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愛は叫べば恥をかく

 初恋の味は覚えているだろうか。

 ……俺? 最近知った。


「相手は……⁉︎」

「同級生……」

「理由は⁉︎」

「……忘れた」

「嘘だにゃ」

「…………一目惚れ」


「えっと……どんな人?」

「別に仲良い訳でも無いから……端から見てるだけで、一概には言えん」

「じゃあ……どんな所が好き?」

「……具体的に言語化出来ないな。……分からん」


「それありなのかにゃ……? 本当に好きかにゃ?」

「ああ、もう……! はいはい、言えば良いんだろ⁉︎ そりゃ、惚れたんだから好きですよ‼︎」


 面倒臭さ半分、本心半分で叫ぶ。

 言えと言われたからそうしただけだ。それなのに、微妙な空気が流れているのは何故だろう?


「……いや、なんでお前らが照れてんだよ。特に、サチさーん?」

「いやー……流石に、そんな大声で愛を叫ばれると……にゃあ?」


 そんなシストラムに下を向きながらも大きく頷くサチ。どうやら顔は見せられんらしい。


 ——そういう、ものか……。


 違いなど分からん……と言いたそうにしていた喉を必死に抑え、無言を決めようとしたサイだったが……。


「そう言われると、なんか恥ずかしくなってくるな……」


 後から来た羞恥心に頭を掻き、微妙な空気が流れる。

 どうしたものかと考えていると、唐突に武器製作の構想を考えていたシーアが口を開いた。


「よっし……‼︎ まあ、こんなもんだろう……うん? 何してんだ、お前ら」

「……なんでもねぇよ」


 吐き捨てる様に言うサイにまあ良いかと自己完結し、シーアは外に出ようとする。

 早速作業に取り掛かる為、作業場へと向かう様だ。


 家主が居ないのにここに居ても仕方がない。本人はそれでも良いと言いそうなもんが、面倒ごとは避けたい。

 そんな訳で我々も、明日の為に体を休めようと宿に向かう話になった。

 

「……まあ、今日は大丈夫そうだにゃ」


 そう言いながら財布と睨めっこするシストラム。

 その姿に、同情を込めた笑い声を上げながら、シーアは少し申し訳なさそうに話す。


「はっはっ……どうせ仕事で籠る事になるから、宿にこの家を使って貰っても構わんが……あんたら異種族にとっては、寝床ですら無いみたいだしなぁ……」


 この家に敷かれた寝床らしきものは布きれ一枚である。これで体が休まる仕組みが知りたいものだ……。



 時は夕暮れ。

 今から仕事をしに行くというシーアが言うには小人族は夜行性が多く、本格的に彼らの仕事が始まるのはこれからだそうだ。

 山の中で過ごす生活には太陽も月も星も無い。地に包まれたまま生きて行く。時間感覚が狂わないのも、彼らの性質なのだろう。


 大体の宿の位置をシーアから教えてもらい、この家を後にする。

 野に咲く緑も波打つ海も……地上の自然らしさが無い世界。大地のエネルギーだけがゆったりと流れる世界で、人が生きる。


 ——想像もしなかったな……。


「……ま、それじゃ俺は仕事場に戻るとするか。明日の昼までには終わらせるよ。仕事場まで取りに来てくれたら助かる。場所は一番目立つあの土竜の門がある場所……まあ、行けば大体分かる」


 そう言って、シーアは手をひらひらとさせながら去って行く。

 まだ成長途中に見える小さな体に、何故か父親の様な雰囲気を背中に感じる中、疑問を抱くのは健全だろう。


「明日の昼、だってさ。早すぎだろ……」

「異種族の……常識」

「良くあることです……にゃ」

「うちの真似するにゃ……」


 ——根本からして違うのだろうか?


 世界の理から乖離している。

 我々の科学からしてみればだけども。


 ……そんな事を思いながらも、必死に無関心を貫いた。

初恋って良いですよね。二回目、経験してみたい。

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