表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

128/201

128.宝探し

 

「えっ?ちょっと、絵里ちゃん?」


 絵里のいきなりの言葉に、焦り出すエナ。けれど、そんな事お構い無しに絵里は、


「ネヒィアは、要らない物はここに残してって言ってたから、全部残して買い出しに行こう。ね?」


 エナの腕を掴んで、部屋から出ようとする。


 これに、エナは流石に抵抗して、


「ま、待って絵里ちゃん。全部捨てるのは……」


 エナらしくないか弱い声で俯きながら言う。


 そんな姿に絵里は、


「それなら、大事な物を三つ。それだけね」


 最初から用意していた言葉を言い、絵里はエナの目を覗き込む。


 絵里からしてみれば、ぶっちゃけ思い出が詰まった物なんて、大して大事ではない。


 だって、自分で覚えておけばいい。と言うか、大体の事は忘れるし、覚えてない。思い出だって全部が全部残る訳では無い。


 絵里にとって、過去の事なんて結構どうでもいい事なのだ。いつか人は離れてしまうし、ずっと一緒にいてはくれない。


 今を大事に……今、目の前にいてくれるのなら、それでいい。好きな人が近くにいてくれるのなら……それでいい。


 過去と未来に大事な物なんて、さほどない。今、この瞬間のここにしか、大事な物が落ちていない。


 と、絵里は思っているので、すぐに要らないと思えば物を捨てる。要は、エナとは真逆の性格なのだ。


 そんな絵里はせっかくなので、エナの物に近付いて色々と少し漁ってみる。


 綺麗に保管されていたらしく、汚れている物はない。


 本を大雑把に捲ったり、題名を見たりして、ちょっと難しいそうだなー、なんて思っていると、一冊の手書きで書かれたような本が目に入った。


 表紙には拙い手書きの、銀髪と金髪の小さな子供二人が仲良く手を繋いでいる絵。


 そして、その題名は、


「『ネヒィアの可愛いところ』……?」


 絵里が首を傾げて、ぽつりと題名を口に出すと、エナの体がビクッと震える。


 そんな事を知ってか知らずか、絵里はその本を開き、中身を読む。


「ネヒィアは拗ねると可愛い。ネヒィアは笑うと可愛い。ネヒィアは照れると可愛い。ネヒィアは……」


 エナが音もなく、絵里の持っていた本を取り、顔も耳も真っ赤に染め上げて、それはもう大事そうに、その本を抱き締め、


「こ、これは……大事な物……一つ目よ……」


 もにょもにょしながらも、そう恥ずかしそうに呟いた。


 それに少し驚きながらも、絵里は、


「うん。きっと、それはエナにとって一番大事な物。だから、捨てちゃダメだね」


 そう言って、


「……世界で一番大事な宝物、か」


 絵里は表紙の裏に書かれていた、さっきチラッと見えた一文を口に出す。


 本当……嫉妬するぐらいに、エナはネヒィアを愛しているらしい。

面白い、続きが読みたい、そう思った方ぜひブックマークそれと、

☆☆☆☆☆

↓↓↓

★★★★★

広告下の星を押してポイントを!ついでに、いいね!と思ったらいいね!ボタンをポチッと!

よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ