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普通の女子高校生が精霊界の王女として転生したようです  作者: よもぎ太郎
第4章 灼熱の勇者
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王様とは

中途半端でお申し訳ございませんが、このお話で終了させていただきます。

詳しくは後書きをご覧いただければと思います。

「この際だから言わせてもらうけど、王様は近くにいる勇者や騎士団長さんたちの状況を把握してる?例えば、シラユキとセレディアさんが何年も苦しんでたことや、グレゴリの今までやってきたこととか」

「……いや、すまない。ほとんど、把握できてねえ……」


「私の考える王様はね、民あっての王様なんだと思うんだ。騎士団長だって、勇者だって民なんだよ。だから王様を理解して付いてきてくれる人たちのことを、王様も同じくらい。ううん、それ以上に理解してあげなくちゃ。そうしないと信頼関係は築かれないんじゃないかな」

「……そうだな、カノンちゃんの言う通りだ。俺はいつの間にか王という立場で胡坐をかいて、その結果俺の知らないところで傷ついてる奴らにすら気付くことができていなかった。王、失格だな」


 王様は大きな手で顔を覆い俯いた。手にはそれなりに力が込められていて、顔の皮膚が引っ張られている。

 すごく重く受け止めているみたい。でも、王様はすぐに顔を上げて立ち上がり、私だけでなく周りいる人たちにそれぞれ顔を見合わせる。


「皆、俺のせいで多く迷惑をかけた。本当にすまない」


 王様はそう言ってから深々と頭を下げ、少しの間その姿勢を崩さなかった。それから身体を起こし、一歩前へとでる。


「だが俺は、今は王を降りるつもりはない。魔王が復活した今、王が交代すればそれこそ国民に不安を募らせるだけだ。だから魔王を討伐する間は俺を信頼して付いてきてほしい。そしてカノンちゃんの言う通り、お前たちの状況を知るために時間も作る。だから、もう一度だけ俺を信じてくれるか?」


 王様の決意に一人、また一人と拍手を送る。これはきっと王様にもう一度ついていく、そういうことなんだと思う。


「シラユキ、そしてセレディア。この国だけでなく世界のために頑張ってくれているのに、俺のせいで苦しい思いをさせてすまなかった」

「アルクウェル王……」


「だが、もう失敗しない。そして何でもいい、困ったこと辛いこと。それだけじゃない、嬉しかったこと楽しかったことも、俺に教えてくれないか」


「……分かりました。ではお時間があるときに報告させていただきます」

「ありがとう。シラユキも良いか?」

「うん」

「ありがとう。それからグレゴリ。今回のことは俺にも非がある。だが……」

「はい、覚悟はできています」


「そうか。これよりグレゴリ・ブルックマンには騎士団長の称号を剥奪。騎士見習いとして、民のために仲間のために尽力することを命ずる。いいな?」


「……っ!?はい、この命を賭して民のため、仲間のために力を使います!」


 グレゴリは地に膝をつき王様に頭を下げて、厳しくも優しい命を受け入れる。そして今度はみんなのために頑張ると誓ったみたいだ。


「それと諜報員疑惑の件だけど……」

「ああ、あれは嘘じゃない。この国に他国の、帝国側の者が来てるらしくてな」


「帝国?」


「レノガンド帝国のことだよ。あくまで噂だけど、帝王と魔王軍の四天王が密会してるらしくてね。アルクウェル王国が魔王軍と対を成して危険視している帝国の諜報員が、この国に来ているらしいんだ。今はそういうことをしている場合じゃないんだけどな」


 キョーヤ君は溜息混じりに説明してくれた。噂とはいえ魔王軍の四天王と密会してるのか。状況が状況だけに、確証がなくても気になるのは仕方がないよね。

 ただキョーヤ君の言う通り、世界が魔王軍によって侵略されているこの状況で、諜報活動なんてそんなことをしてる場合じゃない。是非とも手を取り合ってほしいよね。


「それで私たちに疑いがかけられてたんだね」

「ああ。だが騎士団に入るか諜報員を認めるかなんて、駆け引きにもなっていない愚かなことをした結果、カノンちゃんの大切な仲間を傷つけた。本当にすまなかった」

「本当だよ、もう。大体、騎士団にならなくても私はアスタロトを倒しに行くよ」

「そ、そうなのか!?」


 王様は凄く驚いたような表情で私のことを凝視してくる。

 少し少し前までは精霊の加護を受け取って、万全な状態で臨もうと思っていた。だから極力、強い敵と接触するのは避けようと考えていたんだけど、今は考えが少し変わった。


「最近知ったんだけど、アスタロトはシラユキとベロニカを傷つけたんだよね?剰え今度は、シラユキとキョーヤ君の家族がいるこの国を襲おうとしてるでしょ?なら黙ってみてられないよ」


 アスタロトの手によってまた、シラユキとベロニカが傷つけようとするなんて私は許さない。ここまでくるとお節介かもしれないけれど、私は折角見せてくれたシラユキの笑顔を曇らせたくない。

 

 私が王様に戦う意思を伝えると、後ろから私の右肩に手を乗せられる。誰かなと思って後ろを振り向くと、真剣な眼差しで私を見つめるリゼの姿があった。


「カノン。アスタロト戦うのであれば、また気を失うくらい痛い思いをするかもしれない。それでもいいのか……?」


 そうだね。リゼの言う通り、アドラメレクとの戦いで負ったような傷を、もう一度経験するかもしれない。もしかしたら、もっと傷つくかもしれない。

 だけど、私は戦うのを止めようとは思わない。


 だってここで戦わなかったら、絶対に後悔するから。


 皮膚についた傷なんて、この世界だったら傷跡を残さずに治せる。でも、後悔で蝕まれた心の傷は魔法なんかじゃ絶対に治すことはできない。だから戦うんだ。それに。


「前よりも少しは成長できたと思うし。何より、頼れる仲間が増えたからね!だから私は死なないし、みんなも死なせないよ!」


 今は心から信頼できる仲間と、出鱈目に強い友達がいるからね。アドラメレクとの戦いみたいに、文字通り死ぬほどの無茶をするなんて絶対にしないよ。辛くなる前にみんなに頼るよ。

 

 リゼは私の方に乗せていた手をすっと放して、柔らかい笑みを浮かべる。きっと私がまた無茶をするんじゃないかって心配してくれたんだね。そして私の回答を聞いて安心してくれたんだと思う。


「分かった。ではカノンの期待に応えよう尽力しよう」


 するとシルフもぴょんぴょんと、片手を挙げて可愛くジャンプしてアピールしてくる。


「私もです!私だって今は死にたくないですし、愛するカノンとカノンが愛する仲間を死なせません!」

「私もカノちゃんと一緒に戦う。ベロニカだって失わせない」

「俺も戦うぞ。妹に折角できた友達を守って見せる」


「私も騎士団長として、そしてお義姉ちゃんとして義妹を守ろう」


「待って、セレディアさんだけちょっと違くない!?私は義妹じゃないっていってるでしょ!?」


 約一名に思わず声を上げちゃったけど、みんなの思っていることは一緒みたいだね。いつアスタロトが現れるか分からないけれど、それまでに出来ることはしておこう。


 魔法の訓練とか、アルカがいつ目を覚ますか分からないから出来るだけ体力をつけるとかね。仮に王国内に魔王軍が責めてきたときに、アルカをどうやって守るかも考えないとね。


「カノンちゃん、それに皆の者、協力に感謝する。事は刻一刻と迫ってきている。入念に準備し国民と、大切な人たちと、そして自分の命を必ず守るんだ、いいな」


 こうして私たちは一致団結し、来たるアルクウェル王国防衛戦までにできることを各々行うことにした。

読者の皆様、いつも応援していただきありがとうございます。

自分都合で申し訳ございませんが、一旦お話を終了させていただきます。

理由は、話しの後半から見切り発車が多く、この先の展開を書くことが難しくなったためです。

楽しみにしていた読者様には本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。

もし、別の作品を描くことがありましたら温かく応援してくださると幸いです。

2022年に新作出そうと思っています

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