130.?
「……分かったわ」
絵里の言葉にエナは顔が赤いまま返事をして立ち止まる。その隙に絵里はエナの手を握って隣に。そうして、二人仲良く歩き始める。
エナは意外とちょろい。それと優しい。絵里はエナの手をぎゅっと握りしめて、
「ねぇ、それでエナ。あの本は、誰が書いたの?」
「……私よ」
「へー、いつ書いたの?」
絵里は、ある程度は分かっていることを、それでもニヤニヤしながらエナに聞く。
それにエナは少し口篭りながらも、言葉を返す。
「絵里ちゃんが寝ている時に……」
「そう。エナは本当、すごいね」
そう言うと絵里はエナにくっ付いて、少しゆっくりとした口調になって、聞く。
「ねぇ、エナ……私の事好き?」
「好きよ」
エナは即答。それに絵里は少しだけ驚きながらも、ずっと気になっていた事を聞く。
「どうして?私のどこが好きなの?」
と言うかそもそも、私は日本にいて……異世界にいるエナとネヒィアはどうやって私を見つけたのか?どうして私を選んだのか?
そして……どうして私をこの世界に連れてきたのか?
ずっと考えてはいたけれど、聞く機会がなかった。だから、聞けるうちに聞いておきたい。
ネヒィアよりはエナの方が誤魔化さない気がするから。
「そうね。理由は……正直な話ないわ。ただただ、好きなのよ。絵里ちゃんの事が」
「そ、そっか……それなら私の事、どうやって見つけたの?異世界から」
絵里のその言葉を聞いた瞬間、エナは急に立ち止まる。絵里は、よろけながらもなんとか止まって……エナは絵里の、目を覗き込む。
そんなエナの瞳に見られて心臓が跳ね、ゾッと背筋に冷たいものが流れる。
そうしてエナは、
「私じゃないわ。見つけたんじゃないの。絵里ちゃんが、私達を」
いつもの声なのに、何か引っかかるようなそんな、声でエナは言うとまた何事もなかったかのように歩き始める。
エナの言葉がいまいち理解出来ていない絵里も、それにつられて歩き出す。
心臓は何故かバクバク。けれど、背筋は元通り。冷たいものは、一瞬しか感じなかった。
それから絵里は少しだけ間を開けて、口を開こうとしたが、
「ここね。着いたわ。絵里ちゃん」
わざとか、たまたまか。分からないけれどエナは口を開き、商店街と言うかなんというか、結構小さめのお店がちょくちょくある場所に着いた。
「肉、野菜、果物……まずは肉からね」
エナは迷いなく歩き、絵里は聞くタイミングがなくなる。
誤魔化されたような、私の理解力が足りないような……でも、よくよく考えてみれば、あのスマホに入っていたアプリ、いつ入れたのか、覚えていない。
スマホを買って貰ったのは中一の時だけど……中一の時だけ、やけに記憶が無いような……いや私、小学校中学校の時の事があんまり思い出せない、ような……き、気のせい、だよね?
◆○◆○
『魔法・エネルギーの値が95%まで回復しました』
『もう少し……もう少し、ね。あと少しで……』
面白い、続きが読みたい、そう思った方ぜひブックマークそれと、
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