表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

164/201

164.お隣に死

 しばらく歩いて、四角い家の近くに来た。そこは人間が沢山おり……


「あれは何じゃ?生き物か?」


 四角い硬そうな物が道を走っていた。


 地面は土ではなく、黒色だったり白色だったり。そして、大きな家や小さな家が立ち、透明の板のような物が勝手に開いたり閉まったり……


「魔法……いや、違う。何なんだろう?」


「見たことないものばっかりね。それで、カイメイどうすればいいかしら?やっぱり、何かから情報を得ないとよね?……カイメイ?」


 エナがこれからの事を話そうと、カイメイの方を向くと、カイメイは真剣な顔をして、何か考えているようだった。


 と、私とお姉ちゃんを見て、


「エナさんとネヒィアさんはもう帰った方がいいです」


 いきなりそんな事を言い出した。でも、カイメイに限って冗談はない。だから、私は聞いてみる。


「どうして?」


 その言葉に返ってきたカイメイの言葉は少し、ゾッとするものだった。


「空間の歪みの近くにいた時は気付きませんでしたが、この世界の魔力の濃度はすごく異常です。魔力の塊であるエナさんとネヒィアさんは、おそらくここにいれば肉体が空間に溶けて、魂が周りの人間達に吸われて死にます」


「……本当なのね」


 エナがカイメイの目を覗き込んで数秒。静かにエナはそう言葉を零した。


「しょうがないな。ここまで来たが、帰るか」


 ハクの言葉に誰も反論しない。でも……ここまで来てそんなすぐ諦めたくない。


「ネヒィア、どこに行くの?」


「私はここに残る。お姉ちゃんは帰って。ハクもカイメイも」


 私は行く宛もなく歩き出す。カイメイのおかげで時間は限られていると分かった。だからこそ、早くあの花の名前を調べなきゃ。


 情報を得る一番確かな物は……


「ネヒィアッ!」


 後ろからお姉ちゃんの怒った声が聞こえてくる。久しぶりに聞いたその声は、どこか懐かしくて、でも振り返ることなく私は歩き続ける。


 我ながらわがままだと思う。でも、やらなきゃ。何故かそんな使命感に頭が支配されて、私は進んで行く。


 けど……私は思わず足を止めてしまう。


「帰るわけ……ないでしょ……」


 後ろからお姉ちゃんに抱きしめられたかと思うと、苦しそうな、悲しそうな、力ない声が聞こえてきた。私はその言葉を聞いて、お姉ちゃんの手を握る。


するとお姉ちゃんは深呼吸をしてから、いつも通りの優しい声で、


「私もついて行くわ」


そう私に言ってくれた。だから私も、優しく言葉を返す。


「……ありがとう。大好き」


「私も大好きよ、ネヒィア。だから、死ぬときは二人一緒」


 私とお姉ちゃんがそんな会話をしていると、追いかけてきたハクが真剣な顔をして、


「だめじゃ。お主ら帰るぞ」


 私の腕を引っ張って、帰るよう促してくる。ハクがこんなにも必死な顔をしているなんて珍しい。でも、私はハクの手を振りほどいて言う。


「帰らないよ。絶対に」


「だめじゃ!帰らぬと死ぬんじゃぞ?」


 ハクは少し声を荒らげながら、私の瞳の中を覗き込んでくる。そんなハクの瞳は力なく揺れていて……


「落ち着いて下さい。死ぬと言ってもまだ時間はあります。その間になんとか出来るかも知れません」


 ハクが口を開こうとした時、それを遮るようにカイメイが入ってくる。でも……カイメイも少し機嫌が悪そうで……


「でも、約束してください。次、私が帰ろうと言うときは、何が何でも帰ります。いいですか?」


 カイメイの気迫に、私は頷く。それを見てカイメイは表情を和らげて、


「行きましょう。時間がありません」


 まだ納得のいってないハクの手を引きながら、カイメイは走り出した。

面白い、続きが読みたい、そう思った方はぜひブックマーク!それと、

☆☆☆☆☆

↓↓↓

★★★★★

広告下の星を押してポイントを!ついでに、いいね!と思ったらいいね!ボタンもポチッと!

よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ