旧人類
昔々のお話です
太古の人間は絶大な技術を持って居ました
一薙ぎで街一つ消しとばす破壊光線
距離の概念なんて無視した剣
自律型機動要塞と化した国
超古代の技術が未だに残っていた人間達の話
何故、行き過ぎた技術を持っていたのか
それは、古代宇宙飛行士説
私達が生きて居た時代でも、半信半疑のお伽噺だけど……
そんな超技術を持った人類は、やはり自滅するのがオチ
人間は互いに傷つけ合った
自分が一番上に立つと言い張って
それを正義だと言う人もいた
それを馬鹿だと言う人もいた
私はその有象無象の中の一人で……もう一人、彼がいた
こんなに凄い技術を持っていながら、どうして皆んなを幸せに出来ないのかと
当時、一番勢いがあった私達の国。その王様に、そんな疑問を投げかけた
「ならば、御主がそのきっかけになるが良い」
彼は承諾した
私は止めたけど、それでも彼は受けた
全てを幸せにする。ここまで発達した文明で、それが出来ない筈が無いと言って
……そして、彼は完成した
彼は、人類にとっての楔になった
それは強固にする為のものでは無く、世界平和と言う理想を真っ二つに割った物
人体を元に作られたサイボーグ。彼の意志なんて、言うことを聞かない殺戮兵器
「戦争が起きた時、御主は敵を抹殺しろ」
その体は彼の言うことを聞かないまま、全人類を滅ぼした
敵……なんて曖昧なものを標的にしたから、みんな死んじゃった
最後の一人の私含めてね
そうして彼は眠りについた
戦争が起きる……その時まで……
「でも、戦争なんてそこに人間がいれば起きるもの。ここに迷い込んできた異世界人が始めた戦争で、彼は目覚めた。その戦争は、妖精族って呼ばれてる子達が言語の問題を解決してくれたから、じきに無くなっていったけどね……。でも、彼は敵を求めて今も彷徨ってる。彼が死ぬまで、私も死にきれない。それが、私の成仏出来ない理由です……」
「随分と規模のでけぇ話だ事で……」
——勝手に異世界に来させられ、その世界の超古代文明とか微塵も興味は湧かないが、理解は出来た。
一先ず、この少女……いやもう、ババアだが……歳を聞くのは避けておこう。絶対にな。
そして、超古代文明の理解不能オーバーテクノロジーにも蓋をする。剣ぐらい分けてくれねえかな。
「……話次いでになんだが、この世界に異世界人がやって来た……って件もちょっと聞かせてくれるか?」
「んー……そうですね。とは言っても、私も全部把握してる訳では……人類が滅び、荒廃した世界で暫くたった後、一人、迷い込んできたんです。ほら、ヒルコサマーって言われてるじゃ無いですか」
「ああ、そうだな……」
——古事記によると、イザナギ、イザナミが生んだ最初の神様がヒルコ様。この二柱、出来が悪いと分かって彼を捨てる訳だが……神様なんてそんなもんよな。
「彼が迷い込んできてから続々と、いろんな世界から同じ事象が発生しまして……二人目が小神族。三人目が小人族って言われてる人たちでー……四人目はー……」
——成る程。この世界における異世界人建国神話って奴は一応、事実って認識で良さそうだな。
「ああ、もう十分だ。俺の中で腑に落ちたから……」
語られなかった神話の先を知れた事は喜ばしい限りだが、だからと言って神様嫌いを見直しはしない。
この世界がどれだけ素晴らしい世界であろうとも、どれだけ苦労して作ったのだとしても……嫌いな相手はとことん嫌いだ。
「ん、そうですか? ……まあそう言うなら良いですけど」
「それで、俺はどうしてやれば良いんだ? 俺に限定した話じゃないが、人類を滅ぼした相手にどう勝てと?」
ただ人類を滅ぼしたと言っても、その文明は古代技術が現存していた時代。
そして、俺は平和ボケした引きこもり……初恋を経験してなければ、高校生活を過ごしていたかも怪しい。
現実的に言えば、勝てる試合じゃないという奴だ。
是非、オッズの方を拝見させていただきたい。俺なら安牌に賭けるね。受け取りは家族に任せるさ。
「むむ……やはりその点は難しいですかね。異世界人なんですから、超能力とか持ってないんですか?」
「残念ながら、俺の居た世界にそんな面白い人間は居なかったんだと。どれも曖昧に騙る詐欺師だったんだろうさ……」
「随分、他人事ですね?」
「この目で見た訳じゃないからな。居たとしても、ひっそりとやってるんじゃねーの」
——さて、この幽霊少女の抱えた事情も知り得た所で……どうしたもんかね。
他人助けをするのは吝かではないが、如何せん相手が強大すぎる。
生まれながらの勇者ですら、人類を滅した魔王と戦うなんて事は無いだろう……?
ましてや相手は、超古代文明に作られたオーバーテクノロジーの結晶。
「いや、無理じゃね?」
——……一先ず、今日はこれで店じまいにしよう。そうしよう。
難しいことは明日の自分に任せれば良いや。
今日の自分よりも明日の自分の方が長い時間生きているのだから、明日の自分に任せたほうがより良い選択が出来る訳だ。……いや、別にめんどくさい訳じゃ無い。
例えめんどくさいのが事実だとしても、先程の理論が破綻する訳じゃ無いのだから詰まる所、問題は無いのである。
そうだろう……?




