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普通の女子高校生が精霊界の王女として転生したようです  作者: よもぎ太郎
第3章 四大精霊・イフリート
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リゼ

 今更だけど、先ほどからシルフが会話に入ってこなかったな。私はどうしたのかなと思いそちらを見ると、シルフはじーっと私とリーゼロッテが手を握りあっている方を見ていた。

「どうしたのシルフ?」

「羨ましい」

「え?」

「羨ましいって言ったんです!私もカノンと手を握りたいです!頭撫でてほしいです、ぎゅーって抱きしめてほしいです!」


 シルフは両手で頭を抱えてやきもちと欲望を織り成した感情を爆発させていた。本当に私がいない間に彼女の身に何があったのだろうか。私が知っているシルフは、仲間を愛しみ姉妹のように優しく接してくれいた気がするけれど。

「全く、何てことを花音に要求しているんですか。頼むにしてももっと高貴さあふれた言葉を使ってください。同じ精霊として恥ずかしいです」

「アルカは私にもっと優しくしてくださいよ!うえーんもう限界です、花音慰めてください」


 このままシルフをほっといたら話が進まなくなるのは目に見えていた。そもそも、シルフをこんな風にさせちゃったのは私が原因なんだよね。だから私はシルフの方へ行き優しく抱きしめてあげると、シルフは落ち着いたのか取り乱すような行動はしなくなった。いつの間にかシルフと私の立ち位置が逆転しちゃったね。

「どう?落ち着いた?」

「はい、お恥ずかしいところをお見せして申し訳ありませんでした」

「ううん。私もね、シルフとまたこういうことができてすごく幸せだよ」

「カノン、私も幸せです!」


 シルフの幸せそうな笑顔を見ることができたし、何より通常運転に戻ってくれてよかった。私はこれからについて話を切り出すために一旦、元の席に戻る。

「それじゃ今後のことについてなんだけど、すぐに精霊に会いに行く?」

「そうしたいのは山々なのですが、先日の戦いで四天王と渡り合えるほどの力が私たちにはありません」

「ですね、カノンが上級魔法を使えば何とかなるかもしれませんが、代償が大き過ぎますし」

「はい、ですからまずは王国に戻ってクエストをこなしつつ修行しようと思うのですがいかがでしょうか」

「いいね、そうしよう」


 シルフの言う通り私は上級魔法を使用すると身体に大きな負担がかかってしまう。そうなると一々四天王と戦って身体を壊すようではいつか本当に再起不能になってしまう。それは、彼女たちは望んでいないだろうし、何より私自身がそれを良しとしないと心に決めている。であれば、王国のクエストをこなしつつ徐々に魔法の扱い方を学んだほうが良い。

「じゃあ早速アルクウェル王国に戻る?」

「そうですね、早目に行動して損はありませんからね」


 アルカとシルフが宿を出発するために身支度をしている最中、リーゼロッテは何か思い悩んだ顔をしていた。どうしたのかなと思い私は声をかける。

「どうしたの?」

「ああ、その、これからどうしようかと思っていたんだ」

「これから?」

「ああ。同族の仇を討った今、私はこれから何を目標にして生きて行けばいいのか考えていたんだ」

「そっか。だったらさ、リーゼロッテさえよければ私たちと一緒に来ない?」

「いいのか?」

「うん!…まぁ、戦いばっかりの日々になるだろうから大変な毎日になっちゃうかもだけど。でも、もしかしたら目標が見つかるかもしれないし、だからその」


 私はもしよかったら、なんて言葉を言ってみたけ本心ではリーゼロッテに一緒に来てほしかった。何億という生命が生きているこの広い世界で偶然にも出会い、一緒に窮地を乗り越えたのだ。きっとこれは縁なんだと私は思う。私はこの縁を大切にしたい。だから、リーゼロッテに本当は来てほしいんだよと強く言えない分、いろいろな言葉を紡いでリーゼロッテを説得していた。

 私の様子を見てリーゼロッテは察したのだろう、思わず笑みをこぼし右手を差し出してくる。

「では、お言葉に甘えさせてもらおう。これからもよろしく頼む、カノン。それにアルカ、シルフも」

「はい、よろしくお願いします」

「リーゼロッテがいてくれれば心強いですね!よろしくお願いします」


 私は差し出された右手に、一緒に来てくれると言ってくれてありがとうという気持ちを込めて少しだけ

強く、握手をした。

「これからもよろしくね。リゼ」

「リ、リゼ!?」

「うん、嫌、かな?」


 これからも共に過ごしていく仲間になってくれたので、親しみを込めて言ってみたんだけど馴れ馴れしかったかな。私は不安に思いつつ、リゼの方を向くとリゼは隠しきれないほど頬を赤らめていた。

「い、今までそういう風に呼んでもらったことがなかったから、少し驚いてしまっただけだ。その、嫌じゃないぞ」

「本当に?」

「ああ、寧ろ嬉しいくらいだ」

「良かったぁ!」

 

 こうして、私たちは正式にリゼを仲間に迎え入れてアルクウェル王国へ向かう。

 ちなみにポートワールからアルクウェル王国までの道のりはとてもじゃないけど、馬車向かったら時間がかかりすぎてしまうので私は“あれ”をやることにした。

「待ってくれ、まだ心の準備が…」

「それじゃいっくよー!『エア』!」

「話を聞いてくれー!」


 元気よくリゼを王国まで吹っ飛ばし、続いてシルフを飛ばしアルカは私が抱きかかえて一緒に飛んだ。シルフは私が瀕死の時に『エア』で飛んだって聞いていたんだけど、何故か私も飛ばしてくださいと頼み込んできたので飛ばした。飛ばす前のシルフの顔ったら、すごくワクワクしたような顔をしていたので、流石に断れなかった。

ご覧いただきありがとうございます。

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