表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
普通の女子高校生が精霊界の王女として転生したようです  作者: よもぎ太郎
第1章 ただの人間から精霊の加護をもった人間へ
4/87

話しをきちんと聞かないとどうなるでしょうか

「それで花音さんには...」


「私は何に転生するんですか!?その世界は魔法が使える世界なんですか!?」


「ちょっと、私の話を最後まで聞いてください。あと、自分で言うのも何ですが精霊界とか王女とか、どうして花音さんのお名前を知っているのかとか触れなくていいんですか?」


 確かに精霊界とかお姉さんが王女様だとか、私の名前をいつ知ったのか気になる。だけど、今はそれよりも私がこれから行く世界がどんな場所で、どんな姿かたちで転生するかの方が優先度が高かった。


「はぁ、貴女の質問に答えないと話を続けても聞いてくれなさそうなのでお答えしますね」

「ありがとう、アルカディウス様!」


「花音さんには姿かたちはそのままでヒューマンとして転生していただきます。正確には精霊の加護を受けたヒューマンですね」


「なるほど、何か強そうですね」

 精霊の加護って具体的にはよく分かってないけど、普通の人間よりも特殊な力を持った状態で転生するは理解できた。


「はい、精霊の加護はそれはもう絶大な力ですよ。自然の力を意のままに操ることができますからね。故に、生きとし生けるものからは畏怖されています」

「自然の力かー。風とか?」

「そうですね、風だけでなく、火、水、土などを扱うことができます。ただこれらの力を使うには条件がありまして...」


 火や水ですら意のままに操ることができるなんて、精霊ってもはや神様に近い存在ではないだろうか。よし、転生したらこの能力をきちんと使いこなして、みんなの役に立てるようにしよう。ということで、


「もう転生できるんですか?」


 私がそんなことを言うものだから、アルカディウス様は手をおでこに当ててため息をついてしまった。しまいには、人選を誤ったかもしれないなんて独り言が聞こえた、気がする。きっと気のせいだよね。


「あの、話しを最後まで聞かなくていいんですか?」

「うーん、聞いた方がいいんだろうけど、どれだけ話を聞いても私の転生したいって気持ちは変わらないからさっさと転生して、後のことは転生してから知ればいいかなって思って」

「そういうことですか。ではやる気があるうちに転生していただきましょう。それから私もあなたとともに行動する予定ですのでよろしくお願いいたします」

「アルカディウス様と一緒いられるんですか!?最高ですね!」

「...身の危険を感じたので、一緒に行くのを再度検討します」


 失敬な!

 私はすぐに手を出すような軽い人じゃないよ!


「まぁ検討する話は後程考えるとして...」

「検討する気満々じゃないですか」

「最後に確認しますが、後悔しませんね?」


 転生って後悔するような話なのかと考えてしまった。今まで生きてきた世界とは違った世界で、しかも魔法が使えるなんてこんなに心躍ることはないと思うのに。


「はい、後悔しません」


 それに、美人なお姉さんと一緒に異世界生活とか最高すぎるでしょ!

 毎日、アルカディウス様の笑顔を拝めるってことでしょ! 

 興奮しすぎて鼻血でそう。


「分かりました。それでは詳細は転生してからお話いたしますので、目を瞑っていただけますか」

「もしかしてキスすることで転生できるとか?」

「何か言いましたか?」

「いえ、何も言っておりません」


 なかなか威圧感のある声だったすぐさま何も言ってないと言ってしまった。アルカディウス様にあまりにも適当な冗談を言うと怒られることを学びました。

 

「それでは何も考えずリラックスしてください。するとだんだん意識が遠のいていくと思います。そして目が覚目たらそこはもう異世界ですよ」


 私、本当に異世界に行くんだね。正直一人で転生するのは不安だったけど、知らない世界で一人ほっぽり出されるわけじゃない。アルカディウス様も一緒に来てくれる、らしい。


「分かりました...アルカディウス様」

「何ですか?」


 私はアルカディウス様に微笑みかけてこう言った。


「これから、よろしくお願いします」


 目を瞑っていたからアルカディウス様がどんな表情をしていたかわからない。だけど、

「はい、よろしくお願いいたします。花音さん」

 とても穏やかな声だったので、きっとアルカディウス様も微笑んでいた思う。


 だんだんと意識が遠のいていき、気が付いた時には私は森の中にいた。

 そして、アルカディウス様の話を最後まで聞けばよかったと後悔することになる。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ