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普通の女子高校生が精霊界の王女として転生したようです  作者: よもぎ太郎
第3章 四大精霊・イフリート
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私とアルカは後方へ

 私たちは急停止した馬車から飛び出し、おじいさんのもとへ行くと、昨日の倍ほどはいるだろうか、リザードマンたちが進路を塞いでいた。


「おいおい、本当にこんな弱っちそうな小娘どもに昨日の奴らはやられたのかよ!」


 先頭に立っているおそらくリーダー格のリザードマンが、私たちを小馬鹿にしたような口調で言ってきた。

そんなこと言ってると、いの一番にリーゼロッテにぶった斬られるよ?

 私がそんなことを考えると同時に流石と言うべきか、リーゼロッテはハバキリでリザードマンの斬りつける。


「っ!?」


 しかし、リザードマンの首は未だに胴体とつながったままだった。

 その理由は単純で、リーゼロッテの攻撃をリザードマンは短剣で受け止めていたからだ。


「まさかあいつら、こんな攻撃でやられたのか?雑魚にもほどがあるぜ」


 リザードマンはリーゼロッテの剣を弾くと同時に上段から構えて短剣を振り下ろすが、リーゼロッテは素早く後方に跳躍し攻撃をかわす。

 シルフはリーゼロッテが後退したのを確認してから、『エアブラスト』でリザードマンたちに嵐の風を浴びせる。しかし、リーダー格のリザードマンだけでなく後方にいるものも昨日とは違い一撃で倒すことできなかった。


「だからよぉ、昨日の雑魚どもと一緒にすんなって言ってんだよ」

「雑魚雑魚って、仲間なんじゃないの!?」


 私は我慢できずについ声を荒げてしまった。目の前にいるのは魔王手下だし、昨日のリザードマンた同情しているわけではないがそれにしたって、あまりにも酷い言い方だと思う。


「はあ?弱ぇ奴は仲間じゃねぇよ、ただの駒たっつーの」


 リーダー格のリザードマンが笑いながらそう言うと、それに呼応して後方のリザードマンたちも笑い始める。


「根が腐ってるな」

「本当にどうしようもないですね」


 昨日の戦いで気が付いたのだが、戦闘中のシルフは敵に対して本当に冷たい気がする、いや冷たい。

 それに言葉だけでなく表情も感情を無くしたように喜怒哀楽がないものだから、あんな顔で冷たい言葉を浴びせられたらきっと私以外の者は心にダメージを与えれらると思う。

 私はきっと興奮して体力が回復するね!

 冗談はさておき、この状況は芳しくない。シルフの魔法もリーゼロッテの攻撃も防がれてしまう相手にどう立ち向かっていけばいいのか。

 すると、リーダー格のリザードマンが私の方を見てきた。


「よしお前ら!まずは俺様に生意気な口を聞いてきたあの小娘とひ弱そうなじいさんを殺すぞ!」


 私、怒らせるほど生意気なこと言ったかな!?それに私だけじゃなくておじいさんもターゲットされちゃった。

 リザードマンの号令とともに後方のリザードマンたちが私とおじいさんの方へ向かってくる。


「カノン、とおじいさん下がってください!」

「ああ、ここは私たちに任せてくれ」


 私の身を案じて後方に下がるように言ってくれるなんて、あの二人は王子様なのかな。


「ということですので後方に下がっていいかな、アルカ」

「その方がいいかもしれませんね」


 アルカの許可が下りたので私は後方に下がりおじいさんのもとへ駆けつけ、少し離れた距離から二人の戦いを眺める。

 決して戦闘が怖いからとかではなく、戦いに加わらないのはきちんとした理由が2つある。

 1つは二人の戦い方を観察し、今の私にもできそうな戦い方を盗み見ること。

 2つめは先頭で私まで戦闘に参加した場合、後方にいるおじいさんにまで気が回らず、背後から襲ってくる魔物に対応できないためである。だから、敢えておじいさんのいる場所まで来て待機しているのである。


 シルフたちの方を見るとすでに激しい戦闘が始まっていた。

 まず、リーゼロッテは初手の攻撃よりもさらにスピードを上げてリザードマンたちに剣閃を浴びせまくっている。


「くそっ、早すぎて目で追えきれねぇ!初手の攻撃は本気じゃなかったのかよ!」


 後方にいた一体にリザードマンが内心で思っていることを大声で口に出していた。私もリザードマンと同じことを思っていた、目で追えきれない、早すぎだよ。


「初手から本気を出すバカがどこにいる」


 リーゼロッテは涼しい顔で、リザードマンの首を次々に跳ねる。なるほど、初手で本気は出さないのが戦闘における常識なのか。

 シルフは『エアブラスト』の威力を先ほどの2倍に上げている。


「カノンに指一本でも触れてみなさい、私の魔法で八つ裂きにしますよ?」


 いや、私に触れる前に八つ裂きにしてますよシルフさん。

 シルフも本気で魔法を使っていなかったのか。最初から自分の手の内を明かさず、まずは小手調べ程度に魔法を使う、これなら私にもできそうだ。


 二人の戦い方に夢中になっていると、リーゼロッテの叫び声が聞こえてきた。

「カノン、危ない!」

「へっ?」


 気が付くと、リーダー格のリザードマンが私のすぐ目の前まで来ていた。

 そういえばこのリザードマンは私のことを殺すって言ってたな。


「死ねぇ!」

「嫌だよ」


 私はアルカの身体強化魔法のおかげで、リザードマンが短剣で降り下ろしてきた攻撃を難なく避ける。

 今さらだけど、アルカの魔法のおかげで相手の攻撃が当たらずに済んでるんだよね。

 この戦いが終わったら感謝を伝えつつハグをしよう。


 そして、今の私は昨日までとは違うところをアルカに見せるぞ!

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