119.幻想曲
「外でこういう事は控えるにゃ」
落ち着きは取り戻したものの、服がはだけている絵里を見ながら、大体のことを察したマーラが、エナとハクを見て、真面目なトーンで言う。
「分かったにゃ?」
「そうね。今度からは、人がいない所でするわ」
「そう言う事じゃないにゃ」
エナの言葉を聞いて、マーラはハクを睨む
「わ、我は分かったぞ。次からは気をつける」
ハクは頷きながら軽く謝り、視線を逸らして、絵里に手を伸ばして、
「ほれ、その……立てるか?」
少し恥ずかしそうに、絵里に声をかける。そんな姿にネヒィアは自分でも分からないが、少し気に入らない様な視線を送る。
「あ、ありがと、ハク」
だが、視線に気付いていないのであろう、ハクは絵里をゆっくりと立たせた後、はだけた服を綺麗に直してあげる。
それを見てネヒィアも立ち上がり、
「それで、次はどこに行くの?」
今度はネヒィアが少し不機嫌な声で、そう言う。
「次は……どこがいいにゃ?」
「主様は行きたい所、ある?」
「えーと……」
マーラは首を傾げ、皆を見ながら返す。ネヒィアはそれを見て、絵里に聞いたのだが……
行きたい所なんて……ない。いや、この王国、何があるか知らないしから……分からないだけで……
絵里は必死に考える。昔の友達と遊んだ記憶を、忘れかけている記憶を思い出し、何をしたか……どこに行ったか……
そして、絵里はふと思い出す。昔、友達と一緒に観覧車の中で夕日を見た時の事を……だから、
「景色のいい場所……とか?」
首を傾げ少し小さな声で絵里は言った。
それを聞いてマーラが嬉しそう言う。
「それはいいにゃ!それなら私が、案内するにゃ」
「それなら、それで決まり。行こう、主様」
マーラが歩き始め、その後を皆が追う。
お店を出て数分歩くと、王国の出入り口が見えてくる。
絵里達がその出入り口をくぐりるのは二回目。けれど、前と違って門番がいない。前は、男の人が二人いたはずなのに……
絵里は少し不思議に思うけれど、まあ、あまり気にせず、十分程度歩く。
すると……
「あれ、あの人達は?」
例の門番二人がいた。
「いつもはさっきの門の前を守ってる人にゃ」
「それなら、どうしてここにいるの?」
マーラの言葉に絵里がそう返すと、
「壁を直して貰ってるにゃー。古いせいか分からにゃいけど、ヒビが見つかったにゃ。だからにゃー」
それを聞いて、絵里は内心ドキッとしながらも、
「そ、そうなんだ」
それだけ言って会話を終わらす。
あそこの壁がヒビ割れているのは、前に競走した時に馬鹿みたいな威力で私が壁に触れたからで……
ネヒィアに止めて貰ってあれで済んだけど……直しとくべきだったかな?ま、まあ黙っておこ。
絵里は少し悪い事したなと思いつつも、マーラの後ろを歩く。
やがて、王国の壁が見えなくなり森の中へ。そして……
「着いたにゃー」
やっと到着した。
そこは……
「綺麗……すごく」
宝石の様な綺麗な蝶々が舞い、太陽の光が木の隙間を抜け、綺麗な湖を照らしている幻想的な場所だった。
そして、
「湖の中を見るにゃ」
マーラの言った通りに湖の中を見ると、そこには、綺麗に輝くガラスの様な、赤い金魚が楽しそうに泳いでいた。
大晦日です。小説を描き始めてから、作者は二年と二ヶ月位ですが、やはり思うのは方向転換し過ぎですね。200°位は方向転換しています。
でも、楽しいので満足です!
これからも末永く書き続けていけたらと思っていますので、ぜひぜひ来年もお付き合い頂けましたら、嬉しい限りでございます。
面白い、続きが読みたい、そう思った方ぜひブックマークそれと、
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よろしくお願いします。