幕間
歩き出してから少し経ったころ、アルカディウス様が私の方を見てきた。
「どうしました、アルカディウス様」
「ええ、花音さんは私の顔が好みなのですか?」
急になんてことを聞くんだ、アルカディウス様は。
そんなの決まってるよ。
「かなり好みですね。ずっと見ていたいぐらいです」
「そうですか。実はこの顔、カミーユの顔なんです」
「え、そうなんですか!?」
私はてっきり生前のアルカディウス様のお顔かと思っていた。
でもそうか、カミーユさんの顔なのは当然か。
アルカディウス様はカミーユさんの身体に転生したわけだから、カミーユさんの顔からアルカディウス様の顔に変わるなんてことないもんね。
「でも、私が初めて会ったときは私よりも大きかったですよね?」
「あのときは魔力を使って姿を大きくしていました」
魔法を使えば大きくなったりできるんだ。
ということは、アルカディウス様に魔力があればいつでもあのスタイル抜群なアルカディウス様を拝めるということだよね!
「花音さんの前であの姿にはなる気はありませんが」
「どうして!?」
「...だって花音さん、"私"ではなくカミーユの姿ばかり見るじゃないですか」
「ごめんなさい、聞き取れなかったのでもう一度いいですか?」
本当にアルカディウス様の声が小さくて聞こえなかった。
何て言ってたのかな?
「いやらしい目で見られたくないって言ったんです」
「ひどい!」
けどまぁ、いやらしい目で見てたのは事実だから反論はしないけどね。