139/7.ハクのちょっとした過去3
「我は知らんぞ?殺してもおらぬ」
「ふーん。そう」
ハクの言葉を聞いて、メイデーはハクから視線を動かす。
本当に何も知らん。閉じ込められた後は、寝ておったから……
「本当に、知らない、か。まあ、いいか」
先程までと同じ声。けれど、どことなく力がこもっていないその声に、ハクは少しだけ明るい笑みを浮かべる。
メイデーは少しだけ不思議な悪魔。やる時はやる。ても、やらない時はやらない。
そんな感じの悪魔で……真実がすぐに分かる、心の悪魔メイデー。そう噂されていた。所詮は噂。けれど、あながち間違ってはいない。
メイデーは本当に心の悪魔。本当に心が読める。
「ハク。時々するその顔、僕好き」
「そ、そうか。ありがとう……」
少し頬染めて下を向きながらハクはぽしょっと、お礼を言う。
背の高さ的に、そうハクが下を向くと、メイデーから見て頭を撫でて欲しそうな子供そのものだから、
「よしよし」
ハクの頭をメイデーは撫でる。髪がくしゃとなるぐらい、片手で撫でて、笑みを浮かべると、ハクから離れて、手を振る。
「それじゃ、また。なにか分かったら、教える」
それにハクも手を振り返して、
「またな」
短くそう返す。それを聞いてメイデーは歩き始める。誰もいない路地裏は意外と短い。だから、すぐに曲がってしまい姿が見えなくなる。
「行ったか……」
見えなくなったメイデーにそう言って、ハクは引き返す。誰も居ない裏路地から、人が沢山いる大通りまで。
王国ナールも王国リーヤと変わらず、外にもお店がある。果物を売ったり、お菓子を売ったり、野菜を売ったり……
その中からハクは、色々なお菓子を買って歩きながら食べる。
「美味いな」
お菓子を作った人間は本当にすごい。昔は昔で色々と面白かったが、今は今で、色々と面白い。
味の変わる飴があったり、雲みたいな白いふわふわもある。
ハクは一通りお菓子を食べ終えて、飴を舐めながら散歩を続ける。
日は少し傾き、夕方が迫る。人の流れは相変わらず多くて……ハクは大通りを外れ、人がまばらな道を行く。
人が沢山いる場所にずっといると疲れる。
ハクは歩きながら深呼吸をして、甘いりんご味の飴を舐め終える。
そして、またお菓子でも買おうとそう思いながら歩いていると、カランカランとお店のベルがなり、扉から、セキウが出て来て目が合う。
それから数秒見つめ合って、
「ハク。また会ったわね。私の家に来ない?」
にこっと可愛い笑みを浮かべたセキウに、優しく囁かれた。
面白い、続きが読みたい、そう思った方ぜひブックマークそれと、
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