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13.宿探し

 結果から言うとまず、絵里(えり)のボロ負けである。


 1着は空間移動の魔法を使い、一瞬で王国リーヤを守る壁に触れたネヒィア。次いで、ネヒィアと()()()()()2()()の、空中をもの凄い勢いで移動し、その余波だけで地面を抉ったエナ。


 そして最後が……


「嘘でしょ……なんで?」


 ネヒィア、エナから遅れること約8秒。ネヒィアに止めてもらい、3着で絵里が壁に触れた。ちなみに、このせいで壁にヒビが入ったのは気のせいだ。


「だって主様、頭撫でてくれるって」


「少しやり過ぎたけど、絵里ちゃんに勝ったから、ご褒美」


「分かったよ。ほら、こっちにおいで」


 絵里は、ネヒィアとエナの頭をゆっくりと優しく撫でる。それを嬉しそうに2人は受け入れ、笑顔を浮かべる。


 そんな2人を見て絵里はふと、どうしてこんなに髪が綺麗で艶があるのか、それと……


「ネヒィアは髪が長いのに、どうしてエナは髪を肩の上で切ってるの?」


 何となく思った事。ネヒィアは背中の真ん中ぐらいまで伸ばしているのに、どうしてエナは肩の上で揃えているのだろうか?


 絵里は肩甲骨の下ぐらいまでしかないが、長い方が絵里は好きなのだ。自分も含めて。


 絵里のそんな質問にエナは少し考えてから、


「私は髪の長さなんて気にしないから、何となくでこの長さにしたわね。ただ、伸ばそうと思えば伸ばせるわ。それに色も変えられる」


 エナはそう言って、自分の髪の毛に触れる。すると、髪が伸びていき金色だった色が、ネヒィアと同じ銀色へと変化する。


「凄い。ネヒィアも出来るの?」


「もちろん。出来るよ、主様」


 そう言ってネヒィアは絵里の髪に触れて……絵里の髪は長くなり、色が黒から金に。


「絵里ちゃん、意外と似合うわね金髪」


「そ、そう?けど、エナだって銀髪、似合ってるよ」


「あら、ありがと、絵里ちゃん」


 エナと絵里が褒め合い、笑い合う。


 そんな光景を、ネヒィアは少し拗ねたように見ており……絵里はエナ、ネヒィアの頭を撫でるのをやめて


「ネヒィアもありがとう。けどやっぱり、色だけ黒に戻してくれる?長さはこのままでいいから」


「分かった。はい」


「……ネヒィア、拗ねてる?」


「珍しいわね。まあでも、ネヒィアの髪の毛は絵里ちゃんと同じで世界で1番綺麗だから、気にする事はないわ」


 サラッとエナがネヒィアを褒める。絵里は、さすが姉だなー、なんて思うが……


 ネヒィアは少し下を向き、そして絵里に向き直ると、


「主様。この国の入り口は少し歩いた所にあるから、行こ?」


 ネヒィアは手を出し、絵里はそれを握る。それはまるで照れ隠しのようで……


「お姉ちゃん、も」


 不意にネヒィアは、エナに手を出して微笑む。エナは一瞬驚くが、ネヒィアの手を握り歩き出す。


 そんな、とても仲がいい姉妹のやり取りを見て、絵里も少しだけ妬いてしまう。姉か妹欲しいなぁー。


 それから歩く事、約10分。


 壁が途切れ、大きな扉が開けられている王国の入り口へとやって来た。人の出入りはほぼなく、扉の横では剣を腰に下げている男が2名。おそらくは、門番だろう。だが、その2人だけで……


「人、全然いないけど……」


「まあ、戦争なんてないし、小さい国だから。出入りがあるとすれば、行商人ぐらいかしらね」


 エナの説明を聞きながら、ネヒィア達3人は扉を潜る。門番の人には一瞥されただけで、特に何も言われなかった。


「おぉ、凄い。ゲームとかで見る世界だ」


 絵里は驚き興奮しながら辺りを見渡す。地面は石で出来ており、石造りの家々が沢山。そして、人はちらほら。


「そう言えば、絵里ちゃん。何をするの?お金はあるから大丈夫だけど」


 そう絵里はエナに呼ばれて少し落ち着き、最初の目的を思い出す。


 そもそも街を見てみたいと言った理由は、異世界の風景を絵に描きたいから。でも、その前にやりたい事……やらないといけない事をやろう。


「お金があるなら、まずは宿でしょ?3人で泊まれる宿を探そうよ?」


 そんな絵里の一言に、エナ、ネヒィアの目の色が変わり……


「主様、どんな宿がいい?」


「広くて大きな、お風呂がある宿にしましょ?お金は、私が出すから」


 エナとネヒィアは意見を言い合いながら、宿を探し始める。


 そんな2人に引っ張られながらも絵里は、行き交う人や家を観察し何を描くか決める。


 と、そんな時唐突にネヒィアが


「主様。ラブホもあるよ?」


 何がどうなったかは知らない。だが、ネヒィアはそんな事を言って……空気は凍り、歩くのをやめる絵里とエナ。


 2人は聞き間違えだと、冗談だとそう思って……


「ネ、ネヒィア?今なんて言ったの?」


 戸惑い混じりのエナの問は、絵里も言おうとしていた事。


 その問にだが、ネヒィアは、穏やかで優しい、けれどいたずらっ子の様な、意地悪い笑みを浮かべて


「主様とお姉ちゃんが、喘ぎ声を聞きに行ってた、ラブホだよ?そして、その夜……」


 絵里とエナが顔を赤くして、ネヒィアの口を同時に塞く。そんな姿をネヒィアは笑いながら眺め、せっかくだしと、次の事を考える。


 次は、お姉ちゃんだけを虐めてみようかな、と。

面白い、この物語は健全だ!そう思った皆様ぜひ、ブックマークをそれと

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ポイントを下さい。この物語がもしかしたら、もっと健全になるかもしれません。

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