108.おかしいな?
マーラと一緒に部屋を出て、廊下を歩く。
マーラは先程一瞬で、キラキラした大学生が着るような、栗色の長袖の服に、黒いミニまではいかないスカートを着て、ひらひらと私の前を歩いている。
ちょっと眩しい……いや、だいぶ眩しい。
服だけでこんなに変われるとは……というか、意外とマーラって可愛いのでは?あんまり気にしてなかったけど、モテるよね。たぶん……
「絵里ちゃん?何考えてるにゃー?」
マーラが歩きながら、絵里の方へと振り向く。とっても可愛い顔で……
「い、いや別に……なんでもないよ?」
「そうかにゃー?まあ、いいにゃー」
一瞬マーラにドキッとした自分に、絵里はなにか違和感を感じながらも、首を振って気にしないようにする。
と、廊下を曲がった瞬間、奥にエナとネヒィアの姿が見えた。
だんだん近づくに連れて、何故か心臓がバグバクして、緊張しだす。
こんな事一度もなかったはずなのに……
ドックンドックンと鼓動する心臓の音を聞きながら、エナとネヒィアの前まで行き、止まる。
マーラは特に気にする様子もなく口も開かない。
だから、
「主様、どう?」
ネヒィアが髪型を絵里に見せる。
エナ、ネヒィア二人とも長い髪をお団子にしている。
服もいつもと違って、露出度の低いドレスのような上下が繋がっている服を色違いで着ている。
だからなのか……絵里はドキドキしながら、
「か、可愛い、よ」
言葉をつまらせながらも、何とかそれだけ口にした。
好きな人……自分の推しキャラでもいい。それが目の前にいて……それを好き勝手したいような……そんな感情が絵里の中で渦巻く。
「どうしたの、主様?」
ネヒィアがきょとんと首を傾げてそんな事を聞いてくるが……その顔が可愛すぎてもう本当に……
絵里は思いっきり後ろを向いて、
「ハ、ハクは?ハクはどこにいるの?」
少し焦りながらそう言うと、
「ここじゃ」
魔法陣が空中に現れ、ひこっとハクが顔を出す。絵里はハクの声がした方を向いて、
「ちょ、お主……」
一瞬で近づくと、ハクの顔を両手で掴んでまじまじと見る。
「可愛い」
……というか、このまま思いっきり……
「や、やめろ」
ハクが逃げようと凄い力で魔法陣の中に入ろうとするが、絵里はそれを手だけで止め、
「その顔も可愛いよ」
そう言いながらおでこをくっ付けて……
「おわっ」
ハクが驚いたように変な声を出して、絵里の手から逃げたかと思うと、魔法陣の中にいきよいよく入った。
「それで、またなの?」
それと同時に、エナの不機嫌な声が聞こえてくる。
絵里はエナの方を向いて、
「い、いや、違うよ……」
「嘘はいいわ。怒るわよ?」
エナの重い声に絵里は口を閉じて黙る。けれど、怒っているエナも可愛くて……
絵里は思わず、
「それなら、エナをめちゃくちゃにしてもいい?」
自分でも、ちょっと何言ってるか分からないけれど、ハクを使ってネヒィアをいじめる気なんて最初からない。
ただ、無性に興奮しているだけで……
絵里は目をトロンとさせながら、エナを見る。
すると、
「お姉ちゃんを、めちゃくちゃに……いいよ、主様。絶対にしてね?」
エナではなく、ネヒィアが少しだけ楽しそうに答えた。
面白い、続きが読みたい、そう思った方ぜひブックマークそれと、
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