137/5ハクのちょっとした過去
絵里とネヒィアがベッドでイチャイチャする中、エナはハクに、
「私は少し用事があるから夜、また帰ってくるわ」
「わ、分かった。お主も気を付けるんじゃぞ」
ハクの言葉を鼻で笑って、エナは部屋から出て行く。今の時間帯はまあ、夕方ではないけれど、もう少しで、太陽がオレンジ色に染まり出す、そんな時間。
「お主ら、我も用事がある。夜には帰ってくるはずじゃ。じゃからお主ら二人、夜まで楽しむんじゃぞ」
そう言って、ハクは扉を閉める。あの二人がイチャイチャしている所を見ると、どうしようもないぐらい、心が切なくなる。
だから……
「これから、夜まで何をしようかのう……」
特に用事もないのに部屋から出た。
「本当は四人で仲良くしたいんじゃが……」
今エナは少し躍起になって、絵里の記憶を戻す素材を集めておる。それ故に、エナは一緒には居られない。
全部が全部嫌なタイミングの時に起こって、面倒事になる。最近、いい事がない。
そんなハクの思考を断ち切るように、
「お待ち下さい」
宿屋の受付の女の人が、ハクを呼び止め、
「先程、エナさんに白い肌の銀髪の方が来られたら、これを渡してと頼まれまして……」
そう言って、手のひらに乗る少し大きい布の袋を差し出す。
それをハクは受け取って、中身を確認すると、
「金貨じゃな」
エナは時々、我の行動を容易く読む。本当にすごい。今回もお金を持っておらぬと分かって、くれたのじゃろう。
一人でお金もなく街に行くのは可哀想だから……
「わざわざすまぬな」
「いえ、お気になさらず。それと、セキウさんからは言伝を。「また、近いうちに会いましょう」と」
「そうか……」
「それでは私はこれで。今後ともこの宿屋をよろしくお願いします」
受付の女の人はそう言い終わると一礼して、受付に戻って行く。
そんな姿にハクも体の向きを変えて、宿屋を出る。
やりたい事もしたい事も特にないので、取り敢えず散歩。
ナール王国。流石……本当に栄えている。行き交う人々に、高い建物。なんでも揃っていそうなお店。
どこを取っても、人の努力が垣間見えて……
「人間とは、本当に凄いの」
思わず口から、そんな感想が出るほどにハクは感心していた。
そんな時、見覚えのある背中を見つけて、
「あれは……」
ハクはその背中に声をかける。
「お主……待ってくれ」
ハクの声が届かなかったのか、人を綺麗に避けて遠ざかって行く。
ハクはそれに何とか追いつき、今度はしっかり肩を掴んで、
「お主!」
一言言葉をぶつけると、その声にやっと反応し、
「……その声、ハクか。久しいな、友よ」
振り返りながらハクの名を呼ぶと、
「少し、時間はあるか?」
そう言って、ハクを抱き締めた。
ハクの話が少し入ります。お知りおきを。
面白い、続きが読みたい、そう思った方ぜひブックマークそれと、
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