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普通の女子高校生が精霊界の王女として転生したようです  作者: よもぎ太郎
第3章 四大精霊・イフリート
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全てを焼き尽くす太陽の魔法

 リーゼロッテの一撃が全く効いていない、私たちはアドラメレクに勝てるのだろうか、そう考えていた矢先アドラメレクの右肩から左下の腹部にかけて急に剣閃が走り勢いよく血が噴き出す。


「あれぇ?」


 私もアドラメレクと同様に驚いていた。確かリーゼロッテは横一文字にしか攻撃していなかったはずだけどいつの間に斜めからも斬っていたのだろうか。


「私の最初の剣撃が防がれることは予想がついていた。ならば一撃目は敢えて誰にでも見える速度で斬り、二撃目は誰の目にも捉えることのできない速度で斬りこめばいいだけのこと」

「リーゼロッテすごいね!二撃目は全然見えなかったよ」

「ふふっありがとう。だがこれで倒せるほど相手が弱いとは思っていない、気を緩めずに行くぞ」

「うん!」


 リーゼロッテのおかげで私は絶望せずに済んだ、しかし気がかりなことはなぜ一撃目が無傷だったのかということだ。二撃目がいくら速度が速くアドラメレクが反応できなかったとはいえ、無傷と血が噴き出すほどのダメージではあまりにも差がありすぎる。アドラメレクを攻略するためにはそのからくりを解き明かさないと。


「僕に傷を負わせるなんて大したエルフだねぇ。だけどもう油断はしないよ」

「ふん、ならばもう一度私の剣撃を味合わせてやる」


 アドラメレクに向かってリーゼロッテはハバキリを上段に構える。『サンダーシュナイデン』はどの位置に構えていても良いということなのだろう。

 リーゼロッテはハバキリを振るいアドラメレクに一撃を浴びせる、しかし実際には目には見えない速度でもう一撃攻撃を与えている。


「油断はしないって言ったよねぇ!」

「何?!」


 アドラメレクは二撃目の攻撃すら無傷で、お返しにといわんばかりに火の玉をリーゼロッテに浴びせようとしたが間一髪のところで避ける。避けた勢いでリーゼロッテは私の元まで後退してきた。


「くっ、何故無傷なんだ...」

「さぁどうしてかなぁ!」

「カノン、少しいいですか?」

「どうしたの?」


 シルフがアドラメレクに聞こえないように小さな声で私に話しかけてくる。


「アドラメレクの背後から『ライト』を数発撃ってくれますか?」

「いいけど、多分ダメージは与えられないよ?」

「それでも結構です、確認したいことがあるので」

「分かった、やってみるよ」


 私はシルフに指示された通りアドラメレクの背後に魔方陣を展開させ『ライト』を数発放った。それに気が付いたアドラメレクは特に防御するような構えもせず私の魔法を全て受け止める。やはり『ライト』ではダメージを与えることは出来なかった。


「なるほど、攻撃が当たらない理由は分かりました」

「本当!?」

「はい。カノンの魔法やリーゼロッテの剣閃が当たる直前に炎の防御壁で全て燃やし尽くしていたのです」

「そうやって花音たちの攻撃を防いでいたのですね」

「正解正解大正解だよぉ、君たちの攻撃が当たる直前に全て燃やしていたのさぁ!まぁそんなことが分かったところで君たちの活路なんてないけどねぇ。次は僕の番だよぉ」


 アドラメレクは右手を天にかざすと頭上に真っ赤で広大な魔方陣を展開させ、そこに魔力が物凄い勢いで集まる。


「さて、どうして僕が太陽の化身と呼ばれているかおしえてあげるよぉ。それはねぇ、太陽の光にも似た何者をも全て焼き尽くす最強の魔法が使えるからさぁ!」

「太陽の光...だと?」

「そうさぁ、そして君たちは塵一つ残さず焼き尽くされるのさぁ!それじゃあ終焉の炎をとくと味わってねぇ『ゾンオスクリタード』!」


 アドラメレクの詠唱とともに真っ赤な魔方陣から強烈な炎の魔法が私たちに一直線に向かってくる。


「『ツオール・テンペスト』!」


 シルフは避けられないと判断し咄嗟に最強の広域魔法を使う。しかし、シルフの魔法をもってしても徐々に押されている。


「カノン、アルカ、リーゼロッテ、今のうちに逃げてください!」

「それではシルフ様が!」

「私のことは気にしないでください、皆さんを守れるのであればこの命喜んで差し上げます」

「そんなのダメだよ、私たちのパーティーにはシルフがいてくれないと困るよ!」


 シルフはアドラメレクの最強の魔法を受けていて相当辛いはずなのに、私たちに微笑みかける。まるで心配しないでと言わんばかりに。


「それはとても嬉しいですね、ですが私がいなくてもカノンたちは楽しくやっていけます。だから、お元気で」


 徐々にシルフの魔法陣に亀裂が入り、そのたびにシルフの腕から血が滲み始める。どんなにシルフが頑張ってくれたとしてもあと30秒ぐらいしか持たないと思う。その間に逃げることは出来るかもしれない。


「花音どうしますか?」

「そんなの決まってる。大好きなシルフを置いて逃げるなんて私にはできない、ここで逃げるぐらいだったら死んだ方がマシだよ!」

「ならば私も力になろう、幸い遠距離魔法を使える」

「いいの?」

「ああ。これはそうだな、ゴーレムを任せてしまったお礼とでも思ってくれ」

「ええ~、それは違う形で返してよ」

「みなさん、早く逃げてください!」


 シルフが切羽詰まった声で私たちに告げるが私たちはそのお願いは聞くことができない。


「シルフには私が無茶するのをこれからも手伝ってほしい。だから私たちと一緒に生きるのを諦めないで」

「カノン...」

「では、やるとしよう『ライトニングブラスター』!」

「それじゃ私も今回はフルパワーで行くよ!『ライト』!」


 私とリーゼロッテはシルフの横に立ち今持てる全ての魔力を注いで遠距離魔法を放つ。それでも徐々に太陽の炎で私たちの魔法が焼かれる。

 すると、私たちが頑張っている真後ろにイフリートがやってくる。


「イフリート様、手伝ってくれるのですか?」

「何言ってやがる、この人間の試練に俺自らが手を貸すつもりはねえ。そもそも俺が手を貸したところでこの魔法を討ち消すことはできねえしな。俺もあのクソ悪魔の力を見誤ってた」

「では、どうすれば」

「んなもん、そこの次期精霊王女様中級魔法以上の魔法を使えばいいじゃねえか」

「いや、理由ははっきりしてないんだけど私初級魔法しか使えなくて!」


 私は魔法を使うのにいっぱいいっぱいになりながらも、イフリートに初級魔法しか使えないことを説明する。するとイフリートは首を傾げて何を言ってるんだといった顔をしている。


「どういうことだ?普通加護を受けた時点で無条件ですべての魔法を使えるはずだぜ?」


 無条件で魔法が使える?それってどういうこと?

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