歪み、物凄い圧が辺り一帯に降りかかった。
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