131.夢と記憶
エナとの買い出しを終えて私は今、部屋で一人。
エナは先程買ったものを魔法陣の中に入れそれから、ネヒィアの所に行った。マーラもハクも誰もいない部屋。一人になったのは久しぶりな気がする。
「やる事がない……」
日は傾いて、オレンジ色に近い太陽の光が窓から差し、部屋を照らす。
外は静かで、何も聞こえない。と言うか、よく考えてみれば、このお城の中の音すらも聞こえない。ただただ静かな部屋。
「うん……寝ようかな」
ベットに寝っ転がって、布団をかける。そうして……絵里は驚くほどに早く眠りに落ちた。
◆○◆○
「起きろ、お主!」
「う……うぅ……」
絵里は目を擦りながら、目を開き前を見る。すると、そこにはハクがいて……
「ここ……は?」
知らない場所でハクが白く輝いていた。辺りは暗く、やけに広い。そして、地面と空間の境目がなくどちらが上で下かも分からない。
けれど絵里は、数歩歩いてハクに近付く。ハクはそれを見て、いつもの声で言う。
「ここは夢の中じゃ。そしてお主は今、寝ておる。起きればきっと、朝じゃろう」
「そ、そう。それで……」
知らないから教えてあげるよ、みたいな表情でハクは説明をしてくれる。その説明を聞き、絵里は大体のことを把握して、ハクに絵里は問う。
「どうして、ハクはここにいるの?」
「少し話をしようと思って……その、」
ハクはそこで一旦息を吸ってから、
「お主の体の事じゃ。エナとネヒィアが調べて大体の事が分かった」
それから、ハクは少し申し訳なさそうに絵里の体について話した。
まずはもう、身長も胸も小さくなることはないらしい。
そして、絵里の中に残っている魂は元の形の三分の一。エナ、ネヒィアと綺麗に三等分したのだから、まあ当たり前の結果だ。
最後に、
「お主の記憶も、魂と一緒に三等分されたはずなのじゃ。記憶だけなら、体に戻せる。じゃが、その記憶を元に戻すのには少し時間がいる。それまで、待ってくれるか?」
ハクは絵里の瞳を逃げずにじっと見る。それに絵里は、
「うん。大丈夫。待つよ」
「……お主には迷惑をかけてばかりじゃ……ナール国に行けば戻せるはずじゃ。すまんの」
「いいよ、全然。ハクが、気にすることじゃない」
絵里はそう言うと、ハクを抱きしめ頭を撫でる。ハクはちょっとだけ暴れるが、やがて落ち着き、少し頬を染めて、目をつぶる。
それからハクは、絵里の顔を擦り付け、
「我はお主が好きじゃ。我の物にしてやる。だからそれもついでに、待ってくれ」
それを言い終わると、可愛い笑みを浮かべ、辺りが白くなる。
そして、絵里はそのまま夢の中で目を瞑り、意識が飛んだ。
面白い、続きが読みたい、そう思った方ぜひブックマークそれと、
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