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普通の女子高校生が精霊界の王女として転生したようです  作者: よもぎ太郎
第3章 四大精霊・イフリート
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『エア』の雑な使い道

 本来であれば残りの三日間を馬車で移動し、アステール火山へ向かう予定だったが急遽徒歩で行くことにした私たち。

 しかし、思ったよりも徒歩で向かうことが困難だと気が付いてしまった。そこで思いついたのが私の風魔法『エア』だった。

 この魔法の本来の用途は他の属性、例えば雷魔法にブーストをかけることである。

 つまり、『エア』自体は攻撃魔法ではなく攻撃魔法を補助するための魔法なのである。しかし、私はまだそういった組み合わせ方をしたことがないので、現状はただの強い風しかだせない。そこに私は目を付けた。

 『エア』で、みんなをアステール火山まで吹き飛ばせばいいんじゃないかと思いついたのだ。

 

 私の提案に初めは否定的だったが、数時間歩いて限界が来たのか最初にリーゼロッテが私の案に賛成し、次いでシルフ、アルカの順でしぶしぶ納得してくれた。

 ということで私は今からみんなを『エア』でアステール火山の麓まで飛ばします。頂上まで飛ばさない理由は、誤って噴火口の中に吹き飛ばしてしまうのを防ぐためである。


「それでは安全のために防御に特化した身体強化魔法をみなさんにかけますね」

「最初にリーゼロッテを飛ばすね」

「なに!?私が最初なのか!?」

「一番最初に賛成してくれたからね、それじゃ行くよー」

「待て待て!心の準備が...!」


 その言葉はいつまでも心の準備ができなくて結局飛ばないフラグなので、容赦なくへし折ります。


「『エア』」

「わーーー!」


 私はリーゼロッテの心の準備を待たずに、アステール火山の麓まで飛ばす。


「じゃあ次シルフね」

「は、はい。緊張しますね」


 シルフは本当に緊張しているようで、少し身体が震えている。

 少しでも緊張が和らいでもらえるように、私はシルフの手を優しく握ってあげる。


「大丈夫、優しくしてあげるから私に身を任せて」

「カノン...!」

「『エア』」

「きゃーーー!」


 リーゼロッテが着地したであろう場所までシルフを吹き飛ばし、最後は私とアルカだけだった。


「それじゃ私たちも行こうか、アルカは私の服の中に入ってくれる?」

「分かりました」


 アルカが素直に私の服の中に潜り込んでくる。アルカの身体は私の方を向いており、『エア』の勢いで離れないようにギュッと私にしがみついている。

 私は一生に一度かもしれないこの状況を10秒ぐらい堪能してから、魔方陣を私の方に向けて展開させ『エア』を使う。

 『エア』で吹き飛んでみたら、これが結構ハマりそうで移動するスピードは尋常ではないが景色が見れないほどではなかったので、アステール火山に着地するまでの間は上空から地上の景色を楽しんでいた。

 あっけなく景色を見る時間は終わり、シルフとリーゼロッテがいるアステール火山の麓に着陸する。ある程度は自分の魔力で衝撃はカバーできるが、アルカの強化魔法が無かったら今頃お星さまになっていたに違いない。

 私が洋服についてしまった土埃を払っていると、リーゼロッテがプンプンと怒りながら私に近づいてきた。


「カノン!急に飛ばすなんてあんまりだぞ!」

「ごめんなさい」

「全く、今度飛ばすときは私の心の準備ができてからにしてくれ」

「了解です」


 まぁ、次回も飛ばすことがあったら容赦なく飛ばすけどね。

 私にしがみついていたアルカは名残惜しそうな素振りを見せることなく、私から離れていく。


「麓からは何があるか分からないので慎重に進みましょう」

「ああ、そうだな」


 『エア』で吹き飛ばす前と違って、お遊びモードから切り替えてみんな気を張っている。それも無理はない、イフリートがもしかしたら魔王と結託しているかもしれないからだ。

 そうなればイフリートはリーゼロッテだけでなく精霊たちの仇にもなる。

 それからここへ来る途中に魔物を仕向けたのもイフリートなのか、この目で確かめなければならない。

 

「それじゃ、行こうか」


 私たちはアステール火山の頂上を目指し歩みを進めた。

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