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普通の女子高校生が精霊界の王女として転生したようです  作者: よもぎ太郎
第3章 四大精霊・イフリート
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アドラメレク

 アドラメレクの攻撃によりアルカのいる場所は、けたたましい爆発音とともに土埃が舞う。


「あははははは!これで魔王様を苦しめた妖精は消炭になっちゃったよぉ、あとは君たちだけどねぇ」


 アドラメレクという悪魔は、文字通り本当に悪魔なんだね。誰かを殺すことを躊躇しない、むしろ悦びを感じてしまっている。

 もし私がこんな狂った悪魔に家族を殺されたら、きっとリーゼロッテと同様に復讐に駆られるよ。

 私がアドラメレクを睨みつけるように見ると、炎の悪魔は私を舐め回すように見てきた。


「君、人間のくせによくこの暑さに耐えられるねぇ。面白いなぁ、殺しちゃお」


 アドラメレクが先程アルカにしたように、数十発の炎の魔球を放ってきたので、私は軽く『ライト』で応戦する。

 また、捌き切れなかったものに関してはステップを踏むように避けて見せた。


「へぇ、人間のくせに無詠唱できるんだ。しかも早いし、ムカつくなぁ」

「早く動けるのはアルカのおかげだよ」

「何言ってるのぉ?そいつはさっき僕が殺した...」

「いえ、私は生きてますよ」


 アルカは土埃の中から勢いよく出てきて私の頭の上に乗る。自然と私の頭の上に乗ってるけどさ、私の理性が持たないから正直戦闘中はやめて欲しい、でも戦闘中だからこそアルカに癒されつつ内なるもう一人の欲望の化身、花音が覚醒して真価を発揮し...!


「花音、戦闘中ですよ集中してください!」

「だって、アルカが私の頭の上で誘惑するから」

「じゃあ離れます」

「離れないで!私のそばにいて!」

「あいつら戦闘中に何やってんだ?」

「見れば分かるじゃないですか、二人でいちゃついているんですよ、全くもう!私も混ぜてください!」

「お前も何やってんだよ...」


 私とアルカ、シルフがキャッキャウフフと戯れていると流石のアドラメレクもお怒りの様子だった。


「僕さぁ、久しぶりにイライラしちゃったよねぇ。炎の化身である僕のことを無視にしてさぁ!ていうか何でカミーユが生きてるのさ!」

「それは、私の魔法で打ち消したからだよ」

「何ぃ?」


 アドラメレクがアルカに手をかざした瞬間、魔法を使うことは予測できていたので、私も手をかざしてアルカに魔法が当たる前に『ライト』で打ち消した。そのせいでアルカの周りに土埃が舞っちゃったけどね。


「ふはははっ!クソ人間、思った以上に戦えるじゃないか」

「お褒めいただきありがとうございます」

「先程の試練のことだが、俺ではなくそこの雑魚悪魔を倒したら認めてやる」

「本当に?」

「俺は嘘をつくのが嫌いだ。あいつを倒した暁にはお前を認めて加護をくれてやる」


 上から目線の物言いはすごく気になるし一緒に戦ってくれないんだと思ったけど、加護を頂く身なので私はぐっと堪える。兎に角、アドラメレクを倒せば試練クリア、そして一人で戦えとも言われていないので私はみんなの顔をそれぞれ見てから告げる。


「みんな、アドラメレクを倒すために私に協力してくれる?」

「もちろんです」

「言われなくても私もカノンのために戦いますよ」

「私もだ」


 リーゼロッテがふらふらな状態だったけど、今のリーゼロッテなら無茶なことはしないと思う。まず、策も無しに突っ込むことはないはず。


「分かった、でも無理だけはしちゃダメだよ」

「無理をしたらカノンは私に何をするんだ?」


 おっと、疲れすぎてるのか分からないけどリーゼロッテもそういう事を言い始めましたか。


「そうだな~、デコピンしようかな」

「カノンのデコピンは痛そうだな」

「優しくするよ!」

「いい加減にしてくれるかなぁ!もう頭にきたよ、容赦しない」


 先程までは言葉に余裕があったのに、今では怒りで本性が露わになっているアドラメレクを見て、誰かを見下してる者ほど意外と短気なんだなと思いました。

 それはさておき、アドラメレクは私に向けて炎の魔球を何十発も放ってきたので私は『ライト』で再び応戦する。

 しかし、私の光魔法は炎を打ち消すことができず、むしろ炎に飲み込まれこちらに迫ってきた。

 この炎は何か特殊な魔法なんだと感じとり、素早く火の玉から逃れる。

 

「いいねぇいいねぇ!君の魔法が僕の炎の魔法に飲み込まれた時の顔は最高だったよぉ!もっと恐怖と絶望を味わってもらうよぉ!」

「そんなことさせません!『エアブラスト』」

「効かないよぉ!」


 シルフは狭域の風魔法を放ったが、アドラメレクは片手で防ぐ。


「本気で僕を殺しにきなよぉ、じゃないと一瞬で死んじゃうよぉ?」

「なら、本気で行かせてもらう!」


 リーゼロッテはいつ跳躍してのか、宙に浮いているアドラメレクの正面まで来ており、ハバキリを刃先は後方に向け左腰に構える。


「『サンダーシュナイデン』!」


 まるで天から落ちた一瞬しか姿を見せない雷を断ち切るように、雷属性が付与された素早い横一文字切りでアドラメレクに一太刀浴びせる。流石にアドラメレクも何が起こったのか分からないといった様子で、地に落ちる。

 私の目から見てもかなり強烈な一撃だったはず、それなのにアドラメレクには傷一つ付いていない。


「拍子抜けだなぁ、みんなもこんなもんなのぉ?」


 私は、いや私たちは魔王軍四天王の強さを完全に見誤っていた。

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