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普通の女子高校生が精霊界の王女として転生したようです  作者: よもぎ太郎
第1章 ただの人間から精霊の加護をもった人間へ
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滅茶苦茶焦るよね!

「まず、これからこの世界で大きな戦が始まります」


 初手から不穏なワードが出てきたよ、戦ってどういうこと!?


「マジですか」


「...本当です。数年前まで勇者候補たちを筆頭とする王国軍と、魔王が率いる魔王軍が衝突していました。理由は魔王が世界征服を宣告したためです」

「世界征服?」

「はい、突如魔界から魔王がこの世界を我がものにしようと侵略しに来たのです。そのせいで多くの種族の生命や草木、湖といった自然の命も多く失われました」

「それは、悲惨だったね。あれ、でも数年前まではってことはもう戦はしてないの?」

「そうです、ですがこれから戦いが再び始まろうとしています」


 これからまた戦いが始まるって、どういうことなのかな。

 王国軍か魔王軍かどっちかが戦を始めようとしてるってことなのかな。


「3ヶ月ほど前でしょうか。魔王が再び侵略を始めるとの噂を聞いたので、私は魔王に直接会いに行ったのです」

「魔王ってそんなすぐに会ってくれるんですか?」

「はい、魔王は使者を通して私と会う約束してくれました。しかし、それが罠だったとは思いもしませんでしたが」

「罠って?」


 アルカディウス様は美形なお顔を歪ませながらも話を続けてくれた。


「私が花音さんにどのように自己紹介したか覚えていますか?」

「覚えてますよ。精霊界の王女様、アルカディウス様ですよね?」


 私が美人なお姉さんの自己紹介を忘れるなんて万に一つもないよ。


「そうです、覚えてくれてて嬉しいです。精霊界の王女とは精霊たちからの信頼だけでなく、実力も兼ね備えていなければなれません。故に自分で言うのも恥ずかしいですが、強さにおいて精霊界で私の右に出てくる者はいません」


 そう言ってアルカディウス様は本当に恥ずかしそうに話すものだから、可愛いくて仕方がない!

 カメラがあったら今頃連写してたな。まぁ無いものは無いので、そのお姿をしっかりとこの目に焼き付けておこう。


「だからでしょうか、私が魔王城に着いた同時に奇襲に遭い、あっけなく殺されてしまったのです」


 つまり、魔王はアルカディウス様の実力を知っているが故にもし王国軍の味方になってしまったら厄介な敵に穴ると考えて、先に王女様を罠に嵌めたんだね。

 こんな美人さんを殺すなんて魔王は見る目がないね。

 あれ、でもおかしいな。


「どうして殺されたアルカディウス様は、今生きてるんですか?」

「それは、ある誓約によってこの姿に転生したのです」

「誓約?何か約束でもしたんですか?」


「そうです。私が死んだときに、この妖精の身体に転生するように、この身体の本来の持ち主と約束をしたのです」


 そうなんだ、それでアルカディウス様が私も転生するって言ってたのか。

 それにしても自分の身体をアルカディウス様に譲るなんて、アルカディウス様とその妖精さんはどんな関係だったんだろう。


「アルカディウス様にとって妖精さんはどのような存在だったのですか?」

「私とこの身体の主、カミーユとは本当に長い付き合いでした。家族と言っても過言ではないと思います」

「そうなんですね」

「カミーユと誓約したのは私が死ぬ直前でした。詳しい話はまた今度話しますが、要約すると私がカミーユの身体に転生し、そして新しい精霊界の王を導いてほしい、そういった誓約でした」


 新しい、精霊界の王を導く。

 それはつまり、次世代の精霊王をアルカディウス様自身が育て上げるってことだよね。


「今のアルカディウス様は以前のような力は無い、ということですか?」

「察しがいいですね。花音さんの言う通り多くの魔法は使えますが、威力はカミーユの魔力量に起因するので以前のように自由に魔法を使うことができないのです」


 王国軍と魔王軍の戦が今にでも始まるかもしれない。

 もしかしたらもう始まってるのかもしれない。

 でも、今のアルカディウス様には戦を止めるほどの力を持ち合わせていない。

 となると、ますます次世代の精霊王の教育を急がないといけないよね。


「もう、次世代を担う精霊さんは見つかったんですか?」

「えっ?」

「ん?」


 アルカディウス様の美しいお顔が引きつっている。

 私そんなに変なこと聞いてないよね?


「私の目の前にいるじゃないですか、次世代を担う精霊王が」

「え、目の前って。え、もしかして私!?」

「もしかしなくても花音さん、私が選んだのは貴女ですよ」

「えーーー!!!」


 私が次世代の精霊王って、いや王女って!


「聞いてないよーーー!!!」


 私が精霊界の王女として世界を救うの!?

 嘘でしょ、そんなこと聞いたら滅茶苦茶焦るに決まってるよ!

 だって、この世界の命運は私にかかってるってことでしょ!?


「もう、だから最後まで聞かないで後悔しませんかって確認したのに」


 アルカディウス様はため息まじりにポツリと呟く声が聞こえた。

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