106.遊ぼうよ
「主様、これからどうする?」
「絵里ちゃん、一緒に遊ぶにゃー」
ネヒィアが絵里の腕を抱きしめながら言うと、マーラは反対の腕を抱きしめ、甘えるように言う。
二人とも想像以上に強い力で、絵里の腕を抱いて睨み合う。
「え、えーと……一旦離して……」
「嫌」
「嫌にゃー」
何故か急にこんな事になって、絵里は戸惑いながらも、ハクに視線をやると、
「話し合いもやっと済んだ。我は失礼するぞ」
ハクはそそくさと魔法陣を展開して、逃げるように去っていく。
絵里はそれに少し気に食わない顔をしながらも、今度は迷いながらもエナに視線をやる。
するとエナは、
「私も失礼するわ」
それだけ言って、後ろを向いて部屋を出ようとする。
そんな背中に絵里は、
「ち、ちょっと、待って!エナ。エナは、これからどうするの?」
少し焦りながらも、言葉をかけて引き止める。
エナは少し振り向いて、絵里の目を見ながら
「別にどうもしないわ」
少しだけ力ない声でそう言うと、また歩き始める。
絵里はそれを追おうとするけれど、絵里とエナの会話なんて知ったこっちゃないマーラとネヒィアが、ずっと絵里の腕を掴んだままで……
絵里は、口をさ迷わせながら、言葉を探す。エナが一歩また一歩離れて行って……エナはドアノブに手をかける。
その瞬間、絵里は一歩だけ前に出て、
「わ、分かった!エナも合わせて、四人で遊ぼうよ、せっかくなんだから、ねっ?」
絵里は何とか言葉を口から出して、エナはドアノブに手をかけたまま、動きを止めて、少し間を置いてから振り返る。
「……別に、いいわよ。私は……」
「嫌だっ!エナとも一緒にいたい……ダメ、かな?」
エナが断ろうとするのを察して、言葉を遮り絵里はエナに向けて首を傾げる。
エナは一瞬、怒ったような、迷ったような顔をして、それから……
「……分かったわ。それで、何をするの?」
ドアノブから手を離すと、絵里の方を向いて問う。
そんな問に絵里は、また迷いながらネヒィアとマーラに視線を向ける。
「ふ、二人は何するつもりなの?」
「温泉に入るにゃー。朝の温泉は気持ちいいにゃー。それから、買い物に行くにゃ!」
「一緒に寝よ、主様。温泉も、買い物もどうでもいいから、二人で一緒に寝よ?」
あまりまともではない、無邪気な二人の意見に絵里は、
「か、買い物……でどう?」
自信なさげにそう言う。
「えっ?どうして?」
絵里の言葉に反応したのは意外にも、エナでなくネヒィア。
「何言ってるの?主様。一緒に寝よ?」
怖いよ、この子……なんて思いながらもエナを見ると、
「着替えてくるわね」
それだけ言って、部屋からスタスタと出て行った。
「それなら私も着替えてくるにゃー」
続いて納得したらしいマーラも出て行って……
「一緒に寝よ?」
残ったのはちょっと怖いネヒィアだけ。そんなネヒィアに絵里は、
「ネヒィアに似合う服、選んであげるから、ね?」
「嫌」
「えーと、し、下着も選んであげる!」
「……私が主様の下着選んでも良いなら、行く」
ネヒィアが少し頬を膨らませながら、そう言う。
その言葉に絵里は何も考えずに、
「分かった、いいよ!」
嬉しそうな表情を浮かべて返事をする。
ネヒィアは何故かそれに一瞬だけ、申し訳なさそうな顔をして……けれどすぐに、
「主様のせいで下着破れたから、私のも選んで」
「わ、私のせい……そんなに強く噛んでないと思う。でも、ごめ……」
絵里の口を物理的に手で抑えて、ネヒィアは可愛く首を傾げ、絵里の目を見ながら、
「また、してね?……というか、させるから」
絵里の口から手を離して耳元でそう囁くと、絵里の頬にちゅとキスをした。
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