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145.第一色

 絵里は微笑みながら、エナの悲しげな頭を優しく撫でてあげる。


 なんと言うか、こんなにも弱気なエナを見てるとゾクゾクする。


「エナ。大丈夫だよ」


 きっと、ちょっと怒ったら怯えて、もしかしたら泣くようなそんな、か弱い女の子。それが可愛いと言うか、傍に居てあげたくなると言うか……


「帰ってくるよ、きっと。だから大丈夫」


「……うん」


 絵里の言葉にエナは頷き、絵里にだけ届く声で、返事をする。


 絵里にとって、エナとネヒィアの親の事なんて全く分からない。けれど大丈夫だって、そう言いきれるのは、エナとネヒィアの親だから。


 絵里はエナの頭を急にわしゃわしゃっと撫でて、


「寂しかったら、もっと抱きついていいよ」


 優しくそう言うと、エナはもぞもぞと動いて、絵里の小さなおっぱいに顔を埋め、絵里の太ももにまた自分の股を押し付けて、擦り出す。


 それを見て、ネヒィアは少しだけ悲しそうにエナに言う。


「お姉ちゃん、主様の事本気で好きだね」


「えっ?それってどう言う……」


 絵里のその疑問の言葉の続きを止めるように、コンコンと小さなノックの音が聞こえて……ネヒィアが一瞬でその方向を向く。


 すると外から、少女の小さな声が聞こえてきた。


「あ、あの……カ、カイメイです……」


 その声にネヒィアは肩を下ろす。


「入ってもいいよ」


 その声に、扉はゆっくりと開かれて、


「エ、エナさん……その……きゃっ、は、裸っ!」


 ばんっと大きな音を立てて、扉が閉まった。


 そんな様子に、絵里は少し呆然としながらも、ネヒィアに問う。


「い、今のは?」


「今のは、『七次元の悪魔(クラウンズ)』第一色、カイメイ。黒を司る悪魔で、ちょっと恥ずかしがり屋さん」


 は、恥ずかしがり屋さん、ね……というか、あんな小さくて可愛い子が悪魔なんだ。まあ、黒髪のショートに黒目に黒い服で、黒を司ってる感はあるけど……


「主様、はい」


「こ、これは、エナのも……着せてあげればいいの?」


「うん。じゃないとカイメイは私達を見れないから」


「わ、分かった。エナ、これ着せてあげるから両手あげて……どうして?」


 絵里の言葉に首を振るエナ。そんなエナはまた絵里に届くぎりぎりの声で言う。


「……離れたくない」


「えっーと……それじゃ、出来たらご褒美あげる。どう?」


「……ご褒美?」


「うん。出来たら頭撫でて、今よりも抱きしめてあげる。どうかな?」


 絵里のそんなご褒美の内容に、エナは首をまた振って、


「……キスならいい」


「キ、キス、ね。別に良いよ?それじゃ着てくれる?」


 エナは絵里に渡された大きな服を一枚着る。これで太ももまで隠れるのでまあ、カイメイも安心。


 絵里とネヒィアもささっと着て、ネヒィアが扉の外に声をかける。


「いいよー、カイメイー」


「ほ、本当ですか?」


「本当だよ。信じて」


 ネヒィアの言葉から数秒の間を空けて、また扉がゆっくりと開く。


 それと同時に何を思ったのか、エナが思いっきり絵里にキスをして押し倒す。そのおかげでエナと絵里の服がめくれ……


「あわわっ!ハ、ハレンチじゃないですかっ!」


 カイメイは大きな声で、慌てた様にそう言うと、扉をまた思いっ切り閉めた。

ハ、ハレンチじゃないですかっ!


一番まともな子ですよね。可愛い。


面白い、続きが読みたい、そう思ったらぜひブックマークそれと、

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