私の決断
アルカディウス様の話が終わってから数分経つと、私の肩が軽くなるのを感じた。
アルカディウス様が羽を羽ばたかせ宙に浮き、再び私の目の前に来る。
「それでは、花音さん。選んでください」
「選ぶ?」
「はい。私とともに戦うか、それとも王国側で生活をするかです」
私はまだ悩んでいた。
どっちの道が正解なんだろう。
「花音さん、あと5分ほどで回答をお願いします」
「え、あと5分!?」
「花音さんには申し訳ないのですが、時間が惜しいのです。こうしている合間にも同胞たちに危険が及んでいるかもしれません」
そうだよね、私がこうして悩んでいる合間にも、アルカディウス様は今すぐにでも動きたいはず。
それでも私のため丁寧に説明してくれたんだ。
あー、でもどうしよう!
世界を救うために戦うの?
精霊を救うために戦うの?
どうしても何のためにって疑問が払拭できないよ。
「ふふ、とても難しそうな顔をしていますね」
「だって難しいもん」
答えがなかなか出ない。
ならもっとシンプルに考えればいいんだ。
シンプルに、シンプルに...。
私がいつも即決できた時はどういうときだった?
思い出すんだ。私ー!
「もうそろそろ5分が経ちます。決断をお願いします」
もうそんな時間なの!?
そうだ、私が決断できたとき、その根底あることは一つしかなかった。
「私は、アルカディウス様と一緒に戦います」
「いいのですか?私はとても嬉しいのですが...」
いいに決まってるよ。
「私、初めて会ったときからアルカディウス様の笑顔に一目惚れちゃったんだ。だからアルカディウス様がいつでも笑って過ごせるように、戦うよ!」
アルカディウス様と笑って過ごせる、そんな世界にしたい。
私が戦う理由はこれぐらいシンプルでいいんだ。
「花音さん、ありがとうございます。私は花音さんを全力でサポートさせていただきます」
「よろしくお願いします、アルカディウス様!」
「はい、よろしくお願いいたします。花音さん」
私はアルカディウス様と握手を交わし、立ち上がった。
これから、私とアルカディウス様の長い長い旅が始まる。
きっと大変なことが沢山待ち受けているはず。
だけど、二人なら乗り越えられる、そんな気がした。
「ところで、花音さん」
「何でしょうかアルカディウス様」
「先ほど私の笑顔に惚れた言いましたね」
「言いましたね」
「花音さんが惚れたのは私の笑顔だけですか?」
おっと、流石はアルカディウス様。
そこに疑問を持つとはなかなかやるね。
「本当は、美人なお姉さんや美少女の笑顔すべてに惚れます」
「はぁ、だと思いました。この顔が花音さん好みの顔で良かったです...」
ため息まじりにそんなことを言うアルカディウス様も素敵ですよ!
何て言ったら、口を聞いてくれなくなりそうなので心にしまっておきます。