10.畏怖
お姉ちゃんと絵里の謝罪を、うとうとしながらも地面に座って聞く。
そしてふと、今にも電池が切れそうな頭で考える。これから、何をしようか?やりたい事はもう、出来たから……
◆♡◆♡
ネヒィアの怖い所は、勘の良さ、頭の回転の速さ、演技の上手さ……そして、魔法の才能。
ネヒィアは、エナとは比べ物にならないぐらいに賢く、相手にしてはいけない娘。
絵里が、日本から異世界であるこの世界に来た時、ネヒィアは裸で絵里に抱きついた。
その時に、絵里とエナがスマホのアプリを介して、毎日の様に話していた事。それと、百合漫画という存在を絵里の頭の中を覗いて知った。
その後、スマホからエナが出て来て少し話をし、外へと出て……絵里がこの世界に残ると言い、ネヒィアは嬉しそうにまた、裸で絵里に抱きついた。
この2度目のハグで、ほぼ毎日お風呂で、エナと絵里が同じタイミングで、致すという事などの、絵里のここ1年の記憶を把握した。
怖いところはこの時点で、結構キレていたのだ。だが……それを表に出さずに演技をしながら、エナを使って『神獣殺し』へと誘導した事。
それから、到着までの5時間で絵里の記憶全てを把握した。ちなみにこの時に、合わせてエナの記憶も全て把握している。
ただ少し予想外だったのが、2度目のハグの時にネヒィアが抱いた感情が、絵里に少し移ってしまった事。
通常こんな事はない。だが絵里だからだろう、エナの服を没収していじめたりと、ネヒィアの加虐的な色に、少しの間染まった……いや、染めた。
まあ、それ以外は全て計算通りで、特に問題もない。
だってそもそもの話、この事にエナも絵里も気付いていないだろう。
そして、ずっと気付かないはずだ。
だって……ずーっとそうして生きて、1度もバレた事がなんてないのだから……
◆♡◆♡
ネヒィアに何度も謝り許してもらったエナと、なんで謝っていたのかは分からないが、なんか許してもらった絵里。
そして……先程寝てしまった、ネヒィア。
そんな3人は、エナが魔法で出してくれたお湯でお酒を洗い流し、次いで乾かしてもらった。
そして、絵里は上着以外の制服を、エナは絵里の上着を、ネヒィアは自分で作っていた半袖のブラウスを着せて、3人一緒に木陰で休んでいた。
「絵里ちゃん。色々と、ごめんなさい」
「どうしたの急に?エナは何もしてないと思うけど……」
「ネヒィアの事……この子、昔から知らないはずの事だったり、私が隠してる事だったりを知ってるのよ。理由は分からないけど……」
そうエナは言葉を発して、絵里の膝枕の上で寝ているネヒィアの頭を撫でる。
その撫でる様は、本当に大事そうなものを愛でているようで……少し嫉妬してしまう。いいなぁー、そう思う絵里にまた、エナは言葉を発する。
「だからね、さっきみたいに急に怒ったり、私と絵里ちゃんしか知らない事を言うの。……この子たぶん、頭が良すぎるのよ。だから、1人で抱え込んで……」
エナは言葉の最後の方を言うにつれて、か弱く、悲しい声色になる。
絵里はそんなエナの話を聞いて、何となく思った事を口にした。
「エナはネヒィアの事、よく見てるね……けど、ネヒィアは優しんだよきっと……だから、本当に言っちゃダメなことは絶対に言わないし……触れない」
頭が良すぎて……ネヒィアは自分1人で何とかなるとそう思っているのだろう。そして実際、1人で色んな事が出来る。だが……
「ネヒィアはちゃんと、分かってる。けど、この子は本当に優しいから全部……」
絵里の言葉の続きをエナ……ではなく、ネヒィアが遮る。少しだけ笑みを浮かべて起き上がりると、嬉しそうに、一言発して
「そういえば、小さい国に行って、何するの?主様ー♡」
ネヒィアの可愛い瞳が絵里を覗き込み、少しだけ暗く笑った気がした。
だが、それは一瞬で……
ネヒィアは絵里を抱き締めると、覆い被さるようにして後ろへと押し倒し、ぎゅっと絵里の胸に顔を埋めた。
少し本編から逸れてるような気が、しなくもないですが、きっと気のせい。ネヒィアの事はまた、書く機会があると思うので、その時に詳しく……
そして、この物語が面白いと思った方。ブックマークそれと
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