116.料理上手
「絵里ちゃん、あーん」
「主様、あーん」
マーラとネヒィアの二人から、交互に口に食べ物を突っ込まれる絵里。
味は美味しいけれど、想像以上にお腹にくる。どちらかと言えば少食の絵里にとっては、そこそこキツい。
「ちょっ、ま、待って?」
もぐもぐしながら何とかそれだけ言うと、マーラとネヒィアの手が止まる。
絵里はその隙にゴクリと飲み込んでから、
「私のも、食べる?」
フレンチトーストをフォークで刺して、マーラとネヒィアの顔の前に持っていく。
二人はそれを嬉しそうに食べて……絵里はすかさず次を食べさす。
何とか逃げれたけれど、もうあまりお腹に入らない。ここは出来るだけ量を減らしておいて……
「ほら、あーん」
絵里がくれるフレンチトーストを、次から次へパクパク食べる二人は止まることなく食べ、ほぼほぼを完食する。
最後は絵里が一口だけ食べて、絵里のお皿は空に。
「どう?美味しかった?」
「うん。美味しかったよ、主様」
「絵里ちゃんは、結構な甘党にゃ。でも、美味しかったにゃ」
「そう、それは良かった!」
絵里は嬉しそうに言葉を返して、にこにこする。マーラとネヒィアもそれを見て、少し嬉しそうな表情を浮かべる。
その後、二人はまた絵里にあーんをしようとするが、それを察して絵里はされないようにしれっと、
「それで……エナの作ったシチュー、食べてもいい?」
話題を変えて、エナが持ってきたちょっと大きめの鍋を見る。
「好きなだけ食べていいわよ」
エナがそう言ったのを聞いて、絵里は取り敢えず一口だけ、食べてみた。
……美味しい。それも、すごく。
「すっごく美味しい。エナは料理が本当に上手いね」
絵里が興奮しながらそう褒めると、エナは少し嬉しそうに、笑みを浮かべながら軽く言う。
「まあ、普通よ。大したことないわ」
すると、それを聞いたネヒィアがぽしょりと、
「あんな事言ってるけど、お姉ちゃん、最初は下手くそだったんだよ?」
「ちょ、ネヒィア?それは言わなくても……」
「でも、私の為に毎日料理を作ってくれてね、気付いたらこんなに美味しく作れるようになってたんだ」
少し昔を思い出すような顔で、とても嬉しそうに語るネヒィア。
そんなネヒィアに、
「ネヒィアは、エナの料理好き?」
「うん。大好きだよ」
ネヒィアの飛びっきりの笑顔に頬染めるエナと、ドキッとする絵里。
ネヒィアはにこにこしたまま、
「お姉ちゃん、お皿」
そう言って手を出す。それにエナは応えて、魔法陣からお皿を出し、渡す。
ネヒィアはそれを受け取って、シチューを入れると絵里に差し出して、
「どうぞ、主様。私の大好きなお姉ちゃんの、シチューだよ」
面白い、続きが読みたい、そう思った方ぜひブックマークそれと、
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