127.整理をしましょ
「ここは?」
ネヒィアに連れてこられた場所は、今まで来たことの無い部屋の中。
少し物が散らかっており、引っ越ししてすぐみたいな……
「主様。ここにある物は全部お姉ちゃんの。まずはこれを整理して欲しい」
「結構な量あるけど……分かった」
「ありがとう、主様。要らない物はここに残してね。後で全部捨てるから。それで、整理が終わったら、買い出しに行って欲しい……」
「何を買えばいいの?」
絵里がネヒィアに首を傾げて聞くと、ネヒィアは1枚の紙切れを出す。そこには……
「なんて書いてあるの?」
「あっ……待って」
よく分からない書体の文字が。
ネヒィアは珍しくやっちゃったみたいな顔をして、紙切れの文字を上から全体的に手のひらで擦り、絵里にもう一度渡す。
「えっーと……肉、野菜、果物。全部好きな物を買う」
「うん。好きな物をそれぞれ買っておいてくれれば……」
「わ、分かった」
「ありがとう。それじゃ、また後で来るね、主様」
そう言い残すとネヒィアは部屋を出て行った。絵里は紙切れを持ったままエナの方を見る。
「エナ。やろっか」
「ええ……そうね」
するとエナは何故か少し嫌そうな顔をして、微妙な返事を返す。
それを見て絵里は、
「エナ、もしかして片付けるの苦手?」
「べ、別にそう言うわけじゃないわ!やりましょ!」
「う、うん。それで、エナの要る物は……」
「絵里ちゃんが触ったもの全部よ。だから、全部に触って、片付け終わりね!」
「エナ……」
変なテンションで、エナは何かを誤魔化すように言う。
それに絵里は思わず、
「真面目にしよ。エナ」
少し怒った口調で、エナに言ってしまう。
その瞬間、エナは少し怯えるように視線を逸らせて、弱い少女の……今にも泣きそうな程に揺れる瞳に似合ったような、悲しそうな声で、
「……いや」
一言そう呟いた。
絵里は驚き目を見開く。そして、エナに近寄ってから、出来るだけ優しい声で、聞いてみる。
「どうして?」
別にこの部屋に置いてある物で、すごく価値のありそうな物は別にない。
一番多いのが本で、二番目が剣やら鎌やらの武器と、綺麗な石。水晶の原石みたいな……透明から虹色まで沢山の色がある。後はちらほら、小さな木像だったりと可愛い小物。
これだけ聞くと、すぐに片付きそうだけれども……
「捨てたくないの。昔の私がいるって思った物達を……昔の私を、思い出を、殺すみたいで嫌なの……」
これは……なるほど。一人暮らしすれば、家の中が物でごちゃごちゃになるタイプだ。
絵里は少しだけ考える。
正直絵里にエナの気持ちなんて分かりっこない。絵里は物に対しては意外とさっぱりしてるから。
まあでも、しょうがない。絵里は楽しそうに、
「分かったよ、エナ。ここにある物全部、捨てるね!」
エナの瞳を覗きながらそう言うと、にっこりと笑顔を浮かべた。
どうでもいいけど、バレンタインまで後ピッタリ1ヶ月。
面白い、続きが読みたい、そう思った方ぜひブックマークそれと、
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