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普通の女子高校生が精霊界の王女として転生したようです  作者: よもぎ太郎
第4章 灼熱の勇者
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親子丼

「それにしてもこの歳にして、面白いものが見れてよかったわ!」


 シトリさんが“ハバキリ”を見て、大変満足そうな表情をしている。

 それほどまでに、生きていて、お目にかかる機会が珍しい代物なのだろうと、理解できた。


 シトリさんは次いで、アルカとシルフへ視線を運ぶ。

 その目は、とてもギラギラしていた。


「ね、、ねえ。率直に聞くけど、アルカちゃんとシルフちゃんは何者なの?」


 そう聞かれたかアルカとシルフは、お互いに目を合わせ、数秒ののち諦めたかのような表情をして軽く頷く。


 きっと、言い逃れができないと判断したんだろうな。


「私たちは、精霊です。私は元精霊王女のアルカディウス、シルフは風の精霊です」


「ひゅっ」


 アルカが改めて自己紹介をすると、シトリさんは鳩が豆鉄砲を食ったような顔になり、しかも変な声を上げていた。


 ライナは口を閉じることを忘れてしまっており、クレールは手からコップをするりと落とす。


 ガンテツさんは目を真ん丸にしていて、炒め物をしている最中だったキョーヤ君は手を止めてしまっている。


 五人ともそれぞれ違った反応をしていて面白いな。


 なんて呑気なことを考えていると、ガンテツさんが慌ててこちらの方へ来た。


「昨日は大変申し訳ございませんでした!ご無礼をお許しください!」


ガンテツさんはアルカに対して突然、頭を垂れたかと思えば、次いで大声で謝罪の言葉を発した。


一体どうしたの!?

今日の私は置いてけぼりになるばかりだよ。


アルカも突然のことに困惑しているらしく、顔が少々ひきつっているのが見える。


「あの、頭を上げてください。それに何故謝るのです?」

「恐れ多くて顔を上げられません!貴女様方は魔を操る我らの元素の祖にして、特にアルカディウス様は四大精霊を束ねる王!もはや死を以てしても償いきれぬことをしました!」


 切腹って、大げさだなと思っていたけど、横顔からうかがえる汗はきっと冷や汗で、ガンテツさんのことだろうから心からその発言をしているのが分かった。


 この世界にとって精霊は勇者でさえも、畏敬の念を抱く存在、なのかもしれない。


 すると、ガタっと何やら物音がしたのでそちらへ目を向けると、シルフが立ち上がっていた。


 それも、口角を上げて不敵な笑みを浮かべて立っている。

 ……きっと、仕様もないことを考えているんだろう。シルフ、止めておいたほうが良いと思うな。


なぜなら、私にはこの先に起こる未来が何となく分かってしまったから。


「ふっふっふ。そう、何を隠そう私こそが四大精霊の一人、風の祖のシルフです!許しを請うのであれば今すぐに!カノンとの結婚式場を作るのです!」


 私が制止しようと口を開ける前に、シルフはそんなことを言ってしまった。

 

 嗚呼、止められなかった。


 私はそっと目を閉じて、事の顛末が終えるのを静かに待つことにした。目を閉じると、リゼのため息が聞こえてきた。きっと呆れため息が出たのだと思う。


 数秒後、予想通りの展開が起こった。


「アルカ?何故また私の目の前にいるのです?」

「お馬鹿なことを言うシルフに鉄槌を下すだめです」

「鉄槌?って、んぎゃ!?」


 シルフはどうやらアルカに鉄槌を下されたらしい。


「くぅ~!」


 相当痛かったのかな、声にならない声を出している。

 だけど、今回ばかりはシルフが悪いので私は何も言わずに、そっと目を明けた。


 目前にはおでこを手で押さえて蹲っている、如何にも痛そうにしているシルフと、ため息をつくアルカの姿がそこにあった。


 シルフ、ご愁傷様。


「さ、ガンテツさん顔を上げてください」

「いえ、しかし……」

「顔を上げないとシルフの様にデコピンしますよ?」

「は、はい。顔を上げます」


 そう言って、ガンテツさんは恐る恐る顔を上げる。

 そんなガンテツさんの表情を和らげるかの様に、アルカは優しく微笑む。


「ガンテツさん、見ての通りシルフは精霊ではありますがポンコツですし、私は精霊王女ではありましたがそれは過去の話です。ですから、いつものように接してくださると私は嬉しいです」

「アルカディウス様……」


 ガンテツさんは少しの間悩んでいるように見えた。


けれど、アルカの言葉を受け入れたかのように、強張っていた表情を緩ませ、アルカに向けて普段の笑顔を見せる。


「分かったよ。アルカちゃんの望み通り普段通りに接するよ。ただ、事実を知っちまったから、所々緊張しちまうかもしれないが、そこはご愛敬ってことでよろしく頼むわ」

「はい、ありがとうございます。ガンテツさん」


 そうして、ガンテツさんは普段通りに接するということで、話がまとまったんだけど。


 別の所で、未だにあることが終わっていない人物が、よろよろと私の方へやってくる。


「カノ~ン、おでこ痛いです~」


 そう言ってきたのはシルフで、私の膝元にすり寄ってきた。

 よく見ると、額がかすかに赤くなってるし、痛そうだけど。


「今回ばかりはシルフが悪いんだから、反省して。ね?」


 私はそう言って、シルフの頭を優しく撫でる。

 シルフの髪って、すごくさらさらでいつまでも撫でたくなっちゃうんだよね。


「むふふ。カノンに撫でられるの、すごく幸せです」


 しばらく無意識に撫で続けていたら、シルフが嬉しそうな顔でそのような感想を口にしていた。


 子犬みたいで、可愛いな。


 それからシルフは満足したのか、私にお礼を言ってルンルンで席に戻っていった。


 本当に、可愛いな


 シルフが席に着くと同時に、カウンターからキョーヤ君が何かを手に持ってやってきた。


「お待たせ。今回は親子丼を作ってみたんだ。口に合ったら嬉しいんだけどな」

「わぁ、美味しそう!」

「ああ、美味しそうだ」

「さ、温かいうちに食べてくれ」

「うん!いっただきまーす!」


 私は銀製のスプーンで卵と肉、それから卵の出汁を吸っているお米を乗せて、くちへはこぶ。


「美味しい!」

「お店に出ているものに勝るとも劣らない味ですね。キョーヤさん、とても美味しいです」

「ありがとう、えっと……」

「いつものようにアルカでいいですよ、キョーヤさん」

「そっか。ありがとう、アルカさん」


 それから、キョーヤ君が作ってくれた親子丼を夢中になって食べていると。


 カランカラン。


 出入口の方から、鐘の音が聞こえてきた。


 誰か来たのかな?


 私はドアの方へ視線を向けると、ゆっくりと扉が開かれる。


 そうして、お店に入ってきたのは。


「ただいま」


 白銀の髪と、色白の肌によく映える深紅の瞳をした女の子だった。


 しかし、その子の後ろにもう一人、人影が見える。


「たっだいまー!」


 元気な声と共に勢いよくお店に入ってきたのは、無造作な長い金髪を揺らせ、リゼと同じ長い耳を持ったエルフの女性だった。

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[良い点] シルフはポンコツ。
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