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普通の女子高校生が精霊界の王女として転生したようです  作者: よもぎ太郎
第3章 四大精霊・イフリート
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行く手を阻むゴーレム

 適度に緊張した雰囲気持ちつつ、私たちはリーゼロッテがあとについていく。

 すると水平に広がる広大な場所に辿り着く。奥の方を見ると火山の中に入れる非常に大きな入り口と一体の石像が見える。

 私たちはさらに歩みを進めると、突然肌に小さい針で刺されたような痛みを感じた。多分、何者かが放っている魔力に身体が危険信号を出しているのだろう。その何者かとは言わずもがな、イフリートだ。


「もうすぐだ、もうすぐであいつに会える」

「リーゼロッテ...」


 リーゼロッテは呪詛の様に呟くので少し不気味に感じてしまう。

 それにしてもこんなに広くて静かな場所だと何か出てきそうだな、なんて考えていると急に地面が大きく揺れだした。

 地面を揺らした主はなんと石像だった。全長が5 mはあるだろう石像がゆっくりと地面を響かせながらこちらへ向かってくる。


「いつのまに入り口にゴーレムを配置したのでしょうか」

「もともとはいなかったの?」

「はい、ですが魔物に自らの守護を任せるなんていよいよ怪しくなってきましたね」


 ゴーレムの動きが徐々に良くなり始め、巨体とは思えないほどのスピードで拳による一撃を私たちに向けてくる。

 アルカの咄嗟の判断で私に身体強化してくれたおかげで避けることができ、他の二人も無事みたいで良かった。


「お前なんかに構っている暇はないんだ。みんなすまない、こいつを任せた」

「え、任せるって...あっ」


 リーゼロッテは持ち前の素早さでゴーレムをすり抜け、入り口からアステール火山に入っていった。

 今すぐにでもリーゼロッテを追いかけたいが、ゴーレムを倒さないと落ち着いてイフリートと会話できそうにないだろうから、リーゼロッテのことはひとまず置いといてまずは目の前の敵に集中しよう。


 さて、このゴーレムをどうやって倒せばいいか考えないとね。まずはリザードマンとの戦いで学んだ戦闘の基本からやってみよう。

 今回はどれだけ魔法を使えるか、というよりも一回の攻撃でどれだけ相手にダメージを与えられるか、それがこの戦いに勝利するためのカギになってくるはず。だから様子見で魔法を討つときでも私は詠唱をしてから魔法を使うことにする。


「『ライト』」


 私の掌から眩い輝きとともに光魔法が放たれ、ゴーレムの左肩に直撃し大きな衝撃音が地面を揺らしながら響き渡る。今更だけど、初級魔法の威力じゃないよね。

 私はゴーレムの左肩を確認する。ゴーレムの左肩は傷をつけることはできたものの、破壊にまでは至らなかった。今の魔法で分かったことは小手調べ程度の魔法じゃそこまでダメージを与えられないこと、そして左肩は急所ではないということだ。


「次は私の番ですね、『エアブラスト』」


 シルフはゴーレムの胴体に向けて風魔法を放ち、これもまた小手調べとは思えないほどの衝撃音と衝撃波が私たちの洋服と髪の毛をなびかせた。

 シルフの一撃でも少々傷がつく程度で、風魔法の勢いで倒れたり部位を破壊したりすることは出来なかった。


「どこか弱点無いのかな?」

「では私がそれらしい場所を探してきますね」


 アルカは私とシルフが戦闘している間は後方で、私に身体強化魔法を常に使用し続けている。だけど今回はゴーレムが巨大すぎるので全貌を把握するし弱点を探るには空を飛べるアルカが適任だ。


「でも、危険ではないですか?行かない方がいいですよ!」


 シルフはアルカの身の安全を考えて行かないように告げる。

 私もシルフと同じようにアルカの何かあったらと思うと気が気ではない。だけど、それ以上にアルカの提案を私は尊重したかった。


「アルカ、気を付けてね」


 私の言葉にアルカは一瞬驚いたような顔をしてから、首を縦に振る。


「はい、行ってきます」


 アルカはそう言ってゴーレムの方へ飛んで行った。

 アルカは私に強化魔法をかけつつゴーレムの周囲をぐるぐると回りながら視察している。その間、ゴーレムはアルカに向けて拳を振りかざしているが、アルカはギリギリのところで避けるのでシルフは心が落ち着かなかった。


「カノン、やはりアルカを後方に来るように言った方がいいのではないですか?


 シルフの提案に私は賛同することが出来ないことを首を左右に振って示して、何故賛同することが出来ないのかを伝える。


「アルカが私たちのために頑張ってくれるって言うなら、私はアルカの意思を尊重したいの、それが仲間なんじゃないかなって私は思うんだ」

「カノン...」

「それに、本当に危ない場面になったら私たちが助けに行けばいいんじゃないかな」


 私は必死にゴーレムの弱点を探してくれているアルカの方を見ながら、かっこいい言葉を言ってみた。

 私だってシルフと同じくらいアルカのことを心配してるけど、今までアルカは私の後ろで見守ってくれてたんだ。

 だから今回は私がアルカの勇気ある行動を見守る番だと思う。


「分かりました、アルカとカノンを私は信じます」

「ありがとうシルフ」


 私たちのことを信頼してくれると言ってくれたシルフにお礼を言うと同時に、アルカが上空からまるで宝石箱でも見つけたかの様な声を上げてくる


「弱点みたいな場所を見つけました!」


 アルカの指差す方向はゴーレムのうなじ辺りだった。なるほど、あの場所に攻撃すればもしかしたら倒せるかもしれないね。


 アルカは無事に見つけることが出来てホッとした顔をしながら私たちの方へ向かってくる。

 アルカの緩んだ笑顔は最高にキュートです。

 なんてことを考えていたら、シルフの切羽詰まった声が鳴り響く。


「アルカ危ない!」

「えっ?」

 

 アルカの背後からゴーレムの大きな右手拳が近づいていたのだ。

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