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普通の女子高校生が精霊界の王女として転生したようです  作者: よもぎ太郎
第3章 四大精霊・イフリート
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人間ですか?人間ですよ

 私は心の中で大前を切ってみたけど、正直勝てるかどうかは分からない。

 なぜなら、今まで戦うことに必死だったため冷静になって私の魔法がどの程度通用するかを確認できていないからだ。

 まずは、シルフとリーゼロッテの教訓を活かし二割ぐらいの出力で『ライト』を使い、どの程度通用するのか調べてみよう。


 リザードマンは短剣を下段に構え始めたので、斬りあげられる前に私は先手を打った。


「『ライト』」


 私は右の掌をリザードマンに向け、光魔法をぶつけ土埃が大きく待った。

 すると、シルフたちと交戦しているリザードマンたちは私の初級魔法を聞くと笑い始めた。


「おいおいあの娘、俺たちのリーダーに向かって初級魔法なんか使いやがったぞ」

「舐めてるにも程があるぜ」


 ギャハハと私のことを馬鹿にしてきたけど、言ってることは正しいので冷静に受け止める。


 やがて、舞った土埃が落ち着いてきてリザードマンの状態を確認することができた。

 リザードマンは短剣を持っている方とは逆の手で私の魔法を防ごうとしたのだろう、腕ごと無くなっていて何が起きたか分からないといった表情をしていた。


 この、現場に笑っていたリザードマンたちは目をひん剥いて私の方を見てきて、事情を知らないリーゼロッテも心底驚いた顔をしていた。


 ちなみに、私もこれほど威力があったなんて想像もしていなかったがこれも修行の成果なのだろう。

 多分、レッドスライムを延々と討伐した結果、この世界に来た当初よりも魔法の使い方に磨きがかかり、軽く魔法を使っただけでも威力が出た、のかな。


「てめぇ、ただの人間じゃないのか!?」

「これからアルカのお嫁さんになるただの人間だよ!」

「次、戦闘中におバカなことを言ったら一生同じお布団で寝ませんよ?」

「申し訳ございませんでした」


 私とアルカのやりとりを聞いていたのか、シルフが少し離れたところから私もカノンのお嫁さんにしてくださーい、と言ってきた。シルフ、かなり余裕があるみたいだね。


「くそ、そのちっこい女もまとめてぶった斬ってやる!」

「...今なんて言ったの?」


 私は一応聞き間違いか聞いてみる。もしかしてアルカのことを斬るって言ったの?


「だから!そのチビもお前もぶった斬るって言ったんだよ!」


 どうやら聞き間違いじゃなかったらしい。私の大切なアルカのことを傷つけようとするなんて、それ相応の覚悟があってそういうことを言ってるんだよね?


「アルカには、指一本触れさせないから」

「俺の腕を一本、奪っただけで調子に乗んじゃねえ!」


 調子に乗ってるつもりはないんだけどな。

 私は再びリザードマンの方に右手をかざす。すると、私に近づこうとしてきたリザードマンはこちらに来るのを止めて防御の体勢に入る。


「もう同じ手はくらわねぇよ!」


 確かに私が同じ手を使えば防げるかもしれないけど、掌からしか魔法が使えないなんて一言も言ってないよね?

 ということで、折角防御をする構えになってもらったところ悪いけど、別の場所から魔法を使わせてもらうね。


「『ライト』」


 私はリザードマンの頭上に魔方陣を展開させて光魔法を浴びせる。今回は威力を50%まで上げたので、ようやっとリザードマンを倒すことに成功した。

 後方でシルフたちと交戦していたリザードマンたちは、一番弱いだろうと思っていた私がまさかリーダー格のリザードマンを倒す、という事実をまだ受け入れられていない様子だった。


「本気を出さずともこの中で一番強いリザードマン倒すなんて、流石カノンです!私も頑張りますよ!」


 シルフは言葉通り、周りにいたリザードマンをものすごいスピードで倒していく。その光景を見て触発されたのか、リーゼロッテもさらに速度を上げてリザードマンを斬り倒していく。

 ものの1、2分でリザードマンの軍勢を倒すことができ、シルフは褒めて褒めてと私に抱きついてきたので頭を撫でてあげて、お返しにとシルフも私の頭を優しく撫でてくれた。

 これからアステール火山へ向かうために進んでいくが、これから先また魔王軍が襲ってくるとも限らないのでおじいさんには町に戻ってもらうように言って、私たちは徒歩で進んでいくことにした。

 ここまで乗せてってくれてありがとう、おじいさん。


 おじいさんが遠くまで行ったことを確認して、私たちはアステール火山へ歩みを進める。


「カノン、一つ聞いてもいいか?」

「うん、いいよ」

「君は本当に、人間か?」

「...人間だよ」

「初級魔法であんな威力を出せる人間がいる者か!」

「えー...」


 ちゃんと人間って答えたのにな、リーゼロッテだけじゃなくて他のみんなもどうして信じてくれないのかな。

 それに私はこの世界でこの言葉をあと何回聞かれるのだろうか、回答するレパートリーを増やしておこう。

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