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普通の女子高校生が精霊界の王女として転生したようです  作者: よもぎ太郎
第2章 四大精霊・シルフ
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意味

 私たちは今日も今日とて修行を兼ねてレッドスライムの討伐をする。

 しかしいつになっても私の成長は見られない。

 代わりにシルフは狭域魔法を習得しつつある。


「やはり、なかなか上手くいかないですね」

「うん、私才能無いのかな」


 私はぽつりと後ろ向きな言葉を呟いてしまたった。するとアルカが私の耳元まできてシルフに聞こえないように話し始める。


「そんなことありませんよ。前世では魔法を使うという概念が存在しない世界だったのですから、上手く扱えなくて当然です。センスがあるか無いかで言えば、すぐに低出力で正確な魔法を使えるようになったのですから、悪くないですよ」


 アルカはそう言って私の頭を優しく撫でながら慰めてくれる。

 アルカの優しさが胸に染みる。

 それでも悲観的な考えが頭の中をめぐり言葉にしてしまう。


「私、このままずっとこの調子なのかな」

「そうですね、花音の今の気持ちではそのままでしょうね」


 アルカはそう言うと私の視界に全身が入る位置まで移動してきた。


「花音は何のために修行をしていますか?」

「何のために?」

「そうです。もし私が言ったから修行をしていると答えるなら、成長はほとんど見込めないです」


 確かに私はアルカが修行してと言ったから今まで修行していた。

 今、何のために修行をしてきたのかといわれると即答することができない。


「お金を稼ぐだけならこのままでいいかもしれません。ですが、私たちはお金を稼ぐためにここにいるのではありません」

「うん、魔王を倒すために修行してるんだよね」

「はい。ですがそれは私の思いであって、花音の思いではありません」


 アルカは私の顔に近づき頬に手を添える。


「もう一度聞きます、花音は何のために修行をしていますか?」

「私は...」


 やっぱり何度聞かれても答えられなかった。

 私は魔王を倒したい、だけどアルカの言う通りで魔王を倒し精霊たちを守るというのはアルカの思い。

 私はアルカの思いを自分に当てはめただけだ。

 じゃあ、私は何のために修行し何のために魔法を使うのか。


 私はアルカの問いを何度も頭の中でリピートさせながら修行を続けた。


「それでは今日もお疲れさまでした。ギルドに戻って報酬を貰ったら宿に戻りましょうか」

「そうしましょう」

「うん、そうだね」


 私たちはいつも通りギルドで報酬を貰い、宿に戻る。

 宿では朝食と夜食が用意されていて、私たちは夜食をとり部屋に戻る。

 部屋は3人部屋を一室借りている。


「それでは明日もありますし寝ましょうか」

「はい、おやすみなさい」

「おやすみなさい」


 私は布団に入り目を閉じる。

 だけど、全く眠れない。今日のアルカの問いが私の脳を休ませてくれない。

 私は迷惑かなと思いつつシルフに小声で話しかける。


「ねぇシルフ、まだ起きてる?」

「はい、起きてますよ。もしかして夜這いですか?」

「いや、それはまた今度で。今はちょっと真面目な話をしたいの」

「分かりました。それではこっそりと外に出ましょうか」


 すぐに寝てしまったアルカを起こさないように私とシルフはベランダへ向かった。

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